新しい世界へ
エイルシアの城には四人の王が集った。ユクドール王、シザリア王、ハイロン王。そしてエイルシア王であるオレ。
やっと今日、調印式となった。この日まで、準備を進めてきたが、なかなか大変だった。
最初に4カ国で会談をしませんか?と提案してきたのはユクドール王のコンラッドだった。
その言葉をリアンに告げると、彼女は笑って『コンラッドから言ったのね。なかなか行動が早いじゃないの』と言った。リアンにはこうなることが、わかっていたのだろうか?
四カ国で友好協力関係になろうという話だった。
いつもながら、優雅なコンラッドはにっこり笑って言った。
「今、ユクドール王国は大国と呼ばれてますが、いつ何時、何かの危機に直面するかわからない。そんな時に他国の知恵と助けを得られたら心強いと思いました。そういう法律や協定など作りませんか?」
「良い案だと思う。オレもこの西の国々が集まることは悪くないと世界的なバランスを考えてもちょうどいい」
オレが賛成すると、シザリア王とハイロン王も異論は無いとあっさりと快諾した。
「まさか、あの王妃の策じゃないよな?まさか俺ら四人を集めるために、作り上げてないよな?」
シザリア王がそう言った。ハイロン王がそんなことあるわけない!と笑ったが……ハッハッハッと笑ったはずだった。しかし部屋の中の空気は静まり返りった。
「さすがに、偶然の産物だと思うよ」
オレの言葉にそうですよねーとコンラッドが言う。
たぶんと思った。まさか最初からこんなつもりだったわけではないだろう?ユクドール王国をまず味方につけ、エイルシア王国の海路をシザリア王国と共に広げ、西の果てにあるハイロン王国を゙取り込めば後ろから攻められることはない。
他国と手を取り合い、協力し合う法を作る。こんなこと今まで無かった。たった今、新しい時代を築き、歩いていこうとしているのかもしれない。
リアンに我慢できず、尋ねてみた。
「ここまで想定していたのか?」
「私が一番守りたいもの知ってる?」
「え?」
「私とウィルが怠惰に過ごせる時間よ!そのために世界を平和にしてみせるわ!」
怠惰がすごく壮大な夢に変わってるよと思ったが、口には出さなかった。
叶えたい。そんな思いが世界を変えていく。リアンの思いは強い。その中に潜んでいるパワーは計り知れない。
「私達、まだ弱い光だけど、もっと強く光りだすわ。この国の行く先が笑顔であれば、私もウィルも笑顔でいる。私、未来の私達に届けたいの」
リアン、僕は見つけたよ。確かに今、光を掴んでる。僕は君と君の中にいる新しい命と共に、生きていきたい。
怠惰で平和な世界のためにね。
そうして、その後、僕らの時は進み、来るべき災難に立ち向かうことになる。だけど今は今だけは……まだ知らずにいたいんだ。幸せを今はそっと抱きしめていたいから。
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