ネットの世界で最強イケメンプロゲーマーとして活躍している陰キャはずっと寝ていたい
紋皇 一兎
チュートリアル その陰キャ、最強につき
世界一売り上げられたMMO RPGゲーム『リベル・フロンティア』。
小説や漫画で人気な異世界のような体験が可能で現実と変わらないくらいのグラフィックを作り上げたことで人気が高まった。2024年に発売され3年経った今では世界130ヵ国でプレイされている。
【unknownがログインしました】
1年前、彗星のように現れたルーキー、unknownは驚愕のスピードで日本1位となった。そもそもこのゲームでランキングを上げる方法はモンスターと呼ばれる異形生物をどれだけ倒せるかという簡単なシステムだが、
単にスライムのようなものをがむしゃらに倒せばいいというものじゃない。
強ければ強いほど経験値は溜まりランキングも上がる。
《unknownだ!unknownがログインしたぞ!》
彼がログインするだけでゲーム内は騒ぎ始める。
「ステータス」
【ステータス表示:unknown】
unknown レベル1099
HP 74550/74550 MP 21200/21200
ATK 6770 DEF 5900 AGI 5008
LUK 1106 EXP 117800/120000
うーーーーーーーーん1099レベルになってからもう5日…今日こそは絶対行ってやる!!
unknownの正体は雨夜京という1人の廃人ゲーマー高校生だった。
––––––––––
酒場
「なぁなぁ、名無しよ」
「その呼び方やめろ」
「お前が初期設定のままだからunknownって呼びづらいんだよ、、、」
「今日はこんなとこ呼び出してどうしたんだ?」
「ここなら人も全然立ち寄らないし、めっちゃ腕の立つ料理人もいるんだ。店主はかなり秘密主義らしいし1日1組しか入れないんだぞ!予約3ヶ月待ちだったがお前の名前を出したら特例で入れてくれたんだ」
「なるほど、、ってお前人の名前ちゃっかり借りるな!あとその店主ほんとに秘密主義なのか!?」
「は、はいぃ。」
「…?もしかしてあなたがこの店のマスター?」
「は、はいぃ」
同じ返答…臆病な人なのか?
「あ、あのunknownさんの大ファンで…ちゃんと秘密にしますのでサイン頂けたり…なんて」
「ヘ?」
「あ、ああ!すいません!私みたいなおどおどしてる女にunknownさんの時間をもらうわけにはいけませんよね!あはは何言ってるんだろ私」
「いや、それはいいんだけど」
俺にファンとかいるんだな、素性も何もかも明かしてないし、プレイ中の姿なんて常に※神話級ダンジョンにいるから見れるわけない
※神話級ダンジョン…入る条件は各国ランキング10位以内、レベル800以上と狭き門。
レベル800とは素人が5万時間を費やしても不可能と言われている。
現在でも入れているのは1000人にも満たない
ちなみにこいつは最初に俺にフレンド申請して来た男で、話してて楽だから今もたまに会っている。現実での自分は明かさない条件で
「今日名無しを呼んだのは他でもない!今話題の動画投稿サイト『BC Link』についてだ!」
「あぁ、で?」
「興味なさそうな顔だな…話聞いてる途中にサイン書くかね……まぁいい!単刀直入に言おう!名無しよ、プレイ動画あげてみないか?」
「無理、俺ゲームと睡眠以外スケジュールにないから」
「そういうと思ったが!このイベントを見てもそれを言えるかな?」
【BC Linkコラボ企画、BC Linkにプレイ動画を投稿者1番再生数を稼いだも者にEXP10万プレゼント!!】
ガタッ!?
「10万!?!?」
10万EXPはレベル1の初心者がレベル200になるくらいの経験値だ。もちろん俺もそれがあれば1100レベルになり、1101レベルにも近づける
「1101レベルで世界10位の奴に並べるんだろ?だったらこの企画乗るしかないんじゃないのか?」
「動画投稿か…まぁ編集せずに過去にレベル900のエンペラードラゴンを倒した時の動画あげてみるくらいなら」
「相変わらずぶっ飛んでんな…けどそんな動画上げられるのはきっとお前だけだろ!今すぐ上げろ!」
「俺はこの報酬得られたらすぐアンインストールするからな」
「え〜!?」
ただでさえゲームで忙しいんだ。学校で寝て家でゲームできればそれでいい。
「あ、サインこんな感じでいい?」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「おいどうしたどうした。バグか?」
「unknown様のサイン、ぐひひ」
バゴーーーン!!!
