第6話
「おま、内容も見ずにしょっぱいとか言ったろっ!?」
「あーあー、聞こえない聞こえない!」
手で両耳を塞いで聞こえない聞こえないと言い張るシリ。
クズはシリの
「この……っ! おらっ! これで聞こえるだろう!? ああんっ!?」
「ちょっ
「
「女性には優しくするものだよ!?」
「都合が悪いときだけ女の権利を主張する奴には、真の男女平等を教えてやるっ!」
「クズっ! やっぱり君はクズだよっ!」
「クズで結構だ! たった数日安全で楽勝な護衛するだけで百五十万のクエストだぞっ!?」
「たかが百五十万でしょう!? 私は君にもっと割の良いクエストを持ってきたんだよ!」
ピタリとクズが動きを止める。
「……
「まさか。私が持ってきたのも護衛クエストだよ。それも
「詳しく話を聞こうじゃあないか!」
シリの腕を掴んでいた手を、クズは優しくぽんっと肩に乗せ、先を
「……
「俺には団員を食わせる義務があるんだ。その為には
「
シリはにかりと笑いながら、
「分かった」
先ほどまでの
もはやギルドマスターを置き去りにするほどの軽快さだ。
商業キャラバン隊のおっさんを護衛するよりは美女の方が断然いい。
しかも二週間も一緒にいられるのだ。
沢山いるんなら、もしかしたらその中の誰かとちょめちょめ体験があるかもしれない。
そうすれば、自由になれるかもしれない。新たな自分に成長できるかもしれない。
遙かに報酬が高いという話も気になる。
一日半もの
残された受付嬢が寂しそうな表情でぶちまけられた依頼書を片付けている。
そんな後ろ姿がちらりと目に入って、少しだけ
クズとはいえ、多少は人の心があるのだ――。
「――はい、お茶どうぞ」
「ああ、ありがとう。さて、早速だが依頼の詳細を教えてくれ。この後予定が詰まっていてな」
予定とは当然、夜の街へ繰り出すことである。
ある程度店も
「予定ねぇ……」
「な、なんだよ?」
実際、後ろめたいことを考えている自覚がある為、クズは同様して視線を
「……まぁ、いいけどね」
だから、シリがそこで話題を斬ってくれたことにクズは
ふうっと胸をなで下ろしてお茶を一飲み。
ふかふかなソファに座り直し、視線で話題の先を促した。
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