鬼滅の刃はドグラ・マグラ「ドグラ・マグラの誕生の謎を解く…の巻」
梅乃木 彬夫
第17話 ドグラ・マグラの用語
では、まずは『ドグラ・マグラ』を読み解く上に必要な〝夢野用語〟についての説明から……。
◆(作中作)「ドグラ・マグラ」………夢野久作著『ドグラ・マグラ』の中には、筆者名のない「ドグラ・マグラ」という標題の手書き原稿が出てくる。この原稿は全部で五冊に分かれていて、その第一
標題の「ドグラ・マグラ」という言葉の原義については、
この原稿は九州帝大の精神病科に入院していた若い大学生の患者が正木敬之の死後、不眠不休で一週間で書き上げたもの。夢野久作著『ドグラ・マグラ』と同じく、最初と最後の各一行目が、同じような「……ブウウ――ンンン……ンンンン
◆呪いの絵巻物………この絵巻物には、唐の時代に宮廷で玄宗皇帝と
また、絵巻物の死美人像の第一図と精神科病棟六号室の少女の寝顔は瓜二つである。
他にも多くの謎をもつこの絵巻物は、呉家の代々の男子の心理遺伝による発狂の暗示作用のトリガーとなり、呉青秀の自我を千百年後の
◆心理遺伝………心理遺伝とは、何らかの精神科学的の暗示材料により、当人の人格と自我が何代か前の祖先のそれに入れ替わる症状を指す精神病。祖先の記憶は体細胞の中に眠るとされ、正木敬之博士が提唱。
◆キチガイ地獄
◆解放
◆胎児の夢………「胎児は母の胎内で、原生生物から哺乳類へと続く〝生物の進化〟という遠大なストーリーの夢を見ており、その夢に
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◆正木敬之の五つの遺稿………四百字詰め原稿用紙換算で約千二百枚といわれる夢野久作著『ドグラ・マグラ』の、実に四割以上の文章量を占める膨大な遺稿類。それらの中でも、五番目に登場してくる「空前絶後の遺言書」がダントツの分量を誇る。
ここでは以下、『ドグラ・マグラ』に登場する順にⅠ~Ⅴの番号を振る。
◇遺稿Ⅰ「キチガイ地獄外道祭文」。赤い表紙のパンフレット。
◇遺稿Ⅱ「地球表面は狂人の一大解放治療場」。
◇遺稿Ⅲ「絶対探偵小説 脳髄は物を考える処に非ず」。脳髄論について正木敬之から取材した内容を新聞記者が文字起こしした原稿。
◇遺稿Ⅳ「胎児の夢」。日本
◇遺稿
注解
(2)夢野久作著『ドグラ・マグラ』の本文中の説明によると、作中作「ドグラ・マグラ」は全部で五冊に分かれていて、それぞれ第一頁目ごとに赤インキの一頁大の
「
(3)松柏館書店版の『ドグラ・マグラ』の原文は以下の通り(リーダー罫は戦前版なので: = …に換算、表記は新字・新かな)。
その次のペーヂに黒インキのゴヂック体で『ドグラ・マグラ』と標題が書いて
一番最初の第一行が……ブウウ――ンンン……ンンンン……という片仮名の行列から
「……これは何ですか先生……このドグラ・マグラと云うのは……」
この場面で主人公が標本室で発見する「ドグラ・マグラ」の冒頭と末尾のそれぞれの時計の
(4)「九相」とは仏教用語である。広辞苑によると、「人間の死骸が腐敗して白骨・土灰化するまでの九段階を観想すること。肉体への執着を断ずるために修する」とある。「九相図」は、この人間の死後の姿が九段階で変化する様を描いたもので、修行僧に肉体への執着の滅却と諸行無常を説いた絵図。小野小町など高貴な美女が朽ちる様子を描くことが多い。
(5)
聖福寺を開いた栄西禅師が宋から博多に戻る際に連れ帰った宋の人々たちは、僧衣と数珠を与えられ、寺内に住まわされました。彼らは念仏踊りなどで布教をしていましたが、言葉や文化の壁から上手くいかず、そのうちに寺で覚えた「祭文」(神仏に捧げることば)にリズムや節を付けて表現する「歌祭文」を生み出しました。なかには歌祭文に合せて人形を操るなど、独自の芸に発展させる者も出たといいます。やがてさらに変化を遂げて、僧籍を離れて滑稽な歌や舞を披露し、喜捨を受ける
寺内に住むことから彼らは「
(〝「博多芸能横丁」と呼ばれた西門エリアが芸どころ博多のはじまり⁉〟から)
この聖福寺の川向こうが『ドグラ・マグラ』の主人公・呉一郎生誕の地と設定されているのである。
(6)この遺稿Ⅴは、
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