第103話 オニキスシールドを破る法
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
最上階で、八騎士のNo2であるグリの画策により、コントロールポータルにオニキスシールドがセットされ、巨大なCFが作成された。
グリの奸計に窮地に陥る魔星勢。敗北を覚悟したふじの前に謎の援軍が現れる。
それは、魔星頭領ドージェとしての仮面を脱いだたまごろうであった。
そして、魔星を裏切ったしろはコントロールポータルに張り付く人物を見つけるのであった。
その人物は、結び目を入れて短くしたロープを、コントロールポータルに回しこみ両端のフックを安全帯に接続し、ロープに身を預け、自由になった両手でスキャナを操作する。
しろが指差す不自然な体勢の人物を見つめ、呟くグリ。
「ヤングガール?ドージェのフェロー(仲間)か。
What's she doing? Nnn.. コントロールポータルをアタック?
スチューピッド(愚かな)。。
オニキスシールド※1を知らぬか!」
「ま、まっこと、なんちゅうこっじゃあ!
レゾ※2がダメージを受けちょる!」
「What's!?」
しろの言葉に即座にスキャナを取り出し確認したグリは叫んだ。
「Why?オニキスがあるのにダメージを受けるだと。。これは、これは何のBugだ!」
グリの叫びに、たまごろうが静かに応える。
「確かに、オニキスシールド自体は、オニキスストライク以外で破壊は不可能。
だが、シールドから距離を置いてデプロイされたレゾにはダメージを入れることが出来る。
最も、オニキスシールドの自動修復機能を上回る速度でダメージを与え続ける攻撃力を持たねば成し得ないけれどもね」
コントロールポータルに取り付いた和田美咲は、両手での廃人重ね撃ちの手応えに、
「たまごろうの言った通りだ。
このまま、撃ち続ければ焼ける※3」
軟禁されていた部屋から脱出後、走りながら交わした会話を思い出していた。
「大仏に教わった廃人重ね撃ちには、3人分の攻撃力があるというのは本当?」
「ああ。3人の防御で苦労したことは無いから、それくらいはあると思う」
「そして、ここでvahohoに両手での廃人重ね撃ちを教わり、攻撃力は倍の6人分になった?」
「多分な。片手の時の倍の速さで焼けるようになった気がするよ」
「ようやく、大仏とvahohoがあなたをここによこした理由が分かった。
この世で、恐らくあなただけが独りでオニキスシールドに守られたレゾを焼き切る事ができるのね」
「どういうことだよ?」
「オニキスシールドは破壊できないが、レゾの破壊は可能。
だが、破壊するには6人のエージェントが同時に攻撃することでようやく破壊することが出来るの。
それ故、私は破壊されることを防ぐため、同時に6人が集まることが困難な場所にコントロールポータルを配備した。
反転されれば、逆に破壊は出来ない場所に。
しかし、独りで6人分の攻撃力を持つあなたなら、破壊出来る」
「なるほど、そういう事か。
でも、vahohoにはもう一台スキャナを渡されていたんだよな。
どっかにいっちゃったけど、あればあればもっと攻撃力があがったかもな」
「二台あれば十分」
半分を超えたレゾのダメージを視認したグリが、安全帯を外し通路に向ってダッシュしながら叫ぶ。
「ザッツガールをとめろ!しろ!」
通路の手前に達する瞬間、足元に飛来する光芒に後方に飛ぶグリ。
グリに500円硬貨を投擲後、視線で牽制しながら、たまごろうが叫んだ。
「ふじ! しろをコントロールポータルに近づけないで!
私は、グリを止める。
オニキスシールドを破るまで2人を止めれば、私たちの勝ち」
通路に向かうしろの巨体に、後ろからふじの長身が絡み付き揉み合いになった。
たまごろうと対峙し、身動きできないグリが唐突に叫ぶ。
「ヘイ、バイオ!
ルックアット マイ アイ!」
反射的に叫びに反応したバイオが、グリと視線を合わせた瞬間、次の言霊が耳に飛び込んだ。
「じっくりと、ゆっくりと、たっぷりと!」
挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330666407047133
※1.オニキスシールド:ポータルを強化するMODのシールドの一種。レアアイテムで以下特徴を持つ。
(1)通常のバースター、ウルトラストライクでは破壊できない。破壊できるのはレアアイテムであるオニキスストライクのみ。
(2)セットしたポータルのレゾネーターの減衰を自動修復する機能がある。
(3)ステルス機能がありセットされたポータル起点のリンク、CFはインテルマップ上見えなくなる。
※2.レゾ:レゾネーターの略称。ポータルをキャプチャする際に、セット(デプロイ)するアイテム。8本セットすることが可能。レゾネーターがすべて破壊されるとポータルは中立化される。
※3.焼く:デプロイされたレゾネーターを全て破壊しポータルを中立化すること。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます