第13話 白羽と卯円の苦悩
生徒会室では不穏な空気が流れていた。
白羽「もういい!お前には頼まない!」
卯円「あっそう!こっちから願い下げだ!」
卯円は生徒会室を後にした。
類「ちょっと卯円ちゃん!?」
笑福「おいおい、大丈夫かよ・・・・・・」
白羽「あんな奴、放っておいてください。」
勉「何で、こんなことに・・・・・・」
それは数十分前のこと・・・・・・
笑福「みんな、話があるんだ。」
団子「新しいダジャレなら聞かないですよ~
笑福「そうそう新しいダジャレがスベるからやめなシャレって・・・・・・」
生徒会室が凍り付いた。
勉「あの、話って何ですか?」
笑福「コホン・・・・・・ああ、そうだった。実は今月をもって俺は生徒会長を下りることになった。」
勉「もうその時期ですか。」
団子「この話に会長の出番があまりないですから視聴者さん忘れていると思いますよ~」
三八「団ちゃん。誰に向かって言っているの?」
華「では、次の生徒会長は誰になるのですか?」
勉「生徒会長は代々成績優秀者がやることになっているんだ。来年からは、矢立に生徒会長をやってもらう。」
白羽「ついにこの時が来ましたね。」
類「11月に生徒会長の交代式があるんだけどその時に生徒会長推薦の手紙を副会長が書いて読む決まりになっているの。副会長は女子の学年優秀者がやっているから今年は卯円ちゃんだね。」
卯円「まあ、そうですね。」
白羽「いやならやらなくてもいいんだぞ。」
卯円「あんたみたいなやつが生徒会長になるなんて頼りないからね。」
白羽「あん!今なんて言った!」
卯円「思ったことをそのまま言っただけだろ。」
白羽「塞翁貴様!」
生徒会名物、白羽と卯円の痴話喧嘩が始まった。
笑福「また始まった・・・・・・」
類「すぐ喧嘩するんだから。先が思いやられるわ。」
三八「この2人ってすぐ喧嘩するのですか?」
類「そう、仲がいいのか悪いのか・・・・・・」
勉「先輩方、喧嘩はやめてください。」
団子「先月まで喧嘩していた人が言っても説得力ゼロだけどね~」
勉「ぐっ・・・・・・(何も言い返せない・・・・・・)」
白羽と卯円の喧嘩は笑福と類の二人が止め、何とか手紙を書くことになった。卯円は生徒会室のパソコンでディスプレイとにらめっこしていた。
卯円「でも、なんて書けばいいのかな?」
類「ありのままを書けばいいじゃない。矢立くんが生徒会長になったらどんな学校を作ってくれるか。」
卯円「別に、期待していないんで。」
類「またまたそんなこと言っちゃって。」
卯円「本当のことですよ。」
笑福「こりゃあ苦戦しそうだな。」
卯円「類先輩はどうやって書いたのですか?」
類「私はありのままのことを書いただけよ。」
笑福「類、お前・・・・・・」
類「だって好きな人をアピールするのに嘘は必要ないでしょ。」
笑福「類~!」
類「笑福く~ん!」
これまた生徒会名物の笑福と類のバカップル漫談が始まった。
団子「ごちそうさまでした。」
三八「友呼先輩、会長のことを笑福くんって言うのですね。初めて聞いた。」
それから5分経過・・・・・・
卯円「もう無理、何も思い浮かばない!」
白羽「だった無理に考えなくてもいいよ。」
卯円「何その言い方。せっかく私がいろいろ考えていたのに。」
白羽「もういい!お前には頼まない!」
卯円「あっそう!こっちから願い下げだ!」
卯円は生徒会室を後にした。
類「ちょっと卯円ちゃん!?」
笑福「おいおい、大丈夫かよ・・・・・・」
白羽「あんな奴、放っておいてください。」
勉「何で、こんなことに・・・・・・」
華「恐れていたことが起こりましたね・・・・・・」
類「私、卯円ちゃん呼んでくる。」
華「私も行きます。」
2人は卯円を探しに行った。
白羽「ったく、アイツは。」
笑福「お前もいい加減に吐いたらどうだ。好きなんだろ、塞翁さんのこと。」
白羽は顔を真っ赤にした。
勉「え、本当ですか?」
白羽「・・・・・・だったら何ですか。」
勉「てっきり仲悪いとばかり思っていたのに。」
団子「勉くんはもう少し恋の勉強したほうがいいね~」
勉「え、どういうこと?」
白羽「だから、ショックだったんです。あいつが何も思い浮かばなかったのが。」
笑福「いやいや~お前は何も分かっちゃいないな。あれは、お前の前だから恥ずかしくて書けないんだよ。塞翁さんは。」
白羽「それは・・・・・・」
笑福「とにかく、類と百合根さんが塞翁さんを連れ帰るまで待とうぜ。話はそこから、それとまず最初は謝れよ。女性が悪くとも最初に謝るのが男ってもんだからな。」
白羽「あ、はい・・・・・・」
一方そのころ卯円を探している2人は。
華「塞翁先輩。どこですか?」
類「卯円ちゃ~ん。」
華「いないですね。」
類「一人でどこまで行ったのか。」
メアリー「あれ~華ちゃんじゃない?」
華「メアリーちゃん!」
類「もしかして華ちゃんのクラスメイト?」
メアリー「1年A組障司メアリーよ!よろしくね、先輩!」
類「あ~よろしく・・・・・・」
ミミ「メアリー様。こちらにいましたか。」
華「ミミちゃんも。」
ミミ「これは百合根様。」
華「そうだ、ミミちゃん。この近くで泣いていた人いなかった?」
ミミ「そういえば向こうのほうで見ました。」
類「ありがとう。それじゃあね。」
2人はその場を去った。
メアリー「ねえミミ。あの人たちは誰を探しているのかな?」
ミミ「誰でしょうか?」
その後、花たちは無事卯円を発見した。踊り場の隅で体育座りしながら泣いていた。
卯円「何ですか・・・・・・」
類「戻ろう。みんな心配しているわよ。」
卯円「無理です・・・・・・」
華「無理って、本当にこのままでいいのですか?」
卯円「このままって・・・・・・」
華「仲直りするべきです。このまま喧嘩しても何も残りませんよ。」
卯円「でも、いまさら何を言えばいいの・・・・・・」
類「それは、卯円ちゃんのありのままを伝えればいいと思うわ。男というのはみんな、かまってちゃんみたいなものなのよ。」
華「副会長、それは言い過ぎなのでは?」
類「言い過ぎではないわよ。本当のことだもの。多分矢立くんは何も思い浮かばないって言われてショック受けたんじゃないの?」
卯円「そう、なのですか?」
類「とにかく戻ろう?話はそれからよ。」
卯円「はい・・・・・・」
華「でも、塞翁先輩は矢立先輩のことが好きですよね。なんていうかよく言う喧嘩するほど仲がいいってことですか。」
卯円「{慌てふためく}え!?なんでわかったの?」
華 う~ん、女の勘ってやつですかね。
類「あっハハハハハ! こりゃあ華ちゃんに一本取られたわね。でも卯円ちゃんバレバレよ。」
卯円「そんな・・・・・・」
類「立てる?さあ、生徒会室に戻ろう。」
卯円「はい。」
2人は無事に卯円を生徒会室に戻した。
類「ただいま戻りました!」
笑福「お~類、戻ってきたか。」
卯円「あの、会長。突然出て行って申し訳ありませんでした!」
笑福「いいって大丈夫だよ。 それに、謝るのは俺じゃなくて矢立だろう。」
卯円「はい・・・・・・」
卯円は白羽に視線を合わせた。
卯円・白羽「・・・・・・・・・・・・。」
勉たち6人は話を聞かないように全員それぞれの課で仕事をし始めた。
白羽「・・・・・・ここじゃああれだから廊下で話そうか。」
卯円「あぁ。」
2人は生徒会室を出た。
白羽「全く、お前のせいでどれだけの人に迷惑かけたと思っているんだ。」
卯円「それはアナタの言い方に問題があるからだと思うけど。」
白羽「つまり俺が悪いということか!?」
卯円「誰もそんなこと言ってないだろ!」
白羽「その言い方だと俺が悪いってことだろ!」
卯円「うるさい!そんな大きい声出さなくてもいいだろ!」
白羽「・・・・・・すまん。」
卯円「え?」
白羽「だからさ、ごめん。俺たち別に付き合っているわけでもないのに推薦者の手紙を書かせてしまってさ。」
卯円「そんな、こちらこそごめん。別に悪く言ったわけじゃないのは私分かるから。 その、白羽くんの推薦者の手紙、私に書かせてくれないか?」
白羽「うん、いや、卯円さんじゃないとだめだからさ。だって・・・・・・」
卯円「だって?」
白羽「・・・・・・きだから。」
卯円「なんて?」
白羽「だから!お前のことが好きなんだよ!」
卯円「え? ウソ!」
白羽「くっ、言ってしまった。」
卯円「そっか。私ら両思いだったんだ。」
白羽「え?ということは。」
卯円「私も、白羽くんのことが好きだったの。でも口を合わせれば喧嘩喧嘩で、てっきり嫌われていたのかと思ってさ。」
白羽「何だよ・・・・・・この中途半端な告白は・・・・・・俺のバカ。」
卯円「そんなことないから。嬉しかったぞ。白羽くんから告白してくれて。」
白羽「ということは?」
卯円「あぁ、よろしくな。」
こうして両思いだった白羽と卯円は無事に付き合うことになった。生徒会室に帰ると勉以外の役員は全員泣いていた。
笑福「矢立、よく頑張ったな!」
白羽「会長!今の話聞いていたのですか?」
華「先輩!おめでとうございます!」
卯円「これも百合根さんのおかげだよ。ありがとね。」
類「え~私には感謝の言葉とか無いのかい?」
そして、交代式当日、新生徒会会長矢立白羽は無事に交代式を終えることができた。
白羽「今日から俺が生徒会長か。」
卯円「何、緊張しているの?」
白羽「バッ、緊張なんか!」
卯円「してるんでしょう?」
白羽「うるせえ!お前はいつも人のことを言う前に自分の性格をどうにかしたほうがいいんじゃないのか!」
卯円「何で急に私の話になんだよ!」
白羽「大体お前はな・・・・・・!」
笑福「やれやれ、付き合い始めても喧嘩は変わらないか。」
類「先が思いやられるわね。」
そしてもう一人不安になっている人が
勉「どうしよう、僕会計課長になったんだけど・・・・・・」
華「大丈夫だってきっと勉ならできるって。私も書記課長がんばるからさ。」
勉は会計課長、華が書記課長になりました。
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