第3話 ばーちゃんの生き様

 ばーちゃんは、自分の状況を「」と表現している。交通事故で意識不明になり、死んでもおかしくない状況から回復したことによる。


 「もらった命だから、毎日一生懸命にしてないとバチが当たる」とよく口にしている。80歳もとうの昔に過ぎているばーちゃんが、少しくらいぐーたらしてようが誰も責めないだろうが、他に家事や畑仕事をする人がいないこともあって、日が出ているうちはとにかく働いている。


 朝ご飯や昼ご飯のあとの連続ドラマを見る時間以外は、椅子に座って休んでいようと上半身は何かしらの作業をしていて、ぼーっとしているのを見たことがない。ゆっくりテレビを見るのは、土砂降りの雨で畑にも出られず洗濯物も干せない日くらいだ。おせちを作っておいてゆっくりするはずの正月だって、お雑煮やらおしるこやら温めたり、帰省してくる育ち盛りの孫たちにおかずを準備したりと大忙しだ。おふくろ味ならぬ、ばーちゃんの味を期待して集まっている節もあるので、期待に応えてくれるばーちゃんの優しさは、言葉に変え難いほど嬉しい。(気恥ずかしくて本人には直接言えずにいる)


 新型コロナウイルスをばーちゃんがいる田舎へ持ち込むわけにはいかないので、職場や自宅の周辺地域で感染者が増えている時期には帰らないようにしてきたが、ばーちゃんのことを書いていたら、ばーちゃんが作った味噌汁が食べたくなった。今度また作ってもらおう。

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