心酔する王は盲目!?
「久しぶりですね!リアン王妃!」
コンラッドか嬉々としてリアンに話しかける。おい?普通、王から話しかけないか?オレの半眼になった視線に気づいて、ウィルバートもようこそ!と苦笑している。その笑いはなんだろうか?
「来てくれて心強いです。だいぶ王家内は掌握しました」
「それは良かった。ユクドール王国は大国だ。大国が揺らげば周辺諸国も動揺するからな……力になれることがあればする」
なにか言いたげにコンラッドかオレを見た。その視線にリアンが気づき、ニコッと笑い、お辞儀する。
「私はこれで退席させてもらいます。久しぶりに会ったので、積もる話もあるでしょう。失礼いたします」
スッとオレの隣から離れて部屋から出ていく。その様子にコンラッドが良いですねと呟く。
「あのように頭の回転の早い女性を疎ましく思う人もいるでしょうが、正直羨ましいです。今、頭に王冠を載せる時になって、少々怖くなってきてます。ウィルバートは王になることが怖くありませんでしたか?」
王冠を手に入れることはその国の運命を背負うこと。王の決断1つで民達を幸せにもできるし、苦しめることもできる。コンラッドが怖くなってきたというのもわからなくもない。
「オレの場合は王にならなければ、オレの価値などなかったし、国を安定させたくて、あの時は必死だったから、なりたい。ならなければならないという思いの方が強かった」
「じっくり悩む暇なかったんですね……」
「そうだな……で、オレに何を言いたかった?」
コンラッドがニッコリ笑った。
「リアン王妃という右腕を手に入れてるウィルバートが羨ましい。リアン王妃のような方が傍にいてくれるだけで心強い……ほしいなと思うんです」
「は!?」
冗談だろ!?とオレは叫びそうになる。
「僕の後宮には第一王妃から第五王妃までいますけど、どれも退屈な女性ばかりですよ。身を案じて戦場に駆けつけてくれる王妃なんていないでしょう」
「いやいや、戦場に王妃は来ないだろ!?むしろ危ないから来ないでほしい!リアンを例にしないほうがいい!規格外すぎる!」
リアンが普通なんて考えてないよな?ユクドール王国とこのいざこざで活躍したリアンにコンラッドが心酔してしまったことは薄々勘づいてはいた。
「はぁ……リアン王妃のような方が隣にいてくれたら、心強いし、頑張れそうな気がしますよ」
………暴走しないようにするのも大変なんだぞ?城の修繕費を国家予算に組み込んであるんだぞ?オレの頬に一筋の汗が流れた。
「ウィルバートが手に負えないと思ったら、是非、ユクドール王国の後宮へ招きたいです。その時は声をかけてください」
「そんな時は一生こない!……と、いうか、コンラッドは女性の趣味変わってないか!?」
「リアン様はそれくらい衝撃的で刺激的な女性なんですよ。ユクドール王国に来るように誘うことを許してください。誘うくらい良いでしょう?」
コンラッドのライバル宣言にオレは戴冠式前に余裕過ぎるだろ!?と口が開いたのだった。
「リアンに返り討ちにあいそうだけど?」
「ふっ……ウィルバート、自信があるんですね。でもこの僕も女性に関しては自信があります」
ま、まぁ、コンラッドは優雅で綺麗な顔立ちをしてるし、モテることは知ってるけども……。
「オレの妻なんだが?」
「コソコソと手を出すのは性に合いませんから、正々堂々と宣言させてもらってます」
リアンが聞いたらなんというか?ちょっと落ち着けと言いかけて、次の招待客が挨拶に来たので、退室することになってしまったのだった。
他国の情報を手に入れるチャンスね!と悪い笑みを浮かべていた彼女を思い出す。
コンラッド……リアンは君が思うより厄介だぞ?
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