~Let's sing!~音と星が運んでくれた奇跡の物語

@Gippuru

プロローグ 初恋

父「あんた気持ち悪いんだよ!」


ボスっ


母「あんたなんか産まなきゃ良かった!」


バスっ


「わー障害者だー」


「触んな!菌が移る!」


私に居場所なんて無いんだ…。


勉強してたら何も言われないかな…。


気持ち悪がられないかな…。


私には勉強しかないんだ…。


先「澤田、中学受験したらどうだ?このままだと中学行っても居場所が無いだろ」


中学受験…か…


これなら親にも許してもらえるかも…


母「中学受験?!何言ってんの!」


ボスっ


父「授業料が高くなるだけじゃないか!それに入学費用に中高の授業料!私立なんぞ!」


ガッ


『ごめんなさい!お父さん!お母さん!それでも私は中学受験したいの!』


血を吐いてでも話す私に父も母も折れて私は中学受験コースに入学した。


友達なんて居ない。


さらに片付けも出来ない。じっとすることも出来ない。


だから気味悪がられる。


中学受験コースに行ったら勉強しよう…。


じっとしてられない人間だけど授業ならじっとしてられるから。


そう思い、入った教室。


そこで出会ったのは…


「あ!新しく入った子だよね!俺誠斗!齋藤誠斗!よろしくね!」


暗く俯いて歩く私に初めて笑顔を向けて話かけてきた男の子。


「名前!教えて!」


『さ…澤田…まい…』


「澤田さん!よろしくね!」


私とは正反対で周りにはいっぱい人がいて笑顔をいっぱい振りまくそんな齋藤くんが私の初めての友達になってくれた。


そしてそんな齋藤くんのお陰もあり私の唯一の居場所が塾になったんだ。


齋藤くんと話して、齋藤くんのことがよく分かった。


学校ではサッカー部に所属していて学業優秀、中学は名門の相沢学園中学高等学校を志望しているらしい。


完璧人間じゃん…。


6月には星を見て2人で夢を語ったんだ!


誠「僕はあの一番星になりたいんだ!どこかの分野で1番をとって有名になりたい!」


『齋藤くんなら出来るよ!』


時に障害者と虐められることがあっても


誠「辞めろよ!」


齋藤くんが止めてくれた。


本当に夢のような時間だった。


そして12月末、大晦日勉強合宿の前日、


誠「僕…澤田さんの事が好きです!」


告白された。


『…ごめんなさい。私齋藤くんのこと友達だと思ってるから…』


断ったんだ。


けど、


誠「僕!諦めないから!」


そう言ってくれた。


その後私は齋藤くんのことを好きだと自覚し、2月のバレンタインで改めて告白することにした。


しかし、そのバレンタインの10日前、


齋藤くんは忽然と姿を消した…。


「先生齋藤は?」


「…」


先生は何も答えなかった。


親が借金抱えて夜逃げしたとかいう噂が出回った。


そして齋藤くんといちばん仲良かった西田くんもこの1ヶ月後姿を消したのだった。


私は部屋に3日引きこもった。


人生初めての失恋だった。


今思えばこの時西田くんを追ってでも齋藤くんを探すことも出来たのかもしれない。


でも私にはそんな勇気が出なかった。


それだけだった…。

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