第136話 ところで…

「そう言えば、1つ聞きたい事があるんですが、よろしいでしょうか?」


「ええ、構いませんよ?」


「?」


先程から腕に抱きついているミュウはエイトの方を見てどうしたんだろう?

と言う表情をしながらこちらを見つめる。


「さっき、ミュウのお母さんは自分こそがこの家の正統な跡継ぎであるフローラ嬢と言うのはわかったけどさ?」


「うん」


「…なんで婿養子になった旦那の方が公爵になってんだ?」


「…あ、そう言えば」


ミュウ…お前も知らないのかよ…と言うツッコミはさておき、視線をミュウの母に戻す。


「それが気になってしまったのですが、教えてもらってもよろしいですか?」


「まぁそれくらいなら良いわよ、エイト君。」


(2人の時はタメ口なのかしらね?)


つい、エイトとミュウは普段の話し方に戻ってしまっているが、逆に本当に仲が良いのだろうと思う事が出来たのでミュウの母は安心する。


「そうねぇ、この国…いえ、この世界は未だに女性差別が当たり前になっているの」


ミュウの母はそう愚痴をこぼす。

学園やギルド、冒険者等は実力主義だが

職業にその差は残っている。

(中には戦士だけど軽装備で襲ってくれ!

と言わんばかりの女性もいるが…)


特に貴族というのは、血筋やら、何やらで頭の硬い人達が多い。


今の日本の様に多様性と言うのが少ないのだ

勿論それが悪いとは言わない

ポリ○レやツイ○ェミの様な頭のおかしい人達が出てこないので、ちゃんとした善悪の区別ができる。


しかし中には男性よりも優秀だったり

ミュウの母の様に息子が産まれない家庭もあるのだ、更に言えば爵位を貰った女性もいる。


それなのに何故、ミュウの母は公爵と言う爵位を夫に渡したのだろうか?それはよく分らない。


「そのせいで私達フローラ家の権力も先代と比べると明らかに減っているのよ。」


そうミュウの母は言うから更に謎が深まるが1つの仮定をエイトは言う。


「だから婿養子を取って男の方に爵位を渡したと?」


「ええ、お陰で少しずつ権力は戻って来ているわ。」


その話を聞くとミュウの父の事も納得は出来る、平民と言うだけで差別する人は多くいる

女と言う理由で貴族…しかも公爵家の娘なのにこの様な仕打ちなのだ。


「お前の…ミュウ様のお父上が私との交際を反対するわけですね。」


「納得は出来ないけど…理解は出来た。」


自分の家族や働いている人達が路頭に迷わない様に、家を存続させようと必死なのだろう

その事については理解は出来る、しかし

ミュウの想いを無碍にした事については納得は出来ない。


「まぁ、ここは難しい所ですからね。」


「私(わたくし)達がどうこうできる問題ではありませんわね。」


シルフィとアリアンがそう諦めると、ミュウの母は否定する。


「いえ、そうでもないわ」


「「「「え?」」」」


ミュウの母の言葉に4人は驚く。

今の話の流れだと、ミュウの母の説得でも上手くいくかは五分五分だ

更に言えば子供であるエイト達が何か出来ると言われても出来やしない。


「確かにエイト君、貴方がただの平民なら私の力でも厳しいでしょう…しかし貴方は英雄の力を持っています」


「はい」


「そして夫の話によると厄災を勇者よりも先に倒す事…そうですね?」


「はい、そうです」


エイトは何を言っているのかわからないが

ミュウの母は冷静に話し続ける。


「もし、勇者よりも先に厄災を倒せば、貴方は貴族になれるかもしれませんよ?」


「…え?私が…?」


「そんな事出来るんですか、お母様!?」


「エイトさんが…」


「貴族に!?」


4人はそう驚きつつ、ミュウの母の話に耳を傾ける。


——————————————————————

最後の耳を傾けるで、「貴方にはわからないでしょうね!」の人を思い出してしまった(末期)

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