JJJししし

エリー.ファー

JJJししし

 夏の香りがした。聞こえて来た言葉はすべて幻だった。最初から季節なんてなかった。日本はいずれ、毎日同じ種類になる。可哀そうにと誰かが言って、その言葉がまた消えていく。

 充実した日々の中で、カレンダーをめくり始める。最初こそ大変だが、後から感動が押し寄せれば万々歳なのだ。

 状況が状況なだけに、言葉だけは大切にしてほしい。

「お願いします。力を貸して下さい」

 雨の中を歩く少女たちは、皆、同じ表情をしている。個性などない。無着色で、保存料のない自然的出で立ち。

「勘違いをしてはいけない」

 誰もが分かっていながら、なんとなく大きな間違いをしている。

 一生ものの、嘘を誰かに捧げなければならない。いずれ、足音が響くようになってからが本番だと知っておかねばなるまい。

 ありふれた飲み物が最適解だ。

 疑ってはならない。

 打ち込んだ音によって響き渡る正解が必要だ。

 完全からほど遠いものが、最も優れている。

 位置情報を大切にしなければならない。

 それぞれが思う、それぞれの個性、壊れゆく感情に火をつけてから始まる会話文は、いつだって自分を伝えるために必要なのだ。

 非合法的な行為を連ねていけば、何者かにはなれるのだ。

 言葉と言葉の間には誰かの骨がある。死体はその上だ。実際には雨音の中を探っているうちに見えてくるものもあるらしい。

 会話を少なめにしていると、大人になれるという噂がある。けれど、大きな間違いでしかない。

 短い感想と物語を、その身に与えて見えてくる世界があると思いたいのは、夢か幻か。

 誠実な男の米神に釘を刺そうとする考え方に全く辟易してしまう。

 同じ歩幅で歩いて欲しいとお願いをする恥知らずをいかにして殺すかを考えている女性たち。

 男は、腰を振り、尻を回し、舌を出してかけずりまわる。

 一位と二位に差があるのか。

 三位と四位ならなおさらあるというのか。

「赤く塗ってくれや。訪れてから泣いてくれや。完全な言葉だけでいいから置いていってくれや。気が付いたら情報屋になってくれや。一生に一度の砂糖水で洗い流してくれや。あたしの思う失墜をもう少し分かりやすく機関車に乗せてくれや。絶対の思いだけが必要なんだって強く言っておいてくれや。頼まれてからが本番だと思ってくれや。日本語のことをもう少しちょいなちょいなしてくれたらワンダーランドに連れて行ってくれや。本番だけ偽物を置いておけばいずれ実証実験の前に完全な情報が得られることを証明してくれや」




「何者ですか」

「くれやで、おます」




 僕たちはたぶん、地球を使い倒してしまうだろう。地球は僕たちのことを恨みながら消えていくことっだろう。編み込まれた物語からは、どんな香りがするのかなんて誰も分からないだろう。

 いつまでも、いつまでも。

 どうか、この場所で多くの人たちを抱きしめてくれますように。

 絶対に、自分を失ってからが本番だなんて言いませんように。

 このままここで死を迎え入れる夢を見せてくれますように。




「あの、すみません」

「なんですか」

「実力不足と才能の無さをキャリアの長さで水増ししているゴミクソカス共というのは、ここにいるクズでよろしいでしょうか」

「えぇ、そうですね。間違いはないと思います」

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