第45話 極上の快楽とラグジュアリーを提供する。それが桃幻郷ってマジですか?

「高級風俗桃幻郷(コウキュウフウゾクトウゲンキョウ)」


ここは王都で唯一の幻覚魔法を使った風俗店だ。


幻覚魔法を使ったサービスは他と比べ物にならない程の快楽を味わえる。


しかしそもそも幻覚魔法を使える人間が少ないため、他の風俗のコストがかかってしまう。

そのため必然、お値段は非常に高い。


だが一度味わったその快楽を忘れられないリピーターが後を断たず、王都でも1、2、の売り上げを誇る風俗店になっている。


「いらっしゃいませ。あら、初めてのお客さんですか」


店に入ってすぐに、おねぇ口調の体格のいい受付が話しかけてくる。


「はい、初めてなので説明お願いします」


「まず基本料金として10万ゴールド、これで30分ですね。60分だと20万。プレイが始まってからの延長は10分5万ゴールド、オプションは各種取り揃えてありますよ」


「オプション?」


「幻覚のオプションですね。女の子を好きな容姿に見せる幻覚から、性的嗜好(セイテキシコウ)や感度をいじくる幻覚。凝ったシュチュエーションを再現するスペシャルオプション等々。オプションは女の子にお話しして直接お金を渡してください」


なるほど、オプションか。どうせ無効化か反射するので関係ないが、どんな風になるのか検証したいしつけてみるかな。


「分かりました。じゃあとりあえず20万ゴールド」


「毎度あり〜♪お客さん、指名はどうされます?」


「指名ですか?」


「ウチの嬢は冒険者ランクになぞらえて、EからSSSランクまで取り揃えております。SSSランクになりますと、幻術のレベル、容姿ともにハイレベルな子が揃っておりますよ。もちろんEランクでも幻術があれば楽しめますが、SSSが最高ですよ。まぁお値段はちょーっとお高いですけどね」


どうせなら高レベルの幻術を受けてみないと、いざという時のための検証にならんよな。

それにSSSの幻術を無効化や反射した方が、俺のスキルレベルも上がる可能性が高いな。まぁ御前試合のファイトマネーが既に数千万になっているし、必要経費と思おう。


「じゃあSSSで」


「SSS?大丈夫ですか?お金あります」


俺が札束をズイ、と差し出すと受付の男はニンマリ笑った。


「これはこれは失礼しました。お詫びと言っては何ですが、今ウチのNo. 1が空いておりますので、すぐにその娘を手配しますのでお待ちを……」


俺は掃除の行き届いた綺麗な個室に案内された。シャワーもついてる。風俗って初めて来たけどこんななんだ。


「コンコン」


「はい、どうぞ」


「失礼しまーす」


うわっ!めっちゃ美人が来た!


顔は猫みたいな悪戯っぽい感じで、スタイルも抜群!


このレベルの娘がそう言うことをしてくれるって、幻術なしでも相当お金取れそうなんですけど!



早速魔眼で確認。


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名前 不明 レベル 3


ユニークスキル  『幻術』スキルレベル6

          ・幻術の取得が容易

          ・幻術の詠唱の一部を省略できる

          ・幻術に使う魔力を減少

          ・一部の幻術耐性や幻術防止アイテムの効果を受けず

           に幻術を使える

          ・相手に見せる幻術の内容を詳細に設定できる

          ※上記全ての効果はスキルレベルに比例して効果上昇する

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すげぇ!たぶん20代前半なのにスキルレベル6!こりゃ確かにSSSだわ。


「初めまして、ヒナタです♡」


そう言ってヒナタ(源氏名)はニッコリ笑う。


接客も良さそう!でもなんかちょっと違和感、ああ、そうか、服装だ。


なんかこういうお店の女の人って、セクシーな服着ているイメージあったけど、ヒナタさん普通の私服っぽい。


「お客さん、こういうお店初めてですか?」


「あ、はい。だからよく分からなくて」


「大丈夫ですよ、緊張なさらないで。ではまずお風呂に入って体を綺麗にしましょうね」


なるほど、最初は風呂か。


「早速幻術かけますね♪」


「えっ?もうですか?」


「はい♪幻術でここをプライベートビーチにします。そこで2人で裸で洗いっこするんですよ♡」


なんと素晴らしいサービス!


でもいかんいかん!幻術無効化するんだった。


1回無効化が成功したら次は反射を試してみよう。


プライベートビーチの幻術反射ならこの子にも悪い影響はないだろうし。


「ではいきますよ。リラックスして目を瞑ってください」


ヒナタさんが術を唱え始める。


すると、もやっとした、何とも表現し難い嫌な感じがした。


たぶんこれ破魔のスキルの副産物だ。


相手の幻術や呪いの発動が感じ取れる。


これは地味にいいぞ、いつの間にか術にかけられてたってことがなくなる。


そして幻術無効のタイミングは……ここだ!

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