第52話 最後の悪あがき

瑛人が交通事故…いや殺されてから1ヶ月後


瑛人が死んだ当初は猫を助けようと向かった時に運悪くトラックに轢(ひ)かれて死んだとされていたが


その数時間前に瑛人の同級生である有田が何者かによって刃物で首を切られて死んでいた事がわかり

警察は事故と事件の両方で調査をしていた


容疑者として上がったのは

幼馴染みのミュウと

同級生の海斗の2人だった


幼馴染みのミュウを調査すると幼稚園の頃からの仲であり、地域住民からもとても仲の良い2人だと分かった


そんな彼女が瑛人を殺す訳もなく、また血塗れになりながら懸命に助けようとしていたのが目撃者からの情報でわかり

そして有田とも友人関係だと調べが付き、彼女は白となった


次に容疑がかけられたのは同級生の海斗であった

彼はミュウの恋人らしく

その幼馴染みの彼とも親友だったらしい


らしいというのはこれは本人からの言葉であり、残念ながら親御さん達からは有力な情報は入ってこなかった


あの時の事を聞いていると彼は涙を流しながら説明して、心の底から後悔している様だった


彼については情報が少なく、学校のクラスメイト達に話を聞くと彼らはいつも3人でいたらしい


しかし、瑛人と海斗はミュウを巡って争った事があり

また、そこに仲介に入ったのは有田と言う同じに亡くなった女性だったらしい


そしてその日に2人は亡くなった

動機は嫉妬からの復讐と言うのが上がったが、彼は頑なに拒否

彼の家にも家宅捜査が入ったが、血痕跡の刃物もなく、血のついた服もない


ゴミと一緒に捨ててあるかもしれない為、ゴミの中も探したが見つける事は出来なかった


しかし親友が死んだのにも関わらず涙を流したり、言葉を荒げたりはしていたが、どうも違和感があり、部屋の中からミュウの私物と写真が大量にあった為、彼は要注意人物として今でも調べている


そして1ヶ月後、更に事件が起こる


——————————————————————

「………………アリアン。」


瑛人と一緒に仲良くなり

シルフィを助けてくれた恩人

想像でしかないが、多分海斗に殺されたんだろう


「………あっちに逝く前に。」


まずは、今の自分が出来る事をやるだけだ

自分はゲームが大好きだ

その為自作のゲームも作る


それ故に機械には多少詳しく、ある程度なら弄れる


それを利用して、彼を社会的に殺す、普通に殺しては駄目だ

そんな勇気もないし、度胸もない


…けど死逃げなんて許さない

確実に将来に悪影響を及ぼし、その人生を終わらせる


…それが今出来る、私の勇気だ

失うものはない、もう既に全てを失ったからだ


「瑛人、私に勇気を頂戴」


愛する人の瑛人のフード付きの服を着て、外に出る

スマホを取り出して、彼奴を呼ぶ


「瑛人の匂い…貴方に包まれているみたいで…良い」


フードを被り、ゆっくりと歩く

学校には行かず、別の所へ行く

これが彼女の最後の逝く前の行動だ


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