第60話 もう おこったぞ

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ミッション達成!

超防御の実×5を手に入れた!

効果:防御が+30される。

レベルの実×5を手に入れた!

効果:レベルが+1される。

全上昇の実×20を手に入れた!

効果:全ステータスが+100される。

超攻撃の実×20を手に入れた!

効果:攻撃が+30される。

超速さの実×20を手に入れた!

効果:速さが+30される。

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「大量ォォーー!」

「オラに超速さの実くれねぇかな!」


 仲良く分け合って実を食べよう。

 フィムちゃんの分も残してあるけどあの子、素でステータスがガンガン上がる。

 私なんかこの実がなかったら貧弱ステータスだよ。


「もぐもぐ……ところであと少しでここも制覇だな」

「そうだね、もぐもぐ……。ん? なんかちょっと体が重くない?」


 ズシリと何かがのしかかる感覚があった。

 もぐもぐタイムしてる場合じゃない。

 そしてやがて聞こえてくる地響き、研究所全体が揺れている?


「何かくるな……」

「あれは……」


 フロアの奥からやってきたのは大きな亀だ。

 トゲトゲしい甲羅を背負って、体全体が何かの鉱石で構成されている。

 その亀が近づくたびに体が重くなった。

 ははーん、そういうスキルか何かかな?


「ガメェェェェーーーーー!」

「で、報酬は?」


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ミッションが発生!

ガメビトンを討伐する。報酬:大地のマフラー

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「っしゃあぁーーーーー!」

「マテリ! あいつの鉱石は使い道がある!」

「じゃあ削り殺しますかぁ!」


 私とミリータちゃんが走って、杖と槌のダブルヒット。

 ホームランのごとく亀を吹っ飛ばすと、手足を引っ込めた。

 亀が回転しながら奥のフロアに突っ込む。

 そこにもたくさんの魔導士達がいた。


「うおぉぉ!」

「ガ、ガメビトン! こっちに来るんじゃ……な、い……」


 盛大にフロア内をぶっ壊してから甲羅は停止する。

 そして奥にいた魔道士達が床に伏せてしまった。

 重力にやられて身動きがとれないっぽい。

 もがき苦しんで何かに助けを求めるかのように手を伸ばしていた。


「た、助け……」

「ちぇいやぁぁッ!」

「ぎゃうっ!」


 魔道士の一人を杖で叩いてフロアの端に吹っ飛ばす。

 ぐったりとして動かなくなった魔道士だけど、バストゥール討伐完了の告知がない。

 じゃあ、次。


「ガ、メェェ……!」

「オラが仕留めるァァーーーーー!」


 ミリータちゃんが叩きにいった時、亀が甲羅から頭を出して口から何かを放った。

 射線上の障害物がすべてへこみ、潰れる。

 見えない重力波が一直線に研究所を破壊したわけだ。


「大したことねぇぇーーー!」


 でもミリータちゃんの槌の一撃を頭に受けて砕けた。


「やったか!?」

「ク、クク……」

「なんだべ!」

「ガメビトンは超魔法生物で魔法具現体……。心臓もなければ急所もない……。そいつは無敵なのだ……すべてを破壊すぐあぁぁッ!」


 かろうじて頭だけ上げた魔道士がなんか解説してたけど、普通にミリータちゃんにぶっ叩かれて終わった。

 これも告知なし。思わせぶりにしゃべったと思ったらモブかい。ホント誰なのさ。


「ガメェェーー!」

「頭なしでやる気かぁーーーーー!」


 ミリータちゃんも何かのスイッチが入ってる。

 槌でひたすら亀をぶっ叩いて、みるみる形が失われていく。

 だけど砕け散った岩がぴくりと動いて、また亀に向かっていった。

 くっついて、要するに再生だ。


「フ、フハハハ! いかにお前達のステータスといえど、そいつは滅ぼせん! 超魔法生物はバベル計画に」

「ファイアボォォーーーーー!」

「アアァァアーーー!」


 はい、またモブ。

 で、あの亀は超再生しているから倒せないって?

 そう、そこまでして報酬を渡したくないわけか。


「ホンットに……ねぇ?」


 私は杖を強く握りしめる。

 そしてありったけの魔力を杖に注ぎ込んだ。


「ハッ!? これは……」

「バストゥール様! お目覚めですか! 例の少女達がガメビトンを……」

「まずい! あのままでは暴走する!」


 追って追って追ってここまできて報酬がいつまでも手に入らない。

 私はミッションが好きなんじゃない。報酬が好きなんだ。

 ボスがこそこそと逃げ回って、私にここまでこさせてさ。

 

「何が魔法生体研究所だよ……」

「ま、待て! 少女よ! 一時休戦だ! ガメビトンを見ろ! 暴走の兆しを見せている!」

「無駄にタフな亀にいつまでも討伐できない魔道士ども……」

「ガメビトンをどうにかしないと、この国ごと滅ぶぞ! え……」


 ユグドラシアの杖と焔の杖から浮かんだのは巨大な火の玉だ。

 もうすべてを消していい。


「ファァァァーーーー……イィィ……」

「あ、ああぁ……」


 火の玉を亀に向けて放つ。

 巨大な火の玉は亀を飲み込み、魔導士を飲み込み。


「ファアアアアアアアアアアァァァァアァーーーーイアァァァブォォアアアルゥアアァーーーーーーーーー!」


 光が、音が、熱が。

 この場にいる全員を飲み込んで、研究所も消えていく。


「ギャアアアァァァーーーーーーーーーー!」


 超爆破が研究所を包んだ。

 すべての設備も壁もかき消えて、地下にあったらしいここが爆心地になって地上に噴出する。

 大地が大きく揺れた。


                * * *


「な、なんだ! 今のは地震か!?」


 スタンピードの後始末に追われている中、それは突如として起こった。

 王都全体を揺るがすほどの地震なんていつ以来だろうか。

 僕の胸は少しざわついた。これは本当に自然現象だろうか?


「クリード、落ちついたようだな」

「えぇ、父上。民の身の安全が心配です」


 今の地震、どうにも気になる。

 僕にはこれが自然現象とは思えず、何かの前触れのようなものだと思った。

 もしくはとてつもない強大な何かが復活するか。

 神のようなものの怒りか。

 いずれにしてもこれを引き起こした主がいるならばこれ以上、刺激してはいけない。

 そんなものがいるなら、僕達の手に負えるような存在ではないのだから。

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