英明学園応援部

須藤凌迦

プロローグ

 努力とは才能のある人間がやってこそ意味がある。この世のほとんどを占める凡人がいくら頑張ったところで、天才が努力すればあっという間に差は開いていく。ならば何故努力をするのか、素晴らしいから?必ず報われるから?、どちらも否であり、努力とは報われないものである。努力を美徳とするのは、限られた一部の成功者が語る綺麗事であり、努力は報われるという言葉の前には『才能のある人間がやる』という枕詞が隠れているのだと彼、城ヶ崎努は密かに考えていた。子供の頃から努力が報われた経験の少なかった彼は中学の頃、野球部のレギュラーの座をもぎ取ったが、試合中に致命的なミスを犯し、それが原因でチームが敗北するというトラウマを抱えてしまった。これが決め手となり、彼は努力することを敬遠するようになる。そしてそんな彼は高校受験においても努力することを拒んだ。ほどほどの努力で高みを目指すことをしなかった。そんな彼は今年の春、英明学園に入学したのである。

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