「お疲れ様」

武道館ライブは会心の出来だった。

間違いなくハルのベストアクトだ。

まだ非公開だがライブ盤とBlu-rayの発売も決まっている。

スタッフたちは忙しく駆け回り、撤収や挨拶回りに追われている。

「本当に国民的な存在になるかも知れないな」

しかしタカハシの心に影はない。

あの日、夏の渋谷での出会いは、そこから始まった旅は、今ひとつの通過点を迎える。

「それじゃ、行きますか」

「よし！驚かせちゃおう！」

ハルの両親が観に来ている。

「はじめまして、タカハシと申します」

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