第67話 オーナメント点灯

【これまでのあらすじ】

 濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。

 目的であるチームBIOのサブリーダー ハートオブクイーンとの再会を果たすが、バイオの知るハートオブクイーンとは別人であった。

 混乱するバイオに対し、クイーンは自分に勝てば、チームBIOのリーダーとバイオと同じ名を持つスペードオブエースと会わせると言い放つ。

 バイオはグリと共に、クイーンと不二(ふじ)との2対2のクラスター戦に臨む。



【クラスター戦のルール】

 ・部屋にある9つのブロンズ像ポータルの1つが戦闘開始10分前に”オーナメントポータル”として点灯する

 ・戦闘時間は10分間

 ・10分間のどこかの瞬間に計測時刻が設定される。


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648979759038


 ・計測時刻に次の行為が成されていたらポイントが入る。

 1.計測時刻に”オーナメントポータル”をキャプチャしていた陣営に1点が入る

 2.計測時刻に”オーナメントポータル”を使ったリンクを引いた陣営に1点が入る

  ただし、リンク本数に関わらず得点は1点のみ

 3.計測時刻に”オーナメントポータル”を沈めるCFを作った陣営に2点が入る

 ・戦闘終了後、獲得ポイントが多い陣営が勝利


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648979797192

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170583667


 スキャナーで立ち上げた、タイマーアプリが戦闘開始10分10秒前を指す。

 タイマーアプリのカウントダウンを心の中で同期しながら凝視するふじ。

 9,8,7,6,5,4,3,2,1,


「ヴィーナスだ!」

 即座にイングレスに切り替えて、オーナメントポータルを確認したふじの叫びが、隣のクイーンとシンクロ、同時に右斜め前方の”ミロのヴィーナス像”に駆け出す。

 正面に陣取るバイオとグリが同タイミングで、同じゴールを目指しダッシュする姿が左の視界に捉えた。


 直後、右後方からクイーンの含み笑いが聞こえる。

 スキャナーを見たふじは、その意味を理解し、独り言のように呟く。

「どうやら風はこちらに吹いたさー。バイオ、悪く思わないでほしいさー」


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170631291


 オーナメントポータルとして点灯した瞬間”ミロのヴィーナス像”は、青キャプチャ※1されていた。

 点灯1秒後の現在、緑ドローンが攻撃し中立化しつつあった。

 そして、4人が同時にキャプチャ圏内に到着した瞬間、緑キャプチャされ、ふじとクイーンは同時に緑8レゾ※2を挿し、立て続けに7レゾ、6レゾでアップデートし緑P7※3とし、イージスシールド※4を4つセットした。


 ふじは、さらに隣の”ロダンの考える人像”が緑であることから、咄嗟の判断で緑8レゾ、7レゾ、6レゾ、5レゾを連続挿し、、イージスシールド2つをセットし、”ミロのヴィーナス像”にリンクを張って、クイーンにアイコンタクトを取った。

 ふじの意図を瞬時に読み取ったクイーンが”ロダンの考える人像”に緑8レゾ※2を挿し、7レゾ、6レゾアップデート、イージスシールド2枚セット。

 ふじとクイーンは、バイオ、グリの攻撃に備え、リチャージ※5、わんこ※6の構えをとった。

 だが。。


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170670312


「奴等、どういうつもりだい。

 明後日の方向に分散していっちまってるよ。

 勝負を投げちまったのかね」


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170703084


「まさかや。ありえん。

 あの2人はそんなたまじゃないさー。


 ん。

 そうか、わかったさー」

 バイオとグリの動きを見たふじは、その意図に気付いた。


「あったー(かれら)は、緑ポータルを全部自分たちで中立化することで、青ドローンにヴィーナスとロダンを攻撃させるように仕向けているさー」


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170739078


「なるほどねー。

 地味だが、確かに有効な嫌がらせだ。

 だが、それじゃ、勝てない。

 私たちは、オーナメントのキャプチャとリンクで2点のポイント条件を得ている。

 奴らが、勝つにはオーナメントを取り戻すしかない」


 クイーンの言葉に、かぶりを振るふじ。

「いや、オーナメントを沈めれば引き分けになるさー」


「確かにね。だが、ヴィーナスとロダンのリンクがあるから無理さ。

 それでも沈めるには、3つのコーナーを使ったCFを作るしかないが、2人じゃあ無理だ。

 2台のドローンが邪魔するからね」


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330649170785399


「そうさー。

 普通なら無理さ―。

 だが、あったー(彼ら)なら。。


 さあ、バイオ、やー(あなた)の力を見せてくれさー」

 だが、バイオへの期待に満ちた言葉とは裏腹に、ふじはクイーンと同じく自分たちの勝利を確信していた。




 ※1.青キャプチャ:中立化された白色のポータルをデプロイすることでポータルを所有することをキャプチャという。

 青キャプチャは、バイオ達青陣営(レジスタンス)がキャプチャすること。ふじ達緑陣営(エンライテンド)がキャプチャすることを緑キャプチャという。


 ※2.8レゾ:レベル8レゾネーターの略。8レゾが最高レベルのレゾネーター。


 ※3.P7:レベル7ポータル。二人のエージェントが一つのポータルにフルデプロイする場合の最高レベルは

 レベル8:2本、レベル7:4本、レベル6:2本の構成でP7である。

 P8を作るには、レベル8以上のエージェントが8人必要である。


 ※4.イージスシールド:最強の強度(レゾネーターのダメージ軽減度)とはがれにくさ(シールド自体の破壊確率の低さ)を併せ持つシールド。


 ※5.リチャージ:レゾネーターのダメージを回復することでポータルの破壊を防ぐ防御方法。


 ※6.わんこ:攻撃を受けているポータルで、レゾネーターが破壊されたら、即レゾネーターをデプロイし、

 シールドが破壊されたら、即シールドをデプロイし続けることで、

 ポータルの破壊を防ぐ防御方法。

 食べて食べてもソバが追加される「わんこソバ」が語源とされる。

 レゾわんこは、レゾネーターのわんこ。

 イージスわんこは、最高強度のイージスシールドのわんこ。

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