17話 ヤバ刑事(デカ)VS悪魔



 俺は、経緯を話した……が、そもそもランドウと呼ばれる男と


面識はなく、襲われる理由もわからないと話した。


「なるほどな……」


俺の話にタッキーさんはそう答え。


「まぁ、署でこいつら締め上げればわかる……じゃないか?


タッキー」


と横でユウジンさんが言う。


「だなw」


とユウジンさんに返すタッキーさんだった。


 タッキーさんは、スーツの内ポケットから例の『小槌』を


出し、それを振ると\パッ/とインコが現れた。


(えっ、何それ)


出てきたインコを手に乗せ、小さな豆(ひよこ豆)を1粒取り出し、


「はい、ぴーちゃんこれね」


と食べさせ、


「滝沢より本部へ、現在、南区本牧ほんもく港湾通り倉庫街にて、


誘拐犯とおぼしき容疑者3名を拘束、なお、誘拐されたと思われる


1人の少年も同時に保護、こちらに護送車両を回されたし以上!」


とインコにしゃべる。


そして、


「ピーちゃん復唱は?」


と言うと、今さっきタッキーさんが言った通りと言うか、声まで同じ


でインコがしゃべった。


「よし、頼んだよ」


とタッキーさんがインコにそう声を掛けると、インコは、先ほどラン


ドウが、開けた壁の穴から飛び立っていった。


 後で聞いたら、このインコは、クリスタル警察で使われる連絡用


インコで、インコに与えた小さな豆は、リコルドの実と言う木の実


で、インコの記憶を一時的に、増幅できるそうだ。













 投げた手裏剣を俺は回収していると、タッキーさんが俺に聴いて


きた。


「それは、どこで手に入れた?」


なので、


「あぁ!これですか……ガイセルさんが作ってくれましたw」


と答えると、ターッキーさんは”えっ”て顔して、


「んっ、ガイゼルって、あの『ガンボー』のカイゼル・


ミュラーか?」


と聞いてくるので、


「はい」


と答えると、腰の後ろからS&W M49 ボディガード


を抜き俺に見せ、


「これもカイゼル・ミュラーの作品だぜw」


と言う。


「えっ、ガイゼルさんとタッキーさんってお知合いですか?」


と聞くと、


「んっ、まぁ、知り合いと言うか、俺達も以前『ガンブレイブ』


に居た冒険者さ」


と笑顔で答えてくれた。


タッキーさんの話だと、タッキーさんとユウジンさんは元冒険者


って言うか、『ガンブレイブ』で冒険者やっていたそうだ。


 タッキーさんの本名は、ケヴィン・ロックハート バーン


王国出身の40歳。


(40歳には見えないな)


って思ったら、


≪今の姿はブランチだからじゃない?≫


と、三毛猫オトアに突っ込まれた。


 ただ、警察の仕事をしている時は、普段の姿ではなくこの


ブランチの姿なので、このブランチの名前である刑事ドラマ


『ヤバ刑事デカ』の”滝沢敏樹”を名乗ているんだとか。


 で、


ユウジンさんは、と言うと、本名コラット(猫人)で、


デンスアーラ共和国(獣人)出身の40歳。


ユウジンさんもタッキーさん同様、警察の仕事をしている時は、


刑事ドラマ 『ヤバ刑事デカ』の”大川勇人”を名乗って


るそうだ。


 因みに、タッキーさんが使ったブランチスキルは、


『ウイークポイント』と言って、敵の弱点がわかる能力だそう


で、ユウジンさんが使ったブランチスキルは、『攪乱』で敵を


攪乱できる能力だ。


弾の給弾についても、弾がなくなると、銃口を地面に向けるだけ


で、自動で給弾つまり、ブランチの魔力が尽きない限り、弾は撃


てるそうだ。


 また、使用銃器については、『ヤバ刑事デカ』のドラマ


映画で、敵味方関係なく使用した銃器を出せるそうだ。



 話を戻すと、トムさんやガイゼルさんが引退を決め、チーム




を解散するおり、2人をクリスタル警察に推薦してくれたそうだ。


 で、


 その時、餞別としてこの銃をタッキーさんにガイゼルさんが


プレゼントしてくれたものだとか、今でもガイゼルさんが以前


やっていた武器防具の店(現在ガイセルさんの弟経営)で、


この銃用の弾丸を分けてもらっているそうだ。


「なんだ、ガイゼルの知り合いかよ~」


俺とタッキーさんの話にユウジンさんも加わってくる。


「道理で、お前の手裏剣と俺の銃と能力が似てると思ったぜ」


の言葉に俺が聞く。


「似た能力と言いますと……?」


 タッキーさんの説明によると、タッキーさんの銃と言うより、


その使用弾丸に秘密があって、この銃に仕込まれている黒い弾丸


は、当たると相手の体内の魔力を外に放出する効果があるそうで、


それを聞くと、俺の手裏剣と似てるところはあるかな。


 俺の手裏剣の場合は、放出ではなく魔法に変換して放出する訳


だけど、まぁ、相手から魔力を奪う点では同じだとな。


 俺がカイゼルさんだけでなく、復活した『ガンブレイブ』に


お世話になっていると聞いて、タッキーさんとユウジンさんの


2人は急に俺に親し気に話しかけてきた。


「君、名前は?」


とユウジンさんに聞かれたので、


「僕は日向天太ヒムカイテンタです、それにこちらが、涼風響スズカゼオトアです」


と三毛猫を指して俺が紹介すると、


「何で猫に人の名前を付けるんだ?」


と不思議がるユウジンさん。


 そこで、この世界に来た経緯から、俺は2人に話すのだった。












「なるほど……」


と俺の話に考え込むタッキーさん。


「じゃ、その悪魔ってのが、ランドウを雇ったのかもな」


と軽く言うユウジンさんに、


「悪魔が人を雇うかぁ~」


と俺の顔を見て言うから、


「わかりません」


と俺は答えると。


「まぁ、そーだよな~」


とユウジンさんが同意してくれた。


「ところで、テンタこのこと、ガイゼルやトムには


伝えてるのか?」


とタッキーさんに聞かれ、


「あっ!忘れてた」


と俺が思わず声に出すと、


≪もう、トムさん達には連絡したよ?≫


って三毛猫オトアが俺に念話で言う。


≪えっ、いつ?≫


≪さっき、インコを見て連絡取らなきゃって思ったの≫


と俺の質問に答える三毛猫オトア


で、


≪トムさんの話だと、トムさんは、少し遅れるみたいで、


先にCG隊がこちらに向かっているって言ってた。≫


≪そうなのか≫


俺と三毛猫オトアが、顔を見つめ合っていたので、タッキー


さんが気づいたみたいで、


「で、なんだって?」


と聞いてくるので、すでに三毛猫オトアが念話で連絡して


おり、迎えが来ることを話した。


その時、突然声がした。


「いけませんねぇ~また邪魔が入りましたか」


その声に、俺を含め全員が声のする方に向く。


 そこには、あの時オトアの体と共に消えた執事風の


男が立っていた。


「あっ、あの時の!」


と俺が思わず叫ぶ。


「「何っ!!」」


とタッキーさんとユウジンさんが同時に銃を抜き、構える。


「ほぉーほほっ」


執事風の男は余裕の笑みを浮かべながら、自分のの前に仰


向けに転がるランドウ達に、近寄りそして、しゃがみ込み


ながら、ランドウ達3人の口に小さな飴玉のようなものを


放り込む。


それを見たタッキーさんが叫ぶ。


「動くな!」


その言葉を聞いた、執事風の男は手をあげ、そっと立ち上


がる。


「動くと撃つぞ!」


とユウジンさんの言葉に、


「やってみろ!人間」


と急に険しい顔で言う執事風の男。


その言葉に、ユウジンさんが、\\バキュン//、\\バキュン


//、\\バキュン//、と


思わず、銃を発砲するが、執事風の男は、上げた右掌を


”クイクイ”とさせると、ユウジンさんが撃った弾がすべ


て空中で停まり、そして、”バラバラ”とその場の地面に


落ちた。


「「「何っ!!!」」」


俺を始めユウジンさんやタッキーさんも驚く。


 その時だった。


「「「ぬぉ――――!!!」」」


倒れていたランドウ達が後ろ手に掛けられていた手錠の鎖を引


きちぎり、ランドウに至っては首輪も引きちぎる。


そして、腕に残った手錠のリングも引きちぎると、見る見る体


色が紫色に変わり、頭は山羊に変わり、背中には、蝙蝠の羽が


生えた。


「テンタ、ここに居ろ!」


タッキーさんが、俺にそう言うと同時に、ユウジンさん共々、


ランドウ達の方に駆け寄りながら、銃を発砲する。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//、


\\\カンカンカンカン///


 しかし、悪魔化したランドウ達3人は、体から紫の闘気のよう


なものを出して、弾を跳ね返した。


そして、タッキーさんとユジンさんに向け、ランドウの手下2人


は口から火球を吐き、ランドウは右掌を突き出し、稲妻を撃った。


”\\ボッシュ//”\\”ボッシュ//”


”\\\バリバリバリ///”


 それを散会し、避けるタッキーさんとユジンさん。


2人の居た場所へ、火球と稲妻が当たる。


”ボー””ボー”


”\\\ズババババーン!///”


タッキーさんとユジンさんが居た場所の床に大きな穴が開く。


「あっぶねぇ」


と言いながら、ユウジンさんが額をぬぐう。


「ユウジン!」


タッキーさんは、自身の銃をガバメントから、レミントンM31


ソードオフ型(短く詰めたショトガン)に変え、それをユウジン


さんに見せると、ユウジンさんは、頷き自身の銃をウージー


(マシンガン)に変えた。


「ヤロー!」


ユウジンさんは、ウージー(マシンガン)に


変えると同時に発砲する。


”\\\バババババッ///”


それを見て、タッキーさんもショットガンを発砲する。


”\\バコン//””\\バコン//””\\バコン//”


\\\カンカンカンカン///


 しかし、ランドウ達の体からでる紫色の闘気に阻まれ、


攻撃が通らない。


「っく、ちょっとは痛がれ!」


”\\\バババババッ///”


ユウジンさんが悪態をつきなおマシンガンを撃つが、


\\\カンカンカンカン///と弾かれてしまう。


 その様子に気を取られている俺と三毛猫オトアの前にいつの


間にか執事風の男が現れ、


「ふん、痛めつけてやる」


と俺の首に手を伸ばそうとした時、俺の横に居た三毛猫オトア


の目が光る。


”ニャー”


すると、執事が俺の首に伸ばす手をはじく様に、青色のバリアー


みたいなものが、俺と三毛猫オトアを包み込んだ。


(ひょっとして、これオトアのブランチスキルか?)


「な・何っ!」


俺の首に伸ばした自身の手をはじかれ、驚く執事風の男。


「ええぃっ、小癪こしゃくなぁ!」


癇癪かんしゃくを起こしたような表情で、言うと、


自身の右腕を大きな斧に変えた。


「これで、たたき割ってくれるわw」


狂気に満ちた笑みを浮かべ、右腕の斧を振り下ろす。


\\バキーン//、\\バキーン//


三毛猫オトアが張ったバリアーは、執事の攻撃にびく


ともしないのだが……。


ここで、バリアーを張っていた、三毛猫オトアに異変が起


こる。


目の光が点滅し始め、体もふらつきだし、そして、”バタ”


と倒れる。


「オトア!オトアどうした~」


倒れた三毛猫オトアを揺さぶるが、返事がない。


 すると、三毛猫オトアが張っていたバリアーが\パッ/


と消えた。


俺は慌てて、三毛猫オトアを抱きかかえる。


”Zzz”


(寝てるのか?)


寝ている三毛猫オトアを見て、ほっとしたのもつかの間、


バリアーが消えてたのを見て、ほくそ笑む執事風の男。


「ここらが、年貢の納め時ですよw」


そう言うと、右腕の斧を振りかぶる。


(ヤバイ、やばいぞこの状況!)


焦る俺だった。













「ご安心ください、一思いには殺しませんからw、まずは、右目を


くりぬきましょうか~」


と嬉しそうに笑みを浮かべながら言う執事風の男。


そう言うと、斧に変えた右腕を元に戻し、右手中指を針のように


長く変え、それを舌なめずりしながら、俺に迫って来た。


(どうする、どうする俺)


 その時だった。


\チリンチリン/


 ”ビユーン”彡


倉庫の入り口から、ものすごいスピードで、東南アジアのタイで


、よく見るトゥクトゥク(三輪バイク)に似た銀色のそれが入っ


て来た。


 そう、CG隊(クリスタル警備隊)のポインター号だった。


”\\ボンッ//”


ポインター号は、入り口付近で、タッキーさん達と闘っていた、


悪魔になったランドウ一味の一番小柄な手下を撥ね、こちらに


向かってくる。


 撥ねられた手下は壁にぶち当たり、


”\\ドン//”


壁にめり込む。


”\\キ――――――ッ//”


けたたましいブレーキ音と共に、


”\\ボンッ//”


今度は、俺の前に居る執事風の男も撥ねた。


俺に向かって執事風の男が飛んでくるので、俺はとっさに、三毛猫オトア


を抱きかかえたまま横に跳んだ。


”\\ドン//”


執事風の男は飛ばされ、倉庫の壁にはぶち当たったが、壁にめり込


みはしなかった。


「大丈夫かテンタ君!」


ポインター号を運転する(漕いでいる)バル隊員が、俺を心配し


て、声を掛けると同時に、2人の人がサッと、ポインター号から


降りて、サーベルを構えた。


 サーベルを構える2人と言うのは……。


 まず、ライオン頭で、尻尾もライオンの人は、獅子人で、


身長195Cm筋肉質のCG隊(クリスタル警備隊)隊長


のリエフ・キリマさん。


もう一人の人が虎頭で、虎の尻尾の虎人で、身長190


Cmがっしりとした体形のウルスス・フルシーさんだ。


「テンタ君こっちに」


バル隊員に言われ、ポインター号の方に避難する。


「おのれ~、私を愚弄しましたね、後悔しますよ」


壁にぶち当たり、倒れていた執事風の男が、闘志を燃やし


たような目つきで、キリマ隊長とフルシー隊員を睨み言う。


そして、


「漆黒よりも暗きもの汝の暗き祝福で 日の光を覆い尽く


せダーククラウド」


と呪文を唱えると、あたりが暗くなってきた。


そして、指を\パチン/と鳴らすと、3体のレッサーデ


ーモンを召喚した。


 これは、のちに聞いた話だが、人間やその他の魔物など


に受体した悪魔は日の光を浴びても、平気だが、アストラ


ル体(精神体)であるレッサーデーモンは、日の光に弱い


ため、それを防ぐために、一時的に日の光を遮る黒雲を発


生させ、日の光を遮断する悪魔が使う魔法が”ダーククラ


ウド”らしい。


 (あたりが少し暗くなってきた)


(それに……数で負けてますけど……大丈夫ですか?


キリマ隊長~)


と、この状況に少し不安に思う俺だった。


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