第65話 ブリーフィング
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
目的であるチームBIOのサブリーダー ハートオブクイーンとの再会を果たすが、バイオの知るハートオブクイーンとは別人であった。
混乱するバイオに対し、クイーンは自分に勝てば、チームBIOのリーダーとバイオと同じ名を持つスペードオブエースと会わせると言い放つ。
バイオはグリと共に、クイーンと不二(ふじ)との2対2のクラスター戦に挑むことを決意する。
【クラスター戦のルール】
・部屋にある9つのブロンズ像ポータルの1つが戦闘開始10分前に”オーナメントポータル”として点灯する
・戦闘時間は10分間
・10分間のどこかの瞬間に計測時刻が設定される。
※挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648979759038
・計測時刻に次の行為が成されていたらポイントが入る。
1.計測時刻に”オーナメントポータル”をキャプチャしていた陣営に1点が入る
2.計測時刻に”オーナメントポータル”を使ったリンクを引いた陣営に1点が入る
ただし、リンク本数に関わらず得点は1点のみ
3.計測時刻に”オーナメントポータル”を沈めるCFを作った陣営に2点が入る
・戦闘終了後、獲得ポイントが多い陣営が勝利
※挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648979797192
9つのブロンズ像が配置された正方形の部屋に、4台のドローンが飛び交い、4人の人間が佇んでいた。
4人の人間は、2つのブロンズ像の手前に2人ずつ固まり話し合っている。
9つのブロンズ像は、入り口の壁に平行に3体ずつ、手前から奥に3列配置されている。
入口よりの3体の真ん中にある”サモトラケのニケ像”の手前で、バイオとグリは額を突き合わせブリーフィング※1をしていた。
※挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648979971335
奥の3体の真ん中にある”ナポレオン像”に陣取るクイーンと不二(ふじ)を見つめながら、グリが話す。
「テンミニッツアフター、いや既にワンミニッツは過ぎたからナインミニッツアフターに点灯するオーナメントポータルがどこになるか?
それが、このマッチアップのポイントだ」
「ああ。この勝負、アノマリーと同様、計測時刻がいつになるか分からねえ。
そのため、戦闘時間の10分間常に、オーナメントポータルをキャプチャしておく必要がある。
クラスターのチーム戦の特性上、一度キャプチャしたポータルを取り返すのは至難だから、最初にキャプチャできるかどうかがポイントだ。
俺たちが陣取る1列目のどれかであれば俺たちがキャプチャできるであろうから有利。
逆に、奴等が陣取る奥の3列目のどれかであれば、俺たちがキャプチャするのはほぼ絶望的だろう。
問題は、2列目のどれかになったときだ。
奴等と俺たちの中間地点にある2列目にどちらが先に到達し、キャプチャできるか?」
「Um。もう一つザッツケースで考慮しないといけないのが、あれだ」
グリは、上空を飛翔するドローンを指さす。
「そうか!
オーナメントポータルが決まった瞬間、対象ポータルの色によって状況が変わるのか。
つまり、2列目のどれかが青であれば、俺たちが有利だが、緑であれば奴等が有利。。
多分に運に左右されるこの勝負、どういう戦略でいくか。。」
頭を抱えるバイオに、グリが言い放った。
「Hey.バイオ、その発想は、ディスマッチアップのポイント条件の1番目のキャプチャ、2番目のリンクのことしか考えられていない。
ミーは、ディスマッチアップの3番目のポイント条件が、勝負を左右すると思っている」
「3番目のポイント条件。。
オーナメントポータルを沈めるCFか!
だが、グリさん。4台のドローンが飛び交う中、2対2の勝負でCFを作り、かつ10分間キープするなんてことが現実的に出来ると思うか?」
「ノーマルに考えると、インポッシブルだろうさ。
バット、何か手があるはずだ。
そうでなければ、ディスマッチアップは、ただのラックまかせのギャンブルだ。
オーナメントポータルが、3列目となった瞬間、ルーズが決定する」
「確かに、あんたの言う通りだ。
奴等にオーナメントポータルをキャプチャされ、取り返せない場合に備える必要がある。
CFで沈めたポイント2点が入れば、最悪でも引き分けに持ち込めるからな」
※1.ブリーフィング:元々は軍隊用語として使われ、出撃前に作戦についての説明をしたり指示することを意味していたのが、航空会社のパイロットが出発前のスタッフとの緻密な打ち合わせをすることにもブリーフィングの意味を持つようになった。
イングレスにおいても、行動前の事前打ち合わせを意味する。
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