第27話 2人だけの話

「ご馳走様でした。」


「お粗末様です。」かちゃ


夜、エイト達はミュウの家で夕食を食べていた。


家では味わったことのない旨さに涙を零してみんなから引かれたりしたが、平民出身の身としてはなんとも言えない状況だった


「プハー美味しかった。」


シルフィ「少しはエイトさんを見習ってください、豚(ミュウ)様。」


ミュウ「ねぇちょっと、今おかしくなかった?」


「ご馳走様、んじゃあたいは部屋に戻るよ。」


そう言って立ち上がり、2階に上がる


ミュウ「ねぇ?私の事、豚って言った?ねぇ?」


シルフィは皿を片しながら、エイトに話しかける


「この後如何しますか?」


シルフィは数時間前に起きた2人の異常に心配しており、また起きるのではないか?とソワソワしていた


「ねぇ私の事無視?」


「…そうだな、ちょっと夜風に当たってくるよ…食器は如何すれば良い?」


自宅にいた頃は食器は自分が洗っていた

メグミ達に任せると食器が割れて、お金がどんどん減っていく為、触らせなかった


「居候の身ですが、アリアン様の様な方もいらっしゃいますので、エイトさんはごゆっくりと御寛ぎください。」


シルフィはそう答えるとエイトの食器も運び洗い始める


暇になったエイトは涙を浮かべながら此方を見ている女性に話しかける


「…散歩行く?」


「行く!」ブンブン


見えない尻尾が見え、嬉しそうに外に向かうミュウ、その姿に懐かしさを感じながらミュウについていく


~庭園~


門と玄関の間にある広い庭園は真ん中に噴水

1本道に煉瓦が敷き詰められており、それ以外は芝生となっている。


季節は5月、夜だと少し肌寒く感じる

冬に比べたら大分マシだが


「んー!気持ちいいね!」ノビー


体を伸ばし、外の空気を目一杯吸い込み吐く

その動作がとても心地いい


「たく、夜になるとゲームか徹夜の為に食品を買いに付き合わされたこっちの身にもなれよな?」


ミュウ「いいじゃん別に、瑛人だって色々買ってたじゃん。」


2人のその会話で、疑問は確信へと変わる


「やっぱり、お前なんだなミュウ。」


ミュウ「うん、そう言う貴方も瑛人(エイト)なんだね。」


殆どわかっていたが、一応念の為と言う事で2人しか知らない事を話したのだ。


「久しぶり…であってるのかな?」


「うん…会えて良かったよ。」


そう言ってミュウはエイトに抱きつく

エイトの匂いを嗅ぎながら


「汗かいてるし、汚いよ?」


「だったら一緒にお風呂入る?」


「お前が良いなら、喜んで。」


因みにミュウと瑛人は本当に入った事がある

高校生の頃一緒にホラゲーをやっていて

そのあまりの怖さに一緒にいないとヤバい程怖がってしまい、

お風呂、トイレ、ベットもずっといないと行けない程だった。


「…馬鹿。」ぐりぐり


冗談抜きで入っても良いと思っている2人だが、今日はそんな気分ではない為やめる


「…今度も一緒にいてくれる?」


「お前が嫌じゃなければな?」


そんな意地悪を言うとミュウは可愛くほっぺを膨らませて此方を睨む

暫くの間そうしていると、ミュウは膨らますのをやめて、此方を見つめ直し…


相手の手を絡み合わせながら繋ぎ

唇と唇を重ね合わせる

舌と舌が絡み合い、水の音が耳元で児玉する


顔を離すとお互いの口元から透明な液体が線を引き、顔を熱らせる

もっと欲しいと言う心の欲求が思考を停止させる…が


「……….」


「………」


「………」


現実はそう甘くなかった


「………お風呂の準備が出来ました。」


「…うん、ありがとう。」


「シルフィも入る?」


「エイトは黙ってて!!!」


いつの間にかいたシルフィに一部始終を見られ恥ずかしくなったミュウはそう叫びながら颯爽と走っていった

残された2人は冷静なフリをしながら話す


「私は今回は見てません。」


「顔を真っ赤にしているもんな。」


「…すみません。」


「まぁ…俺も迂闊だったよ。」 


——————————————————————

翌日3人は気まずい空気の中、朝食を取る事になった


「………?」


アリアンだけはその理由がわからなかった。


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次回は外伝を始めます

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