第173話 運命の再会

「国王陛下!勇者御一行様が到着しました!」


「…やっとか…待ちくたびれたぞ」


(…あいつ…国王陛下の約束も破るのか…)


(ある意味で勇者だな)


と、学園長とエイトは思う。

カイト達がやっっっっっっっと来たのはエイト達が来てから約1時間後の事だった

国王と言うこの国で1番偉いお方が待っているのに1時間も遅れて来るのは、頭がおかしいを通り越して尊敬の念すら覚える。


(カイトって元日本人だよね?)


(いや、それ関係ある?)


ミュウとエイトは前世の記憶もある為、昔のカイトの事も嫌だけど覚えている。

日本人は時間に厳しいと言われているが、日本人からすれば当たり前の事で、この時間に来る、やる、等宣言しているのだから、遅れると言うのは約束を破る事と同義である為

基本的に時間は守る。


守らない人もいるが、その人は信用を失っていく。


ミュウはアメリカ人だが、日本で暮らしている為、時間に関してはルーズではない。


アメリカ人でも守る人はいるが日本人の様な1分1秒を気にするほどではない。


「国王陛下、いかがいたしましょうか?」


「無論通せ」


「は!」


そしてエイト達が入ってきた時の様に1人1人紹介しながら入場させようとしたが…


「国王陛下!僕に一体なんのようですか?」


それを遮るようにずかずかと入ってきた。


「…えっ…と?」


「…もうは入っちゃいましたし、良いのでは?」


「そう…だね」


エイト達はカイト達が来るまでの間国王の謁見の間で待機させてもらっていた

流石に1時間跪いて待っているのは不憫だと感じた国王がこの中であれば自由に行動して良いと言っていた為、エイトは扉付近にいたのだ。


「君も早く戻った方がいい」


「はい、ありがとうございます」


そう言ってお辞儀するとエイトはミュウ達の所へと向かう。


(…彼が英雄か…確かに何かを惹きつけるな)


この衛兵も戦争で色々な修羅場を潜ってきたからわかる、彼は何かを持っていると。


「ふむ、ようやく来たか、勇者ともあろう者が時間を守らんとはな。」


「仕方ないですよ、こちらとて色々準備がありましたから。」


ヘラヘラと話すカイトに瞼がぴくっと動く国王を見て、エイト達は冷や汗をかく。


(あの馬鹿は何を考えているんですか!?)


(馬鹿だから考えてないんだよ!?)


あまりのアホさ加減にシルフィとアリアンは驚くが、さらに驚くのはここからである。


「ミュウ…ミュウじゃないか!会いたかったぞ!ミュウ!!!」


約3年振りの再会に歓喜したカイトがいきなりミュウの所に走り込み抱きつこうとした…が


「いや!来ないで!!!」


大きな声でカイトを突き飛ばし、ミュウはエイトの胸元に抱きついて、背中を向けて顔だけをカイトに見せる。


「………」


エイトは国王の方を見て、場を収めてくれる事を期待したが…


「………」


ため息をついて首を振る

今現在ではあの馬鹿は止められないらしい

確かに冷静になっていない男に何を言っても無駄だろう。


「と言う事は…俺がやるしかないのか」


「いっててて…何すんだよ…ミュ…ウ」


「全く…国王陛下の前で何をしてんだよ…勇者様?」


エイトはカイトにそう言うと、カイトはワナワナと震え出し、こちらを睨みつける


「モブ野郎…っ!!」


「あの頃のナルシストがここまで変わるとはな。」


出会った当初は男には全く興味なく女とミュウだけに優しいナルシスト唐変木朴念仁ハーレムモテ男だったが、今はどうだ?


勇者になってからは、徐々に人が変わっていき、今となってはメンヘラストーカー男と化している。


「なんだ生きてたんだ。」


「死ねよ塵」


「ここで殺そうよ、こんな社会で生きる価値のない人間の屑。」


そして、その取り巻きとなってしまった

エイトの幼馴染みと義姉妹のアイ、サユリ、メグミが

3年越しに再会してしまった。


——————————————————————

国王の前で何やってんだよ…

(おいコラ作者)


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