2年生編第15話(第40話)「新たなすれ違い」

9月の中旬になり双子沢学園では文化祭の準備を行うことになった。B組担任の青菜先生が2年生を体育館に集めて役割分担を決めることになった。


青菜先生「今回も演劇組と模擬店4組の抽選会を行う。演劇班の色違いを当てた2人は今回の主役となるからな。」


男子生徒A「今回の主役は誰になるんだろうな?」


男子生徒B「去年は真面野の演技がすごかったよな。」


勉「すごい噂になっているな・・・・・・」


寝待「あの時のお前すごかったからな。」


勉「本来は寝待が担当なんだけど・・・・・・」


寝待「今年は模擬店の担当してみたいな~」


全員にくじが回った。そして劇の主役は・・・・・・


寝待「・・・・・・俺かい!?」


男子生徒C「また果報かよ!?」


男子生徒D「女子の方は。」


紙を持ってやってきたのは・・・・・・団子だった。


団子「え~よりによってねーくんと~?」


寝待「なんで嫌な顔すんだよ。」


まさかの寝待と団子のコンビが今回の主役となった。2年A組では早速演劇メンバーが集まって役を決めることに。劇の題材は「ロミオとジュリエット」になり、演劇組の勉はロミオの父親役に決まった。


勉「(去年は臨時で出たけど改めてこうして集まると緊張するな・・・・・・)」


?「へ~去年のMVPさんも緊張しているんだね。」


勉「え!?(何で、僕の心を読んで?)」


勉の心を読んだこの栗色のロングヘアの特徴な謎の女性が勉に話しかけてきた。


?「今、なんで僕の心読んでいるって思った?」


勉「すごい、本当になぜ?声にも出していないのに?」


?「私、エスパーだから。」


勉「エスパー?」


?「冗談だって、久しぶりだね。真面野くん。」


勉は首を傾げた。


勉「どこかで会ったっけ?」


?「え、忘れたの?まあ忘れるのは無理ないか。私特徴ないし。」


勉「あ・・・・・・思い出した。パイ投げ祭りの時の最初に戦った女子生徒か!?{詳しくは第15話を参照}」


蓮乃「あったり~、2年C組の「中泥 蓮乃(なかど はすの)」です。思い出して嬉しいよ。」


勉「それで、中泥さんは何で僕に話しかけてきたの?」


蓮乃「私、ジュリエットの母親役で出るの。」


勉「確かロミオとジュリエットの両親が仲が悪いことで有名だから、演技では掛け合いが多いってことだよね。」


蓮乃は軽く微笑んだ。実は彼女も勉のことが気になっていた人の一人だった。そして彼女の登場が後に勉と華の運命を大きく変えるのであった。


一方その頃、模擬店班の一組では「ハロウィンカフェ」を計画していた。華はみんなの話を聞いているようなそぶりでボーっとしていた。


華「(知り合いがほとんど演劇組に行っちゃった・・・・・・)」


寅之助「これである程度決まったんだが、ぜひ百合根さんにはホールスタッフをお願いしたい!」


華「えっ・・・・・・ごめん話聞いてなかった・・・・・・」


寅之助「ではもう一度言いましょう。百合根さんにホールスタッフをお願いしたいのです。」


女子生徒A「料理の方はどうするのよ。」


寅之助「そこはこれから何とかすればいいだろう。」


女子生徒A「計画性ないわね・・・・・・」


華「ハードスケジュールになりそうな予感がするわね。」


メアリー「華ちゃんなら大丈夫ですよ~私たちもついていますしね。」


とメアリーは華の肩を軽く叩いた。


華「うん、頼りにするわね。」


華は微笑んだ。ちなみにハロウィンカフェの主なメンバーは華、練磨、乱麻、メアリー、ミミ、寅之助、点睛などがいる。


メアリー「壁山、今回は私のそばにずっとつかなくても大丈夫よ。あなたは自分のやりたいことをすればいいわ。」


ミミ「しかしお嬢様。一人にしておくのは不安でして・・・・・・」


乱麻「大丈夫、俺たちで障司さんをサポートしておくから。」


ミミ「そうですか・・・・・・では、お嬢様をよろしくお願いします。」


ミミは軽く頭を下げると、寅之助の舎弟の点睛に向かって行った。


メアリー「ミミ、あの画竜さんとお付き合いを始めてから彼の話ばかりしていますのよ。」


練磨「まさか、画竜が壁山さんに告白したとは・・・・・・夏休みに何があったんだよ。」


乱麻「あれだろ、夏休みマジックってやつだろ?」


まさかのカップルが発表され話が逸れてしまったが、料理の材料を共有棟3階の家庭科室に運ぶため大きな小麦粉の麻袋を華と女子生徒2人で運んでいた。


女子生徒B「これ、女子2人で持つには重すぎるわよね。」


華「でも階段上ってすぐだから頑張ろう。」


2階で演劇班の勉と寝待が職員室から出てきたところにばったり遭遇してしまった。


勉「あ、お疲れ様。」


華「勉くん!?」


女子生徒B「ちょうどよかった。これ2人じゃ重くて大変なの。真面野くんたちも手伝ってくれない?」


勉「いいよ。僕たちもこれから教室に戻る予定だし。」


寝待「俺もいいぜ。」


華「ありがとう。」


こうして4人で持ち上げることに


勉「華さん、持つ場所変わるよ。その場所だと後ろで歩かなきゃいけないし重くなるから危ないよ。」


華「大丈夫、それより去年の果報くんみたいにケガしてもらったら困るし。」


寝待「ごめん、今年は気を付けるから・・・・・・」


女子生徒B「でも2人のおかげでだいぶん軽くなったわ。」


階段を慎重に上っているとプチッと何かが切れる音が聞こえた。小麦粉の入っている麻袋のひもが切れ、斜めになっていたため、粉が華に雪崩のように襲ってきた。


華「きゃああああああああ!!」


勉・寝待「わぁあ!!」


勉と寝待が慌てて麻袋を持ち上げて雪崩を止めたものの華は小麦粉で全身真っ白になってしまった。


華「ゲホゲホ・・・・・・もう、全身真っ白・・・・・・」


勉「これは・・・・・・片付けに時間かかりそうだな。すいません。あなたは華さんをシャワー室へ連れて行ってもらえないですか。」


女子生徒B「分かったわ。」


勉「僕たちはここを片付けよう。」


寝待「だな、まあ白くなるけど百合根さんよりはマシだろ。」


華「ごめんね、2人とも・・・・・・」


華は女子生徒と一緒に女子棟のシャワー室に向かった。その後、勉と寝待はこぼれた小麦粉をほうきとちりとりで片付けていた。周りに粉が舞いだして勉と寝待の制服も真っ白になってしまった。(上は白シャツなのであまり被害はない)


寝待「これでいいかな。」


勉「そうだな。遅くなったし早く戻るとするk・・・・・・」


勉が階段を上がると廊下で全力疾走していた女子生徒とぶつかった。


勉「イデデデデ・・・・・・」


?「すっ、すみません。」


女性が謝ると走ってその場を後にした。


寝待「今のって、1年の喜籐さんだよな。」


勉「何があったんだ。少し目に涙を浮かべていたし。」


向こうから大和が息を弾ませて勉たちのところ来やってきた。


大和「真面野先輩、喜籐さん見ませんでした?」


勉「大和くん?喜籐さんなら向こうに行ったけど」


大和「そうですか・・・・・・参ったな。」


勉「話聞くよ。」


一方その頃、粉まみれになった華は女子棟のシャワー室で体についた粉を全部落とし、女子生徒に持ってきてもらった華の体操服とハーフパンツを着ていた。


華「酷い目にあった・・・・・・制服後でクリーニングに出さないと・・・・・・」


華が班の教室に戻ろうとしたその時、下駄箱の方から女性のすすり泣く声が聞こえた。華はその声にビビった。


華「(え、もしかしてオバケ・・・・・・)」


華が声のする方へ進んだ。そこでは体育座りで泣いていた哀羅の姿が。


華「哀羅ちゃん!?」


哀羅「百合根・・・・・・先輩。」


華「どうしたの!?」


哀羅「百合根せんぱ~い・・・・・・」


哀羅の目から涙が溢れだした。


華「泣かないで、話聞くから!!」


こうして勉は大和、華は哀羅から話を聞くことに。華は哀羅にスポーツドリンクを差し出した。


哀羅「ありがとうございます・・・・・・」


華「それで、何があったの?」


哀羅「実は、私と塵積くん2人で主役をやることになったんです。それで練習の時に塵積くんにいろいろダメ出しをされて・・・・・・私も言い返そうとしたんでしたけどだんだん悔しくなって・・・・・・」


華「そう・・・・・・」


一方その頃勉と大和は


勉「それは大和くんが悪い。」


大和「え、確かに僕が悪いかもしれないですけど・・・・・・」


勉「大和くんは言わなくてもいいことを言う悪い癖がある。本当は直した方がいいと思うけど難しいだろう。人間の癖は簡単には直せないからな。」


大和「そんな、どうしたらいいのですか!?」


勉「簡単なことだよ。喜籐さんに謝るんだ。」


大和「やっぱり、そうですよね。」


勉「とりあえず今日は遅いからもう帰ろう。明日、朝一番に謝りに行くんだよ。」


大和「分かりました・・・・・・」


勉と大和はそれぞれ荷物を取りに行って帰宅をすることに。帰宅後、華にその後の様子を報告しに電話をした。


勉「そうか、喜籐さんとそんな話をしていたんだな。」


華「あの子、負けず嫌いなところがあってね。だったら、向こうが文句を言われないまで演技上手くなりますって言いだしてね。」


勉「マズいな、ヒートアップしすぎだ。何とかして2人を止めないと・・・・・・」


華「ねえねえ、私にいい作戦があるんだけど・・・・・・」


華は勉にある作戦を伝えた。果たしてその作戦とは?


第40話(完)

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