第7話 そもそもレベルって?
シスターの女の子に教会に案内されると、心が安らぐ感覚があった。
前の世界でも教会なんてふーんって思う程度だったけど、この世界となると何らかの神聖な力が働いてるのかな?
でもあの聖女像は変なポーズだ。
なんでもかつて世界を救ったとされる聖女ソアリスの像で、ここはソアリス教の教会だとか。
どことなくアッパーをしてるように見えるけど、言ったら怒られそうだからやめておこう。
「デグトロ一味は元冒険者や敗残兵の集まりです。この町の衛兵にすら手に負えません」
「警察……いや、衛兵より強いの?」
「手下よりもボスのデグトロが強いんです。そのレベルは噂によれば10に届くと言われています」
「じゅ、10?」
私でさえ14なんだけど、この人達にとっては強いの?
これはデグトロ以前に認識をすり合わせないといけない。
ほんのりと話題を少しずらして、私はレベルについて質問した。
どうも町の人達の大半はレベルが1のままで、その理由の一つは単純にレベル上げが面倒なこと。
誰もが命をかけて魔物を討伐して経験を積もうとするわけじゃない。
それにレベルが上がったところで、ステータスの上昇量は人によって違う。
私みたいに某SRPGの老騎士並みの成長だったりするから、割に合わないみたいだ。
稀に大器晩成型の成長を見せる人もいるみたいだけど。
「あの手下でさえレベル5前後……。元々は魔物討伐をしていた人達なので私達では手に負えません」
「なるほどー……」
「ですが、マテリさんのような優秀な魔導士であればきっと!」
「すみません。これ杖のおかげなんです。火宿りの杖といって振ればたぶん誰でも火の玉が出ます」
「ひ、ひひひひ、火宿りの杖ェェェェ!」
シスターが発狂したかのごとく席から立ち上がった。
ビックリさせないでほしい。
「そ、そんなものをどこで!?」
「これってそんなにすごいものなの?」
「誰でも魔法を使えるアイテムなんて市場にほぼ流通してないんですよ! それ一つで小さな町なら買えちゃいます!」
「……へー」
冷静だ。私にはそれが必要だった。
やっぱり私のスキルで手に入るアイテムはそんなレアなものだったのか。
確かにデメリットなしで魔法を連発なんて、魔導士が泣いちゃう。
「し、しかし威力は持ち主の魔攻に依存するはずです。マテリさん、かなり魔力が高いですよね?」
「ちょっと基準がわからないんでその辺もお願いします」
「私も詳しくは知らないのですが、魔攻が50もあれば中堅に届くようです。あ、参考にはなりませんが私のステータスをお見せしますか?」
「見たい見たい!」
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名前:エリア
性別:女
LV:1
攻撃:1
防御:1+3
魔攻:8
魔防:7
速さ:1
武器:なし
防具:シスター服
スキル:『祈り』
称号 :『シスター』
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魔攻と魔防以外は私の初期ステータスと変わらない。
戦ってないけどレベルを上げればそれなりに特化しそうだ。
この祈りは説明によると、周囲の人達の傷を少しだけ癒すらしい。
回復魔法には及ばないから、気休め程度だと本人は笑う。
「スキルに恵まれてる人はあまりいませんよ。私の亡き父なんて『剣装備』でしたから」
「剣装備?」
「剣を装備したら攻撃が+1されるんですよ。神父が武器なんか持つかぁってお酒を飲むとよく怒ってました」
「う、うん……」
な、なるほど。
これはあの王様がスキル収集に目が眩むのもわからなくもない。
逆に考えれば強力なスキルを持つほど優遇される一面がある。
エリアさんの話だと、そういう人は貴族になることが多かったり出世も早いらしい。
上位の冒険者も有用なスキルを保持していることも多いとか。
そりゃ誰もがとっとと仕事の技術を身につけて働くわ。
「マテリさんのスキルはどんなものですか?」
「あ、私は杖装備かな。杖を装備すると威力が上がるとかなんとか……」
「そうだったんですか。だから火宿りの杖での威力が大きかったんですね」
よかった。奇跡的に誤魔化せた。
エリアさんはいい人そうだけど、あまり広まってほしくない。
あまり目立ちたくないんだがなというのはあながち間違いでもなくて。
素で強くてやばい人に見つかったらどうなるかというお話だ。
「それでデクトロ一味のほうなんですが……。考えてみたら迷惑ですよね」
「確かに私にもリスクが」
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新たなミッションが発生!
・デグトロ一味のごろつきを全滅させる。報酬:全上昇の実
・デグトロ一味のボスを討伐する。 報酬:ラダマイト鉱石
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「引き受けますよ。困っている人を見捨てられませんからね」
「ほ、本当ですか! ありがとうございますっ!」
それが私の性分だ。
正義のために、いざ!
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