16話 テンタVS転生者



------(テンタ視点)------☆



 俺は3人組と距離を取る。


俺の前には三毛猫オトアが立ち、3人を威嚇する。


”シャー”


「このガキ!」


三毛猫オトアに顔を引っかかれた小柄な男が手で、


顔に着いた傷を確かめ叫ぶ。


「あなた達はいったい……」


と俺が身構え3人の男に聞くと、


「あ~ん、俺達か?」


と不敵な笑みで、太っちょのリーダー格と思しき


男が言う。


「俺たちゃ、今からお前を殺す男だよぉ!」


とリーダー格ではない、三毛猫オトアに顔を引っかか


れた小柄な男がナイフを懐から出し言う。


そのやり取りの間に、もう1人のモヒカン男が、止めてある


荷馬車の荷台から青龍刀を持ち出し、


\シャキーン/


青龍刀を抜き俺と三毛猫オトアに刃を向ける。


「まず、お前の腕を切り落としてヤルぜ」


と言いながら、青龍刀で俺達に切りかかる。


≪オトア下がって!≫


俺の前に居る三毛猫オトアにそう念話で告げると、


俺は三毛猫オトアの前に出た。


 青龍刀で迫るモヒカンの男は、上半身裸で、黒革の


ベストに黒革のパンツ姿。


(ならば!)


 俺はベルトの右にある黄色の☆型手裏剣を取り、


投げる。


”シュルシュル~”


\バシュッ/


見事、モヒカン男が青龍刀を持つ手に刺さる。


と同時に、



”\\\ビリビリビリ~///”


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


モヒカン男に刺さった☆型手裏剣から、電流が


モヒカン男の全身に流れ出した。


モヒカン男が青龍刀を持ったまま、体をひくつかせ、


\バタッ/


とその場に倒れる。


「なにぃ!」


その光景にリーダー格の男が目をむき驚く。


「てめぇ~兄貴になんてことをしやがる!」


と、今度は小柄な男が俺にナイフを持ち向かって


きた。


 この男は、茶色の革ジャンに白のパンツ姿なのを


見た俺は、向かってくる小柄な男の額に向け、ベルト


バックル右の赤い☆型手裏剣を取り、投げた。


”シュルシュル~”


\バシュ/


見事、小柄な男の額に刺さる。


と同時に、


\\ ボォ~~~!//


赤い☆型手裏剣が刺さった小柄な男の額から、


炎が噴き出した。


「あちゃ、あちゃ、あつ」


小柄な男は、額に刺さった☆型手裏剣を必死で抜こう


とするが、手裏剣が噴き出す炎で焼かれ、熱くて取れ


ないようだ。


 取れないと分かると小柄な男は地面を転がり、炎を


消そうとするが、消えない。


 やがて、炎が消えるがその時には、小柄な男も


ぐったりする。


(魔力切れだね)


その様子に危険を察したのか、リーダー格の男が叫ぶ。


「フォルス」


と叫び、小柄な太っちょの姿から、身長2mのがっしり


した筋肉質の武闘家へと変身した。


(これがブランチ?)


 俺はすぐさまこの武闘家にベルト右後ろの白い☆型手


裏剣を取り投げた。


”シュルシュル~”


 しかし、武闘家は、


流星拳りゅうせいけん!」


と叫んだかと思うと、目に見えない速度でパンチを繰り出し、


”シュッ””シュッ””シュッ”


\カキーン/


と手裏剣を弾いた。


そして、にやりと笑い俺に向かって、


「小僧、それだけか!」


と言う。



(ヤバイ……、やばいぞ俺)













 残る手裏剣は、赤(炎)、黄(電撃)、白(氷結)各1個ずつ。


(どうする俺……)


 リーダ格の武闘家(ブランチ姿)は、余裕の笑みを浮かべ、俺に


近寄ってくる。


 俺はとりあえず、赤の手裏剣を手に構えてはいるが、ジリジリと


間合いを詰められて行く。



 その時だった。


\ガラガラガラ/


と倉庫の扉が開いた。


「誰だ!」


と、扉が開いた音に反応し、リーダ格の武闘家(ブランチ姿)は


叫ぶ。


俺も扉の方を見ると、倉庫の扉の前に立つ2人の男の姿があった。


 ダークスーツに身を固め、サングラス姿で、手には銃を持って


いる。


その男達のうち少し背が低い方の1人が言った。


「クリスタル警察だ!」


2人男は、バッヂのようなものを見せる。


「ケッ、こんな時に!」


毒突く武闘家。


そんな武闘家を見て少し背の高い方の1人が、


「なんだ、ランドウか!」


と落胆気味に言う。


「何だとはなんだ!」


と2人のクリスタル警察を名乗る2人に近づき吠える。


ランドウと呼ばれた、リーダ格の武闘家(ブランチ姿)


の男。


クリスタル警察を名乗る2人も銃を構えたまま、ランドウ


に近寄り言う。


「俺達はな、ここでブースター(一時的にステータスを


上げる薬)の取引があるとタレコミがあって来たんだよ」


と背の低い方のクリスタル警察の人が言うと、


「けっ、もうここではやってねーよ」


とランドウが言うと、


「じゃ、どこでだ」


と背の少し高い方のクリスタル警察の人が言う。


「しらねーよ!」


とその言葉に言い返すランドウ。


「あ、そうか、じゃ」


と少し背の低いクリスタル警察の人がランドウに背を向け


去ろうとして……。


「っんな、訳にはいかないんだな、これが」


と振り向きランドウに言う。


その言葉に、ランドウが


「邪魔するんなら、お前らも死ね!」


と言いながら、攻撃の構えをし、


流星拳りゅうせいけん!」


と叫び目に見えない速さで、パンチを繰り出すが、


「ユウジン!」


「OK、タッキー!」


クリスタル警察の2人はお互い声を掛けながら、散会する。


散会と同時にクリスタル警察の2人は銃を発砲する。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


クリスタル警察の2人の発砲と同時に、ランドウが


龍尾旋風脚りゅうびせんぷうきゃく!」


と言い回転しながら蹴りを出し、


\\\カンカンカン///


と自身に向け、発砲された銃弾をすべてはじき返す。


 その時、今までおとなしかった荷馬車を引いていた2頭の


馬が銃声に驚いたのか暴れだす。


\ヒヒーン/


挙句、馬車を引きづりながら、倉庫中暴れだす。


\\\ドスン///


\\\ガシャン///


危ないので、俺と三毛猫オトアは倉庫の端に避難する。


「あぶねぇ~」


ユウジンと呼ばれた少し背の低い方のクリスタル警察の人が


暴れるう馬車を避け言う。


すると、少しタッキーと呼ばれた背の高い方の人が、


馬車と馬をつないでいる器具めがけて、銃を発砲した。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


\\\カキン、カキン、ガシャン///


 彼が撃った弾は、上手に馬を避け器具を破壊する。


 馬車と切り離された馬は、しばらく倉庫の壁に頭を


ぶつけたりしながら、倉庫入り口から出て行った。


(ふう~)

 


 タッキーと呼ばれた人が、荷馬車と馬を切り離している


間、もう1人ユウジンと呼ばれたの人が、ランドウ目掛け、


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


撃ちまくっているが、それをランドウは、


龍尾旋風脚りゅうびせんぷうきゃく!」


と言い、回転しながら蹴りを出し、


\\\カンカンカン///


と自身に向け、発砲された銃弾をすべてはじき返す。


「野郎ぅ~」


と言いながら、ユウジンと呼ばれた人の目が光った。


 これは、転生者が持つブランチスキルを発動した状態


だと、教科書に載っていたやつだ。


 そのユウジンさんに向け、ランドウが攻撃を仕掛ける。


「飛竜三段蹴り《ひりゅうさんだんげり》!」


空中に留まった状態での、三段蹴り(3回連続で蹴る)


を繰り出すが、なぜかユウジンさんが居る場所から少し


ずれた位置を攻撃する。


”\\\ドンガラガッシャン/// ”


倉庫に置いてある廃材に攻撃を加えた挙句、そこに突っ込み


粉だらけになるランドウ。


 粉だらけになりながらも、すぐさま起き上がるが、


そこへ、タッキーと呼ばれた背の少し高い方のクリスタル警察の人が、


立て続けに銃を発射する。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


そのすべてがランドウに命中し、体が穴だらけか……と、思いき


や、体には銃弾の痣こそ付いているが、弾丸が体を通りはしなか


ったようだ。


 ランドウをよく見ると、、目が光っていた。


それを見たタッキーさんが言う。


「んっ!、テンポラリーガードか」



 タッキーさんが言う”テンポラリーガード”とは、確か教科書


では、一時的にダメージを半減できるブランチスキルだと書いて


いたよな。


 にしても、転生者のブランチの体力ってすさまじいな……。


タッキーさんが使っている銃は、コルトガバメント・カスタムだし、


ユウジンさんの使っているのは、コルト・キングコブラ2.5


インチ、どちらも本来強力な銃なはず、いくら、ダメージ半減の


スキルと言っても、普通痣だけですまないと俺は思うが……。


 それを見た、タッキーさんは、腰の後ろのホルスターから、


小さな銃を抜く。


(んっ、それは確かS&W M49 ボディガードかな)


そして、タッキーさんの目が光るとともに、


\\バン//


と一発だげ発射する。


そのタッキーさんが発射した弾は……。


「んっぐっ!」


何と、ランドウのお尻の穴に命中した。


すると、弾が当たったお尻の穴から、すごい勢いで


光の粒子が噴き出したって思ったら、\ボワ/ってランドウ


は、身長2mのがっしりした筋肉質の武闘家の姿から、元の


小柄な太っちょの姿へと戻った。












「公務執行妨害で逮捕だ、ランドウ」


そう言って、ユウジンさんが、黒い手錠を掛けようと、


ランドウに近寄った時だった。


「リセット」


とランドウが呟く。


すると、ランドウが、小柄な太っちょの姿から、身長2m


のがっしりした筋肉質の武闘家へと再び変身した。


「なっ!」


タッキーさんが驚きの声を上げると同時に、


「ユウジン、こいつのブランチレベルは?」


と、ユウジンさんに聞く、


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


ランドウに向け発砲しながら、ユウジンさんは、


ターッキーさんに言う。


「確かブランチレベル6じゃなかったか?」


それを聞いて、やれやれって感じで、


「じゃ、これで終わりだな」


と言うと、ユウジンさん同様、手持ちのガバメントで、


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


と連射し、ユウジンさんを援護する。


(この2人……さっきから全然給弾してないような……)


と俺は思いながらも状況を見ていると、先ほど、タッキー


さんにお尻の穴を撃ち抜かれたのを警戒し、タッキーさん


に背中を向けないように戦うランドウ。


 それに例の特殊能力の”テンポラリーガード”を使って


いるみたいで、ユウジンさんとタッキーさんの攻撃が、


全然ランドウに効いてないようだ。



闘気斬とうきざん!」


自身の周りを動き回るユウジンさん目掛けて、ランドウは、


拳から斬撃を打ち出した。


”\\\バリバリバリ///”



”\\\スパ―ン///”


ユウジンさんが、ランドウの攻撃を避けたのはいいが、


倉庫の壁に斬撃がぶち当たり、壁を破壊する。


”パラパラパラ”


壁が壊れた振動で、天井から砂埃が落ちてきた。


 ここで、戦いを見ていて俺は”はっ”と思った。


ランドウはタッキーさんを警戒するあまり、俺に背中


と言うか、お尻を向けているって、ことは……。


(当たるかな?)


と思いながらも、試に、赤い☆型手裏剣を取り投


げてみた。


”シュルシュル~”


\ズボッ/


「アガッ……」


当たった。


 偶然だとは思うが、ランドウのお尻の穴に\ズボッ/


……って刺さった。


「ぬぉ――――!」


と言う雄たけびを上げ、お尻の穴から炎を


噴き出した。


”ボ―――ッ”


それを見た、ユウジンさんとタッキーさんは、


口を開け、あんぐり状態で見ている。


「な・何を……してくれてん……こっ」


とお尻から炎を噴き出しながら、ランドウは、俺


の方を振り向き、何かを言いかけて、その場に


倒れた。


\ドスン/












 ユウジンさんとタッキーさん2人は、手際よく


ランドウの手下に後ろ手に黒い手錠をかける。


 この黒い手錠は、魔粒子集束阻害(魔法が使えない)


の効果があるそうで、ランドウには黒い手錠と共に


黒い首輪を装着していた。


 因みに、黒い首輪は、ブランチ発動阻害の効果が


あるらしい。


3人の拘束を終え、タッキーさんが俺達に近寄り、


「いったい、ここで何があったんだ?」


と聞いてきた。


「はい、えーと……」


俺もよく状況が呑み込めていないが、とりあえず


自身の身に起こったことを、タッキーさんに話す


のだった。



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