猫なんて飼うもんじゃない
@windrain
第1話 猫は可愛い?
猫は可愛い。子猫ならなおさらだ。でも猫は犬とは違って、躾ければ人を飼い主と認めてくれるわけではない。猫は自由だ、良くも悪くも。
黙って寝ていてくれれば、それは可愛い。そうではないから、困ったことになる。
・畳は爪とぎ 柱も爪とぎ
猫を飼おうと思っている方は、知っておいた方がいい。和室は飼うのに向いていない。
畳は爪とぎにしてしまう。「爪とぎ」を買って置いておいても、それしか使わないとは限らない。それに、猫は胃に溜まった毛玉を良く吐き出すので、畳は汚れやすい。
襖、障子、屏風は上られてしまう。爪を引っかけて上れば、当然ボロボロになる。障子紙などは、一つ残らず破られて通り道にされる覚悟をしておいた方がいい。
さりとて洋室であっても、安心なわけではない。壁紙も、凹凸のある物は爪とぎにされやすい。ソファーも同様。柱に至っては、凹凸のないものでも爪とぎにされることがある。
だから、あらかじめ壁保護シートなどを買って、あちこちに貼っておく必要がある。
・カーテンは上るもの
カーテンも上られてしまう。特に若い猫は、爪を引っかけて上るのが好きだ。結果、これもボロボロになってしまう。しかも、それだけでは済まない。カーテンフックは器用に外してくれる。放っておけば、カーテンはボロボロになって下に落ち、窓がむき出しになり、そこにカーテンがあったことさえわからなくなる。
・子猫は爪の引っ込め方を知らない
子猫がカーテンに前足の爪を引っかけて踊っているのを、何度も目撃した。遊んでいるのではない。爪の引っ込め方を知らないので、カーテンから離れられないのだ。
こういうとき、他の猫が助けてくれるわけではない。結局、人が助けてやるしかないのだが、当然のことながら、子猫に引っかかれることを覚悟しなければならない。
それと、これは成長すれば直るというものでもない。なぜなら、大きくなれば爪を引っ込めなくてもカーテンを破ることができるからだ(涙目)。
・テーブルの上の物は落とすためにある
犬と違って、猫は高いところが好きだ。テーブルがあれば、どのような手段を用いても上ろうとする。成猫になれば、普通のテーブルなら軽くジャンプで飛び乗れるようになる。
それで満足してくれるのであればいいのだが、テーブルの上に何か置いてあれば、何が気に食わないのか、猫パンチで落とす。結構重い物でも、落としてしまう。元に戻しても、何度でも落としてくれる。
結局、テーブルの上の物は床に置かざるを得なくなる。でもまだ安心はできない。今度はそれも倒すか、転がして遊ぶようになるからだ。
・猫を台所に入れてはいけない
うちでは、電子レンジをカラーボックスの上に置いてあったのだが、猫はその上にも飛び乗ってしまう。それだけならまだいいが、レンジの蓋を足場にしてほかのところへ飛び移った拍子に、蓋が開いて、そのはずみでレンジはすさまじい音を立てて床に落ちてしまった。
壊れたかと思ったが、幸い正常に動いたので、元の場所へ戻しておいた。
甘かった。
後日、レンジは再びすさまじい音を立てて床に落とされた。今度こそ壊れたと思ったが、驚いたことに、命に別状はなかった。日本の家電製品、恐るべし。
以来、台所は戸締まりして進入禁止にしたのは言うまでもない。
・電話台に乗って受話器を落とす 何なら電話機ごと落とす
うちの電話台は三段構造になっていて、下から一段目と二段目には日常使う物を置き、一番上の台に電話機を置いていた。
猫がその一番上の台に乗って、受話器をいじくって落としてしまうので、困った。まあ、受話器を落とすだけなら元に戻せばよいのだが、そのうちに電話機ごと落とすようになったので、電話機を一番下の台に移さざるを得なくなった。使う者にとっては、不便なことこの上ない。
ところが、それでも猫パンチで受話器を落とすようになったので、結局電話台全体を布で巻いてしまわなければならなくなった。これでどうやって電話に出ればいいんだ。
・仏壇は閉めておかなければならない
とにかく目に入れば突入せずにはいられないのか、仏壇にもよく入ってくれる。線香立てをひっくり返して灰をばらまいてくれるので、入れないように締めておくしかない。
命日やお盆・彼岸など、仏壇を開けるときは、ちょっとだけしか開けられない。全くご先祖様に申し訳ない。
・突然後ろから走ってきて人前で急に止まる
廊下を歩いていると、足音も立てずに後ろから走ってきて、追い越してゆく。かと思うと、人の前で急にストップして振り向く。こっちが普通に歩いている最中に立ち止まるものだから、蹴りそうになってバランスを崩し、転びそうになる。
