第12話 嘘吐いたら針千本ってマジですか?
領域、領域?
なんか誰かの領域ってさっきも聞いた気がする。
まぁいい。今は姫様を運ぶのが先決だ。
「じゃあお嬢ちゃん、道教えてもらってもいい?」
「僕、ノエル!」
「あぁ、自己紹介が先だね。俺はタクト。ノエルちゃん、道教えて」
「いいよ!でもいいの?このままだとお兄ちゃんの彼女さん死んじゃうよ?」
「え?何それ」
姫様の顔を見ると青白く、はぁはぁと辛そうな息使いをしている。
「やばい!手刀か?手刀のせいなのか?」
「何手刀って?たぶん違うよ。彼女さんが苦しんでるのはこの森の強い瘴気のせい」
「瘴気?」
「この森は瘴気を放っていて、普通の人間じゃ、長い間はいられないの。どんなに急いでも、この森を出る前に彼女さんは死んじゃうよ」
「ま、マジですか?」
「うん。マジ」
「な、何とかならないかな?」
「何とかなるよ。僕のうちに来れば瘴気の汚染は治療できる」
「ほ、本当に!?」
「ホントホント。助けてあげようか、お兄ちゃん」
「助けてくださぁぁぁい!」
「……いいよ。でもその代わり僕のお願い、一つ聞いてくれる?」
「お願い?い、いいよいいよ!何でも聞いちゃう!」
「じゃあタクトお兄ちゃん、僕と結婚してね」
そう言ってノエルはニンマリとした。
「いや、結婚っていうのは……」
「約束破ったら、殺しちゃうよ?」
目がマジである。
子供のはずなのに、物凄い殺気を感じる。
そんな物騒な事を言っちゃ駄目だよー。
まぁ結婚って言っても子供の戯言だ。後できっと忘れるよな!
「おっけーおっけー。じゃあ結婚するよ」
「やったー!」
そう言って抱きついてくるノエル。
きっとさぞかし美人に育つんだろうな、ノエルちゃん。
「僕は寛容な女だから、浮気の一つや二つ、許しちゃうから安心してね」
おまけに非常に都合のいい感じの女性だ。
本当に将来が心配。
「じゃあついてきて、変態のお兄ちゃんとその彼女さん」
「は、はい」
俺はまだいいのだが、姫様が完全に変態扱いだ。
まぁもう会わないし別にいいかと、俺はとりあえず姫様をノエルの家に連れて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます