第29話 方針はいのちだいじにで!
鋭い牙がずらりと並んだ大きな口を開き、西の森の王が俺を威嚇する。
その目には、獲物を甚振ろうとする残忍な光が見て取れた。
QuRRuuuSHAaaaaa!!
「臭い息を吐きかけるんじゃねえ!このトカゲ野郎――!」
俺は腰のポーチからM26グレネードを取り出し、ピンを抜いてヴェロキラプトルの口の中に突っ込んだ!
青縞のヴェロキラプトルは突然異物を口に突っ込まれた事に驚いて、思わず口を閉じてそれを飲み込んでしまった!
ドン!
ヤツの腹から鈍い音が響き、青縞のヴェロキラプトルはゆっくりとその体を大地に横たえた。
自分の仲間が3匹立て続けに倒される様を目のあたりにしたグレーのヴェロキラプトルは、一目散に森の中へ脱出を図った。
ダンダンダンダンダンダン
俺はSFP9をホルスターがら抜取り、逃亡するヴェロキラプトルに9x19mmパラベラム弾を浴びせかけた。
QuOOoooo・・・・・
最後の一匹は悲鳴を残して、9㎜弾での傷を負いながら森の中へ逃げて行ってしまった。
「ダイチさま――!ダイチさま―――!!」「うほっ!」
コロンが俺の胸に飛び込んで来た。文字通りに。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
俺の胸で泣きながら、何度も何度も謝るコロンの小さな背中を、そっと撫でてあげた。
「いいんだ、コロン。いいんだ。」
「うわ――――!」「キュ~、ピッピ」
激しく泣きじゃくるコロンを装備を回収してきたゴンが一緒に慰めてくれた。
♪テケテテッテテッテー♪
【原初の森の”南の王”と”西の王”の討伐を確認しました。
クエスト:王権移譲の達成を確認しました。これにより原初の森の南域と西域の王権が八神 大地に移譲されました。
八神 大地はレベル6になりました。】
▽▽▽
ゴブリンの王とヴェロキラプトルの王を倒した事により、どうやら俺がこの森の南と西の王様になったらしい・・・。
でもさ、ゴブリンとヴェロキラプトルの王様っていったいどうなの?
いつ寝首を掻かれるか分からん王様なんて、誰がなるかっていうんだよ!
ヴェロキラプトルを倒すと、ゴブリン達が巣穴からゾロゾロ出てきた。まだ結構な数が残っていたんだな。
でも、出て来たゴブリン達は俺たちを攻撃する事もなく、敵意を見せる訳でもなく、俺たちやヴェロキラプトルに倒された仲間の遺体を淡々と弔い始めた。
なので俺たちはゴブリン最大のコロニーを離れて、森の南端を目指して進んだんだ。
その後、森の中でゴブリンに何度か遭遇したんだが、不思議な事に奴等は俺たちに気づいても攻撃する事もなく、ただ静かに離れていくばかりだった。
そして俺達はゴブリンのコロニーから半日程離れた距離にある川岸で今夜の野営を行っている。
いつも通り、タープを低く張って寝床を作り、コロンは既に疲れて毛布にくるまってそこで眠っていた。
俺は小さな焚火に小枝をくべながら、コーヒーを楽しんでいる。癒しの一時だ。
「そうだ、さっきレベルアップしたので、ステータスを確認して見るか。」
【八神 大地】
レベル: 6
称 号:『遥かなる異世界からの孤独な探訪者』『内気な人工妖精の朋友』
『厳然たるゴブリンの宿敵。例え魔王と呼ばれようとも!』『太古のハンターキラー』
『異世界の優しいし穴掘り職人』『傷ついた小狐の守護者。それは愛ですか?』
『何でもないゴブ生に終焉をもたらす者。ジ・エンダー』
『原初の森の南域の王』(new)『原初の森の西域の王』(new)
『一騎当千。ジャイアントキリングを具現せし者」(new)
[習得技能]
語学
│
├基礎英語
├普通英語
├上級英語
│
├基礎異世界言語
└普通異世界言語
軽火器
│
├M5
├M250
├SFP9
├MP7A2
└(new)
重火器
│
└(new)
火器整備
ATM
│
└(new)
弾薬
│
├M26グレネード
├M84スタングレネード
├40x46mmグレネード
└(new)
偵察
│
├ブラックホーネットNanoII
├RQ-20C PumaIV
├スイッチヴレード300+
└スイッチヴレード600+
衛生
├衛生資材
└救急救命士
[習得可能技能]
装輪操縦(new)
[習得技能]の「軽火器」と「弾薬」で新たに装備を追加する事が出来る。
それに「重火器」と「ATM」が[習得技能]に加わったことで、装備を選択できるようになった。
うん、実に嬉しい!
それに[習得可能技能]の「装輪操縦」って、異世界の教習所にでも行くのだろうか?
いい加減この謎ルール、何とかして欲しい・・・。
そして俺は『原初の森の南域の王』と『原初の森の西域の王』の称号から、統治方針を求められた。
当然「いのちだいじに」「融和政策」「共存共栄」と「専守防衛」を選択した。
コロンの母親の眠るこの森が、少しでも平和になればと願って・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます