第55話 エピローグ(日本編)
…娘は所謂(いわゆる)人見知りだった
小さい頃から人と接するのが苦手で話す時も家族なら普通に話せるが、他人になると全く喋れなかった
そんな子がある時友達が出来たと話した
しかも私たちも見た事がない程嬉しそうに
その子の名前は織村瑛人(おりむらえいと)、隣に住む男の子だった
その日から娘は大きく変わった
遊びに行く時はいつも彼と一緒で、家に帰っても彼の事ばっかり話していた
私が「彼の事好きなの?」と聞くと
とびっきりの笑顔で「うん!大好き!」と言った
(その日のパパの顔は絶望した顔で、つい笑ってしまった)
幼稚園、小学校、中学校、高校と上がって行っても、彼との関係は良好で
きっと異性としてお互いに想っているのだろう、時折”音”が聞こえたが、聞こえないフリをしていた
(パパは涙を流しながらお酒を飲んでいた)
きっと大人になったら、彼が家に来るのだろう、遊びに行くのではなく
挨拶をしに(そう話したらパパはバイブの様に震えていた)
彼の家族ともそこそこ仲が良い
娘も彼もお泊まりをさせた事があるし、した事もある
娘はとても幸せそうだった
彼も笑顔が可愛かった
きっと幸せな家庭になるんだろうなと思っていた…あの事件が起こるまでは
彼が交通事故で亡くなったと聞いた
話を聞くと飛び出した猫を助ける為に行ったら、飲酒運動をしていたトラックの運転手によって轢(ひ)き殺されたらしい
その運転手はテレビで捕まっている事がわかった、しかし反省の色は全くなく
「飛び出した方が悪い、たかだか餓鬼1人殺したくらいで大袈裟なんだよw」
と供述していたらしく、出所すれば同じ過ちを繰り返すだろう、彼の様な人間を許してしまう現代日本はやはり狂っていると思う
そして、娘は引きこもってしまった
家に帰ってきた時、娘は全てに絶望している様だった、何を言っても返ってくる言葉はなく、ただただ「瑛人…会いたいよ…」と口にしていた
そして部屋に入ると「ああああ!!!!」
と初めて聞く叫び声を上げて泣き叫んでいた
ずっとずっとずっと…彼の名前を叫びながら
パパは最初、彼が酷い事をしたんだと考え、彼の家に行くが、彼はおらず、探しに行って………1時間後、彼が死んだ事がわかり
私とパパは彼女が泣き叫ぶのをただひたすらに聞いていた
そんな日々が続いたある日
娘が外に出た、男物のパーカーを着て
目は酷い隈と虚な目で、けど何かを決心したかの様な心で向かった
それが娘の最後だと思わず
きっと立ち直ろうと進み出したんだろうと
そう思っていた、間違ってはいなかった
けれどそれは己の命と引き換えにした事で
それを知ったのは娘が死んだ…いや殺された時に持っていたスマホからわかった
娘は有名なネット配信者で、主に彼と一緒にゲームの配信をしていた
登録者100万人、その人達に向けて娘は生配信をしていたのだ
娘の遺品として、パパと内容と中身を見た時は涙が止まらなかった
彼との思い出の写真
ゲームのスクショ写真
家族の写真
彼と隣にいる娘はとても幸せそうでもう2度と見れないのだと思うと胸が苦しい
動画の内容はほんの数十分だが
彼を殺した犯人の証拠証言と、
彼を心から愛していた娘の言葉が本当に彼の事が大好きなんだと実感できた
…そんな2人の人生を奪った悪魔を私達は………ケッシテユルサナイ
「…絶対ニ…許サナイ」
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次回で日本編は終了予定です
彼奴をどうするかで迷ってます
復讐
刑務所
死刑
それによってもう少し、話が延びてしまうので困ってます。
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