第33話 嘘吐き

昨日、海斗の所為で酷い目に遭ったので、2人は公園には行かず家で遊んだ…だが


その翌日、更に面倒くさい事になるなんて思いもよらなかった


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更に翌日


瑛人とミュウの2人がいつも通りに学校に登校して教室に入ると、異変はすぐにわかった


「…え?」


クラスメイトの女子達がこっちを睨みつけているのであった


「あんたさぁ、何様のつもりぃ?」


このクラスの女子の中でリーダー的存在の子が腕を組みながら意味不明な事を言ってきた


「…な…何様って…?」


そう答えるしかない、何故なら瑛人は彼女と特に仲が良かったわけでもなく、ただただ同じクラスメイトなだけの存在だからだ


他にも周りに女子達がいると言う事は、女性特有の数の暴力をするつもりなのだろう


「信じられない、あんな酷い事をして。」


「これだから男子は。」


「本当に子供ねぇ。」


とても幼稚な悪口だが、それよりも何故自分が責められるのかわからない


そんな困惑しているなか、呆れた男子クラスメイトの子が事情を説明してくれた


「昨日、職員室に呼ばれただろ?」


「あ…ああ」


「その時先にいた…かいと?…だっけ?そいつが泣きながら職員室から出て来た姿を見て、こいつらが理由を聞いたら…」


「海斗君が、あなたにいじめられたって言ってたわ。」


「………はぁ!?」


いじめたって…たしかにやられた人がいじめと言えばいじめになるが、あれは確実にあっちが悪いだろう


「かわいそうに…ミュウちゃんと一緒に遊びたかっただけなのに、あなたが海斗君に嫉妬していじめるなんて…」


昨日は遊んでいた時に

今日は遊びたかったて、


「それでその話を信じたと?」


「そうよ?海斗君はイケメンでカッコよくて、他の男の子と違って優しいから…あんた達と違ってね!」


「そうよそうよ。」


たしかに彼は他の子と比べるとイケメン…美少年に入る部類だが、それだけで信じるのか?


そう思う瑛人だが、彼女達にとってはそれだけで充分らしい


「…これだから女子は…」


男の事を子供だなんだと馬鹿にするくせに、してる事は対して変わらないじゃないか


そんな事を言えば火に油を注ぐ事になる

瑛人は海斗の所為で小学生ながら頭を悩ませた


「それで!なんでミュウちゃんも一緒にいるのよ!」


「そうよ!そんな奴なんか離れてこっちに来なさい!」


「海斗君は優しいから、きっと守ってくれるよ!」


瑛人が頭を悩ませていると女の子達が後ろにいるミュウに近づき、無理矢理女子側に引っ張ろうと手を伸ばす


「…ひっ!?」パシ


「え?」


「…や…やめ…て…」


小さな声で否定の言葉を口にしながら手を弾く、そして瑛人の後ろに隠れる


「I'm scared ... I'm scared(怖い…怖いよ)」ギュ


2人きりの時以外使わないと言っていた英語を使ってしまう程酷く怯えてしまった


「…やめろよ。」


自分なら兎に角、彼女を困らせるのは許せない


「遊びたかっただけ?それでミュウが描いた絵を滅茶苦茶にして泣かせてもいいんだな?」


「…え?」


「どう言う事?」


「そのまんまの意味だよ、俺とミュウで絵を描いていたんだ、そしたらいきなり現れてミュウの描いた絵を滅茶苦茶にした。」


後は言わなくてもわかるだろう、ミュウは震えながら瑛人にしがみついている為、海斗から守る為にやったのだと


そして海斗が嘘をついて自分の都合の良い様に話している事を


「う…嘘よ!」


「そうよ!海斗君が嘘をつくわけない!」


男の子達は完全にこちらの味方だが女の子達は未だに海斗の仲間だ

だが、流れがこちらにある以上これ以上は無意味だ


「別に信じなくても良いけど、後で全部先生が教えてくれるよ。」


先生に聞いていいと言う事はつまり、瑛人は嘘を言っていないと証明したのだ


女の子達もこれ以上は無駄だとわかっていたが、先生に問い詰めた所瑛人の言っている事が正しいと証明され


彼女達は何も言えなくなった


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しかし、他のクラスの女子達も海斗の話を信じているようで、完全に誤解が解けるのに1週間はかかった


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