第3話

   

 レーダー機器を詳しく確認する。

 生命体が存在するのは、近くの恒星系の第4惑星だった。

 恒星の大きさは私たちの太陽と同じくらいで、恒星系全体の惑星の数は、太陽系より一つ二つ少ない程度。

 問題の惑星は、その恒星系で最大サイズだった。太陽系の第5惑星――いわゆる木星――とよく似ており、ガスを主成分としているようだ。

「ならば、大地のたぐいは存在しないのか……?」

 各種センサーを働かせて、さらに解析を続ける。

 この宇宙船の長距離レーダーは、残念ながら2,000年ほど前に故障していた。特殊な部品に関わる故障らしく、いくらマニュアル通りに修理を試みても、私では直せなかった。

 それに伴って航路表示もおかしくなり、今現在この宇宙船が広い宇宙のどの辺りを飛んでいるのか、それすらわからない状況だが……。

 幸い、近距離のセンサーはきちんと機能している。この恒星系で生命体が存在するのが第4惑星だけなのは間違いないし、その第4惑星の細かいデータも収集できた。


「なるほど、基本的にはガス惑星だけど、大地っぽい場所もあるのか……」

 海に浮かぶ陸地のようなものだろうか。しかし自然の島にしては、妙に四角い。人工物のように感じられた。

 もしも本当に人工物だとしたら、この惑星にいるのは、それを作り出せるほど高い知能を有する生命体なのだろうか。

 緊張と興奮を強めながら、私は船外活動用の宇宙服に着替え始めた。

   

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