女性
ほら、あなた。
女は言ったが僕にはどうにも聞こえなかった。座りなさい。椅子があるから、聞きなさい。静かに、しなきゃ幽霊が、来てしまうわ。老人が語り終えた後に、女はそんな事を言った。幽霊って、僕は良くない癖だが冷笑してしまう。
次は、あたしね。
学校でクラスの誰かが食費を委員長の机からとったの、委員長は信頼もあったし何より美しかった。だからか、誰も疑いはせずにクラスで一番貧乏のある男の子を疑ったの、よくないわ。よくないけど、皆誰も疑わなかった。
どっちでもよかったのかもね。本当は?ただ、皆が好きな委員長が犯人であることのほうがお金を誰が盗んだかよりよっぽど切実な問題だったのでしょうし、あの子やっぱり嫌われてたから、
いつも変な匂いがしたの。どんな匂いって、人間の小便と獣臭が混ざったような、どんな環境で生活してたか全く予想がつかなかったわ。だって、学校に通う臭い子を年齢に似合わない異常な嫌悪が産まれて、行動に移ってくのは当然よ。
獣臭いもの。だから、お金が消えてとても恨まれたは、何されたかって?ただの殺害よ?ははは、君、面白いね。ただの、比喩よ。
彼女が、何されたかって。学校に、持ってくるものは全部ゴミ捨て場に捨てられ、夏にある体育の時間何て、プールの時間女の子たち全員で服を脱がして隠すの、そうすると消えてくれるの。
先生も、何も言わなかった、だってとったの先生だから、変よね。何でだと思う?いけそうだから、プールに入ってる間に、とったの。水着。
あの子臭いのにね。
臭いのよ、嗅いでるだけで吐き気と不快感で眼窩が侵されて授業もまともにできない。消えて、欲しかった。でも、消えないからお金が消えたの。本当に、誰がとったか知らないけど、ある日確認すると私、とても臭くなっていた。
自分で嗅いで臭いが部屋に、充満して窒息を起こす程にね。でも、香水で誤魔化せなくはなかった。学校に、登校して、だんだん香水の量は増えた何時間もかけるの来る前にずっと私。鏡の前で霧を吹かすの、それから行くの。馬鹿よね、そっちのほうが臭いのに、でもね、人はなかなか私に離れなかったけれどある日ぱったりと。私に誰も近寄らなくなって、彼女の獣臭い臭いは、減っていったような気がした。獣臭さは私にだけかぐようになったの。そうすると、臭い私はいじめられたもっと苛烈になって。殴られて蹴られて、
辛かった。
ある日。人気者となった彼女は皮肉にもあの当時の私と立場を逆にしてね。彼女はトラックに撥ねられて死んだ。臭いはその日から全くしなくなった。それからいじめも静かな泉のように風に揺られる波立つ平凡な日常が嘘のように始まったの、でもね、私、彼女の姿をぼんやり夢で見るようになったの、少しづつ私、体から臭いがしてくるの、洗っても洗っても、どんどん臭いが強くなってくの。最近、影みたいに覗き込むのがいるの。彼女なの、もう、臭いが凄くなるかも、そうすれば、昔みたいに、また、始まるかもしれない。助けて、いるの。そこに。いるの、あたしと視線を合わしてる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます