第4話 ばーちゃんの日常(居候の孫視点)

 農家の朝は早い。畑仕事は太陽が出ている時間にしかできないからだ。日の出とともに起床し、日が暮れるとともに家に戻って夕飯を食べる規則正しい生活。


 居候させてもらっていた約2年間、目覚まし時計の代わりにばーちゃんからのモーニングコールで起きていた。ガラケーのかんたんケータイを駆使して、毎朝起こしてもらっていた。もちろん目覚まし時計もセットして自分で起きようと努力もしていたのだが、基本的に暇さえあれば寝ていたい人種なのだから、ばーちゃんの優しさと面倒見のよさにどっぷり使っていた。

 仕事の日には、朝ご飯のおにぎりとお昼のお弁当を毎日作ってもらっていた。ばーちゃんの手はちょっと大きめなので、おにぎりも大きめだったのも懐かしい。おにぎりの具には、ばーちゃんがつけた梅干しを、種をとって入れてくれていた。移動しながら食べてもゴミが出ないように。味噌汁だけは持って出る訳にはいかないので、「どんなに忙しくても、味噌汁だけは飲んでから行け」と毎日言われた。仕事の時間の都合上、晩ご飯には間に合わないことがおおいので、朝ご飯だけはみんな揃って食べるというばーちゃんからの約束を、ばーちゃんとじーちゃん、じーちゃんの弟と居候の孫4人でしっかり守って過ごした。仕事が休みの日に、賑やかに会話しながら食べるご飯は、一人暮らしとなった今ではとても貴重な時間だったなとしみじみ思う。

 

 血の繋がった家族は弟1人だけ、幼い頃に親戚中をたらい回しにされたばーちゃんは、人のつながりや温もりを感じる時間を大切にしていた。当時はなんとも思っていなかったが、はなれてみるとばーちゃんの優しさそのものだったのだと思う。今度ばーちゃんちに帰ったときには、毎日欠かさないお茶を楽しんでもらえるように、新茶を買っておこう。


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