このため、廊下を歩くときは常に背後に気をつけて歩かなければならない。
・トイレへ歩いている最中にスリスリ攻撃
これはもう本当に勘弁してほしい。こっちは急な便意で急いでいるというのに、かまわず最大限のスリスリ攻撃を足に仕掛けてくる。踏まずに歩く余裕はないというのに。
本当にいつか踏まれて死ぬぞ、おまえ。
・人が寝ようとするときに限って腹に乗る
布団に入ってからテレビを見たり読書したりして、そろそろ寝るかと思い、寝る体勢になった途端に、腹の上に乗って来て先に寝てくれる。腹の上は決して平坦ではないので、転がり落ちないように手で支えてやらなければならない。
しばらくすると飽きて降りていくのだが、それまでの間、眠ることはできない。私の睡眠不足をどうしてくれる。
・旅行には行けない 遠出の外出もできない
朝晩、ご飯をあげなければいけない。カリカリフードと水も常時置いているのだが、ソフトフードを食べたいのか、多くは食べない。
カリカリ以外あげなければ良かったじゃないかとお思いだろうが、子猫の頃から世話をしていると、どうしても離乳食としてソフトフードをあげなければならなくなる。
それを子猫だけが食べてくれればいいのだが、親猫も食べてしまうので、しっかり味を覚えてしまう。親子を隔離して食べさせるというのは、現実的ではない。
結果、猫の食費が私の食費の何倍もかかる。これを、猫エンゲル係数が高いという。
カリカリを食べると水をよく飲むので、水もちょくちょく補給しなければならない。ところが、若い猫ほどよく走り回って遊ぶので、しょっちゅう水皿をひっくり返してしまう。
トイレ掃除も頻繁にやらなければいけないので、猫砂代も馬鹿にならない。
こんな具合なので、独り者は旅行には行けない。日帰りでも無理。
宴会にも行きづらい。行ったとしても、酒は呑まずに車で帰らなければならない(まあ、アルコール類は一切呑まないので、この点問題はないのだが)。
・わざわざ皿から出して食べる
カリカリフードをエサ皿に入れて(どうしてもテーブルに登ってしまうため、床に置くよりは清潔だと思い、)テーブルの上に置いておくのだが、なぜか食べるときに前足で皿から出して食べる。なんで皿で食べない。
子猫だと、皿の上に乗って食べたりもする。それはそれで可愛い・・・かも。
・子猫の頃から育てると怪物になる
わけあって、生後一週間ぐらいから育てた子猫が二匹いるのだが、三時間おきにミルクを与えなければならず、大変だった。ミルクも温度調節が必要で、とても手間がかかる。
最初のうちは段ボール箱の中で育てていたが、歩けるようになると段ボール箱の内側をよじ登って出てくるようになるので、ウサギ小屋を買った。
しかしその中の三分の一はトイレが占めるので、これも子猫の成長とともに手狭になり、結局一部屋を明け渡すことになる。そう、同じ空間では暮らせないのだ。
なぜなら、この子猫たちは私を親と思っており、離れようとしない。しかも、顔や手を舐め回し、止めようとしないのだ。大きくなったら止めるかと思ったが、止めてはくれない。
部屋の中で暴れ回っている音が聞こえる。とてもじゃないが、そんなのと一緒にはいられない。つくづく思う。怪物を育ててしまったと。
・怪物はさらに怪獣になる
前述の子猫は、不幸なことにオスとメスだった。もうお気づきかもしれないが、オスを去勢しないと大変なことになる。私の場合、オスを去勢するのが二週間ほど遅れてしまったことで、悲惨なことになった。
そう、メスが孕んでしまったのだ。近親交配してしまった。
このため、オスと引き離さなければならなくなった。つまり、もう一部屋メスに占拠されることになったのだ。
やがてメスは出産する。それも五匹も。一匹はおじいちゃん猫と母親に似た黒白のハチワレだが、あとの四匹は父親似のサバトラで、見分けがつかない。
子猫五匹のうち二匹がオスだったので、去勢したが、病院へ連れて行く時期が早すぎると手術できず、頃合いが難しかった。
こうして母猫と子猫五匹は、部屋で暴れまくる怪獣になってしまった。
・トイレを覚えられない猫もいる
大概の猫は、猫砂トイレを生まれつき使える。ところが、まれに使えない猫がいる。親猫がお手本を見せてもできないのだ。理由はわからない。
そういう猫は、どこにでも粗相をしてしまう。だいたい部屋の隅でやってしまうことが多いようだ。一回やってしまうと、ほぼずっとやり続ける(涙目)。
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