第10話 第二王子アルバートの憂鬱


 



 アンドレアが爆弾を投下した。




 毎日三回ブラッシングするくらいラブラブな番がいるにもかかわらず、悩みが縁談がこないことなんて。



 兄上は、子供の頃こそ、耳無しと蔑まれていた。


しかし、俺達が共に学び、兄上を知る人が増えるうちにだんだん兄上が只者でないことがわかってきた。


 国の上層部になればなるほど、有能な人材であるほど、兄上こそが次代の王に相応しいと、わかっている。



 見た目が良いだけの私と、実力で周りを認めさせた兄。



 自ずとその差は開くばかりだ。



 その、兄上が唯一大切に囲い込んで離さないアンドレアに誰が求婚するんだ?



 獣性がないと蔑まれていた兄上が、みんなを唸らせる程強烈にマーキングしているアンドレアに、誰が近寄れるんだ?



 それに、アンドレアも、兄上に執拗にマーキングしているじゃないか。



 この二人の間を引き裂ける強者なんていないぞ。




 そしてアンドレア、お前のそのマーキングは無自覚なのか?



 みんながひくくらいべったり兄上の首筋につけたそのマーキングは、本当に無自覚だったのか?



 冗談じゃない。



 からかおうと後宮に誘った私は、折悪く兄上から、強烈な威圧を受けてしばらく動けなくなった。



 ユリウスとエドワードも、とばっちりを受けて固まっている。





 固まった私たちを尻目に抱き合う二人。


 兄上の威圧が消える。




 無表情だった兄上が甘い眼差しでアンドレアを、見つめていた。



 アンドレア。私達の平穏の為に兄上の側から離れないでいてくれ。



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