第75話 アルナルソンの商館

新年あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。m(_ _)m


2022年はアニメが稀に見る大豊作な年でした。


その着せ替え人形は恋をする

サマータイムレンダ

リコリス・リコイル

チェーンソーマン

ぼっち・ざ・ろっく


いや〜年末年始は一気見耐久マラソンで全作見直しました(^ ^)

どれも素晴らしい作品でした・・・


あれ、日付が3日になっちょる・・・


投稿が遅れて申し訳ありませんでしたー!m(_ _)m


神アニメ見とったら、タイムジャンプしてしまいました!:(;゙゚'ω゚'):


そんな訳で、本年最初の投稿となります。

今年も引き続き、ご声援お願いいたします。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 満倉月(10月)の1日、古来スタンの草原に人々がその年の収穫物を持ち寄って、広く交易を行ったのが”大商市”の起源だという。


 今では、ヴァロワ王国以外からも、遊牧の民ガラリア首長国を始め、隣国エイブンラント王国やザンベルダン公国。さらには遠くアルナルソン公国からも交易を求めて多くの商人達が集まって来る、西域最大の”大商市”にまで発展する事となった。


 5つの丘に囲まれた広い谷地に、色とりどりのテントが無秩序に建てられ、様々な人種の幾千の商人が集まり、幾万の商いを行っている。

 俺たちはスタンの”大商市”に到着した。


 「ダイチ。物凄い人と家畜がいるよ・・・。ボクこんなたくさんの人を見るの初めて・・・。」


 「獣人族もたくさんいますね。ダイチさま。」


 ストライカーと2台のRCV-Lは、大商市を見下ろす丘の上に到着した。

 俺が運転するストライカーの前後を護衛するRCV-LはAIで自律行動が可能だが、前方のRCV-Lを後方のRCV-Lに搭乗しているゴンが遠隔操作している。


 「それじゃ俺はアルナルソンの商館を探して来るから、ちょっと待っててくれ。」


 ロイタールはそう言うと、フードを深くかぶった灰色のローブで身を隠すようにして、市の人ごみの中に紛れて行った。


▽▽▽


 「ようこそ我が仮初の住み家へ、尊きお方、そして尊師並びに皆様方。

 私がここの商館長を務めておりますブローニー・レディングと申します。

 どうかご自分のお宅だと思って、お寛ぎ下さい。」


 アルナルソン公国の商館は、大商市を南北に横切る大通りの南の端近くにあった。

 一際大きな天幕がコの字型に4つ連なっており、中央のスペースにストライカーとRCV-Lを駐車した。


 「では、ブローニー、世話になります。わたしとこの子たちは食事の時間まで寛いでおりますので、部屋まで案内を。」


 フィンさんは女王様然とした雰囲気でブローニー商館長に挨拶し、商館の女性使用人に案内され、レオとモコも連れて奥に消えていった。

 もちろんゴンも使役ゴーレムとしてお供して行った。


 「さて、ブローニー。聞かせてくれ。ここの状況はどうなってる?」


 豪華なソファーに腰を下ろすなり、ロイタールは尋ねた。


 「まずはロイタール。お前さん達が潰した反乱は、貴族派の中堅貴族が3つ釣られて暴発した程度で、本命は未だ上手く隠れている。

 王都ヴィロワリアのエージェント達も、尻尾を掴むには至っていないな。」


 俺たちは使用人が淹れてくれたお茶に口をつけながら、彼等の会話を聞いていた。


 「エージェントの質が落ちてやしないか?

 まあ、いい。それで、この大商市に貴族派はどれくらい紛れ込んでるんだ?」


 「行政官に1人と、息の掛かった商人が5人。後は下っ端だ。

 ここの警護の国軍は国王派だ。」


 「ブローニー。コーウェン伯爵が集めた手下の中に、サッグパンシバルが混じっていた。

 オルレバン大森林で襲ってきたバウドの親衛隊の中にも、1人手練れがいた。

 アイツらの動きが近年になく活発になっている。何か知ってるか?」


 「ああ、横から口出ししてすまん。だが、そのサッグパンシバルってのは一体何なんだ?

 それに、奴ら薬物で人体強化してるのか?」


 俺はずっと気になってた事を尋ねてみた。


 「ああ、ダイチは知らないか。

 いい機会だ。教えてやる。

 サッグパンシバルは荒野の民で、名前を出すのも憚る邪神を信仰している秘密組織だ。

 奴らの武闘神官は子供の頃から暗殺術を叩き込まれ、麻薬と禁忌の魔法で恐怖と肉体的痛みを除去された狂信者だ。」


 ロイタールは苦々しそうに教えてくれた。


 「それで、奴らの目的は何なんだ?」


 「ズバリ、邪神の復活。」


 「ありがとう。聞きたくなかったよ。」


 ロイタールがニヤリと笑った。


 「で、ブローニー。ここに荒野の民はどれくらい集まっているんだ?」


 「大きな商館が4。行商人レベルを入れると、ざっと4000人前後だ。」


 「その中にサッグパンシバルは確認されたか?」


 「それは無理ってものだよ、ロイタール。荒野の民一人一人をナイフで刺して回る訳には行かないからな。残念ながら。」


 「いや、いいアイデアじゃないか!」


 いつの間にか、ワインを飲み出しているディーンが凶悪な笑みを浮かべながら

言った。


 「荒野の民が1人減れば、その分世界は浄化されると言うモノである!」


 ワルレンも始めてやがった!


 「これだからヒューガリアンは!」


 エルフのエルドリンクが肩をすくめた。


 「1000年以上続く荒野の民との因縁は、最早我らヒューガリアンの血肉となっておる!」


 とワルレンが息巻く。


 「それじゃあ、俺は敵情視察してくるよ。」


 ロイタールはそう言って、商館の職員(恐らくエージェント)が手渡したみすぼらしマントとストーブ脇の木炭で身を汚し、いかにも安っぽい小物を確認しながら背負い袋に詰めて、テントの裏口から出て行った。


 「ふん!ロイタールの奴。ワシの剣の稽古より、明らかに生々しておる!」






 



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