17日目 小テストとお弁当
4月25日月曜日、2時間目の英語の授業で、予定通り小テストが行われた。修平は今までにないテストの手ごたえを感じていた。
「3倍の本を持っています。」だから、「 times as … as」の構文だ。修平は解答欄に「 times 」と自信をもって書き込んだ。
ヒロの言った通り、構文のポイントを押さえれば楽に例文が覚えられた。たしかにテストに出るところも、構文のポイントとなるところだ。心の中で、「ヒロ、ありがとう。」と言いながら、解答欄を埋めていった。
英語以外の授業も、今までなら先生の板書をそのままノートに写すだけの作業でつまらなかったが、どこが大事なのかを注意して聞くようになると、授業が理解できるようになってきた。
昼休み、先週の約束通りお弁当を作ってきたヒロから弁当箱をうけとる。
「ヒロ、ありがとう。これ、弁当とテスト勉強手伝ってもらったお礼。」
修平は昨日買っておいたお菓子をヒロに渡した。
「修ちゃん、ありがとう。気を使わなくてよかったのに。」
そう言いながらもヒロは嬉しそうにお菓子を受け取った。
修平がお弁当箱を開けると、3色そぼろごはんに、きんぴらごぼうとウインナーが添えてあった。今日のお弁当も美味しそうだ。
「ヒロちゃんの今日もお弁当美味しそうだね。」
片桐さんもお弁当持参でやってきた。またクラス中の男子が、羨ましそうに修平にみている。
「私も一緒に食べてもいい?」
隣のクラスの村上さんもやってきて、4人でお弁当を食べることになった。修平の周りを3人の女子が囲んでいる。いや、ヒロは男だから、男女2人ずつなのだが、見た目はハーレム状態に、他の男子から陰口が聞こえてきそうだ。
「ヒロちゃんの手作りなんでしょ。優香から聞いていたけど、すごいね。」
ヒロの弁当を初めてみた村上さんは驚いていた。
「そぼろもきんぴらも昨日作ったから、今日の朝に、いり卵だけ作って弁当に詰めただけだよ。」
ヒロは謙遜して言っているが、今日テストがあるのはヒロも一緒だったはずなのに、昨日から作っていてくれたかと思うと申し訳なく思う。
「ヒロ大変だったら、弁当やめてもいいからな。」
「大丈夫だよ。修ちゃんが美味しそうに食べてくれるから、頑張って作ってくるよ。来週は何が食べたい?」
本当の彼女だったら嬉しいのだろうだが、男のヒロから言われると素直に喜べない。ヒロの見た目はかわいいのに、男なのが残念だ。
「ところで、また日曜日モンバトしない?」
村上さんがまたゲームをしようと誘ってきた。修平は、片桐さんのゲーム好きをクラスのみんなに知られていいのかわからず、その話題は極力避けてきたが、村上さんが言うならいいのだろう。
「いいけど、次はどれにする?」
修平がきくと、片桐さんもゲームの話題に加わってきた。ゲームの話題で盛り上がる4人に、クラスの男子が冷ややかな視線を送ってきたのは無視しておこう。
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