「おいおい、今日は俺の予約だったはずだろ?彼女にどう言えばいいんだ?あぁ?」
「うわ、食べ物の中に木片が…もうちょっとゆっくり入ってくれよ…」
「あぁ!すいませんすいません!今すぐ替えを!」
「おいマスターさんよ?お客様が来たんだぞ?」
「あなた、、ただでは返しませんよ?」
このマスター、強い…!ステータス隠蔽ができるから只者ではないと思ったが低く見積もってレベル500はあるな
「何を抜かしてるんだこのガキが!!」
あぁそんな闇雲に突っ込むと、、
グンッ!!メリメリっ!
「うーわどこまで飛んで行くんだ…」
「ひぃ!あの店主そんなに強かったのか!?」
「さ!unknown様ここでゆっくりなさってくださいね」ニコッ
この店が人気な理由もわかるかもしれないな
–––––––––––––
ピコン
「これで投稿できたのか?アップするのに10分もかかるなんて、今日は睡眠できずに学校行かなきゃじゃないか…!」
ピコン、ピコンピコンピコンピコピコピコピコ
《チャンネルunknown様、エンペラードラゴン討伐という動画が1万再生を突破しました》
––––––––
ガラガラ
「よし、寝るか」
ぐぅー…ぐぅー…
ドサッ!
「スマホ落ちたよ?」
ぐぅー…ぐぅー…
「ねぇスマホ落ち、」ピコピコピコピコ
「アン、ノウン…?」
––––––––––––
昼休み
「ねぇねぇ雨夜くん!」
ユッサユッサ
「なぁ、見てみろよ。あの冷淡で男嫌いなアモデルとして有名なのにも関わらず男子人気1位の氷室杏奈さんが陰キャに話しかけてるぞ」
「羨ましい…!あいつ名前なんだっけ?」
「あの2人どうゆう関係なんだ!?」
ざわざわ
「んん?」
「ねぇー起きてよー!」
ユッサユッサ
「なんだよ!誰あんた!」
「私は氷室杏奈、よろしくね」ニコッ
「あっそ、じゃあ寝るから」
「お昼ご飯一緒に食べない?」
「いい」
「じゃあお話は?」
「興味ない」
「本読んだりは?」
「読まない」
「うぅひどい」
「あいつ氷室さん泣かしたぞ!ナイフ持ってこい!」
「ナイフじゃすぐ死んでしまう!拳で殴ろう!」
「いや!火炙り、
「わかったわかった!昼飯な!食べるから!」
「お弁当持ってないなら私のあげる♡」
「いらん、あとなんで俺に構うの?」
「なんでだろーねー」
なんなんだ…?寝てる人起こすとか正気の沙汰じゃないぞ…(※ここは学校です)
ピコン!
「なんだ?さっきからピコンピコンうるさいな…」
《チャンネルunknown様、エンペラードラゴン討伐という動画が100万再生突破しました。》
「ひゃくまん!?」
「どうしたのー?100万って何ー?」ニコニコ
「い、いやなんでもない。」
なぜこんななんの変哲もない動画が100万回も再生されているんだ?急上昇1位だし…まぁ早めに再生回数1位になれば報酬もらえるしいいかなんでも。
「それよりさ!京くんって彼女いるのー?」
「いない、パンも食べ終わったし寝る」
「じゃあ私が立候補しようかな!ほら私の体自由だよー」
ぐぅー…ぐぅー…
「はやっ!?」
氷室杏奈、リリース当初からunknownを追いかけストーカー並みについて行ったが、ある日急激にレベルが上がっていきついには見失ってしまった。なぜunknownを好きになったか。
リベル・オンラインは自分の音声をキャラクターにインプットさせて喋らせることができる。
そう、彼女は声フェチだった。
–––––––––––
一方その頃BC Linkでは過去一番のざわめきを見せていた。
《あのプロゲーマーのunknownがチャンネルを開設したぞ!しかもエンペラードラゴン討伐とかエグすぎ!》
《3分の動画て、そんな一瞬で倒せるモンスターじゃないぞ!?》
《ここが神話級のダンジョンの内部…!ほんとこんな情報明かしていいのか!》
《お前には入れないから安心しろ》
チャンネルunknown
現在、登録者数56万人、総再生回数120万
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