第31話 先手必勝です

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新たなミッションが発生!         

・混沌のアズゼルを討伐する。報酬:闇の衣

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「天井アタァァーーーーック!」

「落ちてきただ潰せ潰せ潰すだぁぁぁーーーーー!」


 火の玉で天井を破壊すると同時に玉座に座っていたアズゼルが落ちてきた。

 間髪入れず私達は攻撃を開始。

 同時にミッションも発生してくれたおかげで幸先は実によかった。


「ファファイファイファイファイファイファイアアファイアーーーーー!」

「ぬぅぅッ!」

「てやてやてやてやてやてやてやてやぁーーーーーーーーーーー!」

「ぐぅぅ……!」


 見るからにザ・悪魔って感じの見た目のこいつがアズゼル!

 先制パンチの猛攻でアズゼルは身動きが取れない!

 このまま――。


「舐めるなこの虫ケラどもがぁーーーーーーーーー!」

「わおっ! ファファファファイアアァァー!」


 背中から翼が生えたと同時に突風が起こる。

 さすがの風圧に飛びそうになったけど手は緩めない。

 翼もボロボロになって怯むも、アズゼルが片手を振る。


「カオス・バーンッ!」


 ドス黒いオーラが膨れ上がったと思ったら爆発が散りばめられた。

 これはまずい! と思ったけど――。


「あまり痛くないね?」

「んだな」

「なんだと……!」


 うわ、すっごい驚いてる。

 確かに虫ケラとか見下してた手前、これはちょっと恥ずかしい。

 でもさすが魔界最強の一角、あれだけの猛攻を浴びせたのにまだ余裕がある。


「なるほど……ただの人間ではないようだな。噂にきく伝説の勇者とやらか?」

「ファイアボォォッ!」

「ぬぐあぁっ! こ、こやつ、私の話を」

「ファボファボファイアボォォーーーーーール!」

「ぐうぁぁぁッ! このッ! カオティック・ドームッ!」


 黒いオーラが広がって、一階の大会議場全体を包む。

 途端に周囲から黒い何かが圧迫してきた。


「カオティック・ドーム……。空間に囚われし者は心を蝕まれて、同時に闇の力に圧される。かつて魔界大戦を制した私の」

「ファイアボォアァァッ!」

「ぐあぁぁッ!」

「潰れ死ねだァァァァーーー!」

「ぐぎぇッ!」


 なんか技自慢してたけど、どうでもいい。

 薄暗くなっただけで体にはほとんど何の異変もないからね。

 そしてさすがのアズゼルもボロボロになってきて、膝をつきかけている。


「こ、このアズゼルが、こんな訳のわからん奴らに……」

「ファイアボボボボォォル!」

「ぶふぅあッ! こ、この私がこれほどダメージを……」

「ファルァァァァァーーーッ!」

「ぐうううあぁぁぁーーーーッ!」


 ついに吹っ飛んだアズゼルが大きなテーブルに盛大に突っ込んだ。

 魔族特攻万歳。いやー、それにしてもタフだね。

 まだよろめきながら立ち上がって、そしてボロボロの翼を広げた。


「まさか人間界でこれを」

「ファイアボォルッ!」

「ぐぅッ……使うはめに」

「ファファファファファアァァァーーーーイッ!」

「あぐあぁーーーーッ! な、なるとは……」


 アズゼルの体が黒一色になる。

 そしてシルエットが変化し始めた。翼が二枚から四枚に。

 腕や足が太く大きくなり始めた。

 これは第二形態の匂い!


「これぞ私の本当のぶぐあぁぁぁッ!」

「そんな面倒なもん相手にするかぁぁーーーー!」

「魔界大戦にて、ぐぅ……! すべてを、混沌に」

「接近殴りファイアボォル!」

「ぐっふぅぁぁあぁ……!」


 アズゼルの体に亀裂が入り、シルエット全体が崩れていく。

 こ、この演出は! きたぁーーー!


「ほ、本気すら、出せずに、この私がぁぁぁーーーーー!」

「ファイアボッ! ファイアボッ! ファイファイファイアボッ!」

「ぐあぁぁーーーーーーーーーーーーーッ!」


 アズゼルから光が放たれて、同時にその体が崩れた。

 崩れた肉体が砂みたいになってサラサラと飛び散り、そして消える。


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ミッション達成! 闇の衣を手に入れた!

効果:防御+220 魔防+400 すべてのダメージを大きく減少する。

   かつてどこかの大魔王が身につけていたとされる。

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「対抗馬は光の玉ァァァーー!」

「なんのことだ!?」


 私が大はしゃぎしていると、王様を連れたシルキア様がやってきた。

 事態を察したようで、シルキア様は目を輝かせている。


「聖女様! もしかするとあのアズゼルを……」

「うん。バッチリ報酬……じゃなくて成敗したよ」

「す、素晴らしいです! これでこの国は救われました! あぁ……夢のようです!」

「はぁー、私も疲れちゃったな。少し休……」


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新たなミッションが発生!         

・ファフニル王を討伐する。報酬:略奪王の指輪

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「シルキア様、お願いがあります。平和を取り戻せたことを、王女であるあなたから国民に伝えていただきたいのです」

「そ、そうですよね! わかりました!」


 疑うことなくシルキア様は走り去っていった。

 王様が満足そうに見送った後、私の前に立つ。

 さてと――


「マテリよ! よくぞアズゼルを打ち倒し」

「つぇいやぁッ!」

「ぐぇっ!」


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ミッション達成! 略奪王の指輪を手に入れた!

効果:与えたダメージ分、回復する。

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 どしゃりと王様が倒れた。よし。

 さすがに娘の前でやっつけるわけにはいかなかったからね。

 ブライアスさんの時は奇襲しちゃったけど、私も少しは成長している。

 ご褒美としてもっとミッションこないかな?


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