31日目 初夏の陽気
5月9日、修平は朝の天気予報で最高気温を確認すると、制服のブレザーは着らずに家を出た。駅に着くとヒロもブレザーを着ていなかった。
「修ちゃん、おはよ。今日は朝から日差しが強くて暑いね。」
ブレザーを脱いでシャツとニットだけの薄着になると、一層ヒロの胸のふくらみが気になってくる。
「ヒロ、やっぱり胸はなにか入れてるの?」
「朝から、修ちゃん、えっち・・・、でも修ちゃんなら触ってもいいよ。」
「ちがう、聞いているだけだよ。触りたくはないよ。」
確かにヒロはかわいいが、男の胸をさわるほど落ちぶれてはいない。
「来週の小テストは、このプリントから出すので、基本例題は解けるようになってください。」
3時間目、数学の先生がプリントを配って授業を終えた。ヒロのおかげで、英語は授業についていけるようになったが、数学は苦手で板書をノートに写す作業だけで授業が終わってしまった。
昼休憩になり、ヒロから弁当箱をうけとった。
「ありがとう。今日は何かな?」
「今日は肉団子の甘酢あんかけにしたよ。」
早速修平は弁当箱をあけて、片桐さんと村上さんと一緒に食べ始めた。
「ヒロちゃんのお弁当、今日も美味しそうだね。肉団子一つもらってもいい?」
村上さんが、肉団子をヒロのお弁当からもらい食べた。
「ヒロちゃん、上手、美味しいよ。」
「お母さんに教えてもらった通り作っただけだよ。お母さんも手料理で、お父さんを落としたんだって。」
ヒロは、村上さんと料理の話をし始めた。片桐さんに話しかけるチャンスと思い、修平は必死に片桐さんとの共通の話題を考え話しかけた。
「そういえば、片桐さんサッカーが好きって、サッカーのゲームもするの?」
「するよ。『ベストイレブン』あんまり強くないけど、やってるよ。」
ベストイレブンは、オンライン対戦もできるサッカーゲームで、選手を獲得したり、成長させたりして、クラブ世界一を目指すゲームだ。修平もヒロもやっていて、時々オンライン対戦もしている。
「そうなんだ。俺もやってるよ。」
「大森君もやってるんだ。今度対戦しよ。」
片桐さんの方から誘ってもらえてうれしかったが、あんまり喜ぶとヒロが不機嫌になるので、控えめに返事をした。
昼休み後は掃除の時間となっており、修平は当番となっている中庭清掃を終え教室に戻ると、菊池がまた落ち込んでいた。
また山崎に菊池が落ち込んでいる理由を聞くと、
「片桐さんがサッカー好きって言ってたから、サッカー部の菊池が今月末の試合観に来ないって誘ったら、『その日予定があるし、レベルの低いサッカーの試合には興味ないの。』って断られて落ち込んでいる。」
修平が教室に戻ってきたことに気づいた菊池は、
「どうしてお前だけ、片桐さんと仲良くなれるだ?何か秘密があるのか?」
菊池に聞かれたが、ヒロと仲良くしているつながりで、片桐さんとも仲良くなったが、それ以外の理由は修平にもわからない。それにヒロが、他の男子と仲良くするのは嫌なので、
「わからないよ。多分菊池が下心丸出しで誘ってるからだろ。」
修平は適当に誤魔化してそのばを離れた。
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