第137話 一代貴族
「そんな事が出来るのですか?」
半信半疑の言葉に疑いをかけるエイト、勿論ミュウ達も完璧に信用しているわけではない。
「はい、と言ってもなる為には貴方達が頑張らないといけませんよ?」
「私達が…ですか?お母様?」
「当たり前です、何の為にミュウ、貴女は魔王になったんですか?」
(やっぱりそこまで知っているんですね、奥様。)
とシルフィは思う。
貴族の娘が魔王と言う職業になっているのにここまで冷静なのは、その程度の事なのだろうか?
そう思ってしまうが、そんな事今は考える必要はない。
…エイトと結ばれる為です。」
「そうでしょ?なら、夫が提案した事を成し遂げるしかないのよ、ミュウ?」
夫の場合は絶対に不可能と思っており
婚約は認めてもいない、あくまでも交際だ
だからこそ、エイトがいなくなった後
お見合いの話をしていたのだ。
交際を認めたとしても、すぐに別れさせる為に…しかし忘れてはならないのはこの約束は大きな利点にもなるのだ。
勇者よりも先に厄災を倒す
それはつまり、勇者よりも強い存在だと言う事、そんな者が現れれば、国は喉から手が出るほど欲しいだろう、そうなった時ミュウの父の思惑は失敗に終わるのだ。
更にとミュウの母は続けて、
「それにもしエイト君が厄災を倒したのなら平民でも一代貴族として男爵にはなれるわ。」
バロン(男爵)
子爵以上の爵位を持たない村や町などを治めている一番位の低い貴族。日本語でいうと、地方ではばを利かせている豪族のようなものだ。
1番位の低い貴族だが、これならば身分の差は激しいが、平民と貴族と言うのはなくなり
エイトは婿養子になれば、正式に婚約する事ができる。
「でも、男爵ですよね?言い方は悪いですが、その程度の位でミュウ様と釣り合うとは思えないのですが…」
「まぁ底辺貴族と言われても何も言えませんからね。更にエイト君は元平民になるわけですから。」
でも、と一旦間を挟み、ミュウの母はもう一回言う
「でも、厄災を倒す程の者を国が放置するとでも?」
先程も言ったが、厄災を倒し、勇者を超える者を国が手放すわけがないのだ。
その事も踏まえてミュウの母は話す。
「話は壮大で、現実的ではありませんが、勇者が現れた以上厄災は必ず起こります、それまでの間に更に強くなりなさい。」
当たり前の話だ、こちらは厄災の他に女神も倒さなくてはならない、並大抵の事では勝てるわけがないのだ。
「わかりました」
「任せてください、お母様」
「貴女達もよ?シルフィ、アリアン」
「承知しております」
「この命に変えても」
そう言って己を奮い立たせる
負けるわけにはいかないのだ
この最高な非日常を終わらせ、最低な日常に戻る為に、あの時の幸せを取り戻す為に
「では、話はここまでにしましょうか、ミュウ」
「はい、お母様」
「後ミュウ、後でお父様に話しをちゃんとしなさいね。」
どうやらミュウがこの部屋に来る前に父親に攻撃したのをミュウの母は見ていたらしい。
「…はい」
(滅茶苦茶嫌そうだな、まぁあたいだったら絶対に嫌だけど。)
「嫌でも行くのよ?ミュウ」
「心を読まないでくれます?お母様?」
そう言ってミュウは渋々と言った感じで
エイトの腕に抱きついたまま、離れようとすると、ミュウの母に怒られる。
「エイト君に離れてからね?そのまま行ったらあの人怒るわよ?」
「………はい」
心底嫌そうな顔をしながら、ミュウは離れる
そして今度こそ部屋(秘密基地)から出る。
1人残されたミュウの母はその後ろ姿を眺めた後、こっそりとついて行った。
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ね…眠い💤
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