第23話 なんだよ。これぇ(´;ω;`)

「いやあ、サキュバス(男の娘)って強いんだね。無双しちゃった?」

 

 マオウの言葉を否定したいのに、何故か、ワイバーンを数体、何故か離反させることに成功したサキュバス《とびたまさや》(男の娘+ASMR)は何も言えない。

 無双はないとせめて抵抗したい。せめて。


 仲間割れを起こして、ワイバーンはそのまま落ちていく。そいつをマオウと僕はさくっと倒してしまうものだから、なーんも言えない。

 素材を獲得して、何かどこかで作ってもらえないかなあなんて思えるくらい綺麗なワイバーンの死体もあったわけで。


「マオウの言葉に納得がいかないのに、納得がいくのは何故だ」


「なんかサキュバス(男の娘)は嫌だから、名前を付けようよ。あ、vtuberとかやってみる?」

「やったら受けそうだからさ、考えたくない」



 と言っているうちに滝が見えて、そこには誰かの影。


「男の娘かな」

「んなわけない。だったら、その人に解決をしてもらうのが、ええっと女性みたいだな」

 それもどこかで見たことがあるような。

 すげえ、ナイスバディな赤髪のモデル体型。あれは。


「回転寿司の美人だ!」

 マオウ、声がでかい。まじででかい。


「何者だっ、と。何だ女か」


 違いますと言いたいところだが、滝つぼで水浴びをしていた女性は生まれたままの姿をさらしている。大切なところは謎の光が隠しており、安心である。(何故だ)

 

 ではなく、僕は男である。正確にいうとこの姿もサキュバスだが、男の娘である。


「ええっと(ASMR)、私は怪しいものではありません。色々あって、こんな格好はしていますが、一族の文化としてこういう格好をしなさいと言われているわけでして」

「なるほど、先ほどの美しい声はあなただったのか。確かにその恰好は民族衣装と言われれば納得だ。サキュバスかな」


 割と簡単に納得してくれましたね。


「この人、素直。普通は騙されるでしょ。あと、サキュバスは相当怪しいと思うし」

 シーッ、小さい声だけど、聞こえたらまずいことを言わないで。

 黙っててくれ。


「ところで、ここには何故? 割と奥地の場所で私くらいしか来れないと思ったのだが、目的がよくわからない」


「ここで汚れてしまった品を浄化できると聞きまして」

 僕はそこで汚れた宝珠を取り出す。


「聞いたことがある。綺麗な誰かがここに品をくべると綺麗になると。なるほど、そのためにな。なら、処女といったところかな」


 チガイマス。DTです。しかも、男の娘。


「で、条件に合うのが君であるか。サキュバスというのはちょっと、いただけないが。私も処女だから大丈夫そうだな――私に貸してくれないかな」


 どうするよ。これ。まじでやばくなーい?


「渡しますか。渡しませんか。どちらにしても無駄だもんね。どうしようか。私は考えるの苦手だから、任せるにゃん」


 によによ、猫口で笑いながら僕に任せるのは勘弁してくれい。

 手だて、どうするんだマジで。


 ⇒正直に男の娘だと告白する(多分ぶっ飛ばされる)

  告白せず、誤魔化す(手段がねええええ)


「まあ、とりあえず、女だし。一緒に入るというのも」

 ぐいっと美女に迫られ、僕は滝つぼに引き込まれる。


 とその勢いで、僕は彼女を押し倒す。宝珠は滝つぼにぽちゃんする。しかし、光らない。やはり、処女ではだめらしい。


 代わりに美女に迫られた僕(サキュバスの男の娘)の貞操が別の意味で失われそうな感じで、狙われる。

 美女の手つきが僕の頬を触ったり、腕を触ったりとえろい。

 なんだこれ、おかしいじゃん。百合展開だとかあるけど、それは僕じゃなくて、マオウにあるべきです。

 そして、僕の股間に美女の手がせまり、そう迫って――


 美女の顔が僕のデリケートな何かを触った瞬間。


「ぴえええええっ」


 ひっくり返って、倒れてしまった。


「また、つまらぬものを出してしまった」

 出してないよ。マオウ。

 なんだよ。これぇ(´;ω;`)。

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