第3話 合宿前

「長野県の北志賀の4泊5日合同合宿のしおりな!」


長野県の北志賀…4泊5日…


佳奈「え?!9人乗りのワゴン車2台で行くんですか?!」


「そりゃこの人数だったらバスじゃもったいないだろ。親睦を深めてもらうために生徒と先生で別れるからな」


え?!


雫「まい良かったねー」


『無理…心臓やられる…』


「澤田どうかしたかー?」


『なんでもないです。大丈夫です』


MARSと先生だけのミーティングが終わり…


練習室にやってきた。


由「4泊5日…行き帰りは一緒…自然と恋が生まれるねー」


雫「いやもう生まれてるでしょ。告白されてるんだから最初っから両思いよ」


佳奈「いや、わからないよー?もしかしたら他で彼女作ってるかも…」


『考えたくもない!』


由「5年ぶりの再会かー!齋藤くん覚えてくれてるかな?」


『Twitter見てたら西田くんも相沢学園居るらしいんだよね…』


雫「西田くんって?」


『齋藤くんの友達で齋藤くんが消えてすぐ齋藤くんを追って居なくなっちゃったんだよね…』


佳奈「なんでまいは追わなかったの!」


『勇気が出なかった。それだけよ…』


由「後悔してるんだね」


『うん』


そしてついに合宿の日がやってきた。


皆で学校に集合し、相沢学園まで行くため、電車に乗り込む。


由「まい、それ何?」


『5年前のバレンタインにチョコと一緒に渡すはずだった手紙。先に書いてたんだけど居なくなっちゃって渡せなかったんだ』


雫「渡すの?」


『まさか笑笑。もうこの手紙は渡せないよ笑。でもお守りとして持ってきたんだ』


佳奈「楽しみだね!」


『うん!』


そしてついに相沢学園にやってきた。


『ここが…相沢学園…』


由「齋藤くんの居る学校だね笑」


『…バカッ!』


雫「顔赤くなってるよー」


この4泊5日…大丈夫かな…。


由「その調子で大丈夫なの?ヴォーカルだから今から挨拶もしなきゃいけないのに」


『由香里代わりにやってよー』


由「あんたがやらなきゃいけないんでしょ!それに齋藤くんにいい所見せなきゃ!」


先「行くぞー!お前らー」


由「ほら!行くよ!」


『行きたくないー』


由「佳奈!雫!引っ張って!」


佳奈「はーい!」


雫「おうよ!」


『歩く!自分で歩くからー!』


先「初めまして!五十嵐学院軽音楽部です。こちらは…」


由「MARSです。よろしくお願いします」


相先「相沢学園高校軽音楽部です。こちらは」


?「Spacesです。よろしくお願いします」


Spacesはヴォーカル、ベース、ギター、ドラムの4人によるバンド。


齋藤くんがベースで西田くんがドラム。


ヴォーカルだけが女子で他が男子という珍しい組み合わせだ。


顔合わせが済み、バスに乗り込むのだが…


西「先生!ちょっといいですか?」


相先「どうした西田!」


西「ちょっと五十嵐高校に知り合い居るんでちょっと話していいですか?」


相先「ちょっとだけだぞ」


西「澤田、ちょっと…」



ってか西田私の事覚えてくれてたんだ。


西「久しぶりだな」


『久しぶり。覚えてくれてたんだね』


西「もちろん。誠ちゃんの初恋の相手だからなー」


『で、何?合宿前に』


西「誠ちゃんは記憶を失ってる」


『え?』


記憶を…失ってる?


西「しかも澤田の記憶だけピンポイントでな」


『齋藤くんを元に戻す方法ってないの…』


西「俺にも分からないんだ。あれからずっと記憶が無いんだ。恐らく澤田に振られたショックだと思う」


私のせい?


『記憶を失ってるのならまた思い出を作ればいい』


西「ふっ…澤田変わったな。昔は暗いネガティブ人間だったのに」


『齋藤くんのおかげだよ!齋藤くんのおかげで私は変われた!』


西「合宿。頑張ろうな!2人のこと影で応援してる」


『ありがとう!』

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