第6話
クラウス・ヴィンセントは、小国アナント王国公爵家の長男としてこの世に生を受けた。
父親の名前はランドルフ・ヴィンセント公爵。時の王、ルーカス・ゲアート・アナント。通称ルーカス王の弟であった。
クラウスの実母であるディアマンテ・エレノア・ヴィンセントは大国・ヘイムス王国の元第八王女であったが、クラウスを産んで間もなく他界した。
最愛の妻を亡くして失意のランドルフ公爵は、同じように夫を亡くしていた使用人――アデリナと恋に落ち、妻とした。
アデリナには二人の連れ子がいた。
その連れ子の名前こそが、エロディアとマルターである。
二人は双子で、姉であるエロディアも妹であるマルターもともに義理の義兄が大好きだった。
ヘイムス王家とアナント王家双方の血を引くクラウスには、幼い頃から強い期待が寄せられていた。
アナント王国執政部からすれば、クラウスの存在は両国の絆を結ぶ鍵でもある。
――だから従兄妹にあたるアナント王国王女――アレクサンドラ・ベルティーナ・アナント王女と親しくしていても、強く咎める者は誰もいなかった。
クラウスは幼少の頃より、アナント式宮廷剣術を父から学んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。