異世界で異種族イケメンに囲まれてスローライフを楽しんでます ~妄想だらけの日々ですがなにか?

柚子桃しずく

第1話 ここはどこなの?

今日もありふれた一日。

朝起きてインスタントのコーヒーを飲んでカフェインで少しやる気をアップさせている。

満員電車に乗り、会社に行く。

朝から夕方まで仕事をして家に帰る。

家に帰る途中のコンビニでビールと何かつまみを買いコンビニ袋片手に近所の人に挨拶をする。


「こんばんは」

「まいちゃん、いつも遅くまでご苦労さまね」


近所のおばちゃんはまいちゃんと呼ぶ。

わたしはもう、まいちゃんという年ではない。

家族がいて子供がいてもおかしくはない年ごろだ。

だがわたしはここまで結婚もせず、浮いた話もなくただぼんやりと生きてきてしまったのだ。

そして、わたしはこのまま老いて死んでいくのだろうと……思っていた……が……。


――――


目を覚ますと、見慣れない風景。


「起きたか?」


誰かが話かけてきた。


「お前何日寝たら気がすむんだ」


体を起こして声がする方をみた。

小さな女の子がたっていた。

杖を持ってなんかキラキラ光っていた。


「女の子?」

「誰が女の子じゃ」

「女じゃないの?」

「女ではあるが……わたしは神じゃ」

「神?」

「そうじゃ、女神じゃ」

「女神」

「お前をここに呼んだのもわたしじゃ」

「ここは?」

「ここは異世界に転生する前のアンケート会場じゃ」

「異世界? 転生? なんでわたしここにいるの?」

「ああ、おまえ死んだからここに連れてきた」

「えっ? わたし死んだの?」


あ~、わたし死んだんだ。

老いて死ぬどころかもう死んでしまった。

なんて人生だ。

結局、結婚も子供もできず死んだのか。

まあ、結婚したいわけでもない。

子供がほしいわけでもない。

じゃあ、いいのかこれで。


「まあ、聞け! 勝手に自暴自棄になるな。わたしの質問に答えるのじゃ」

「あ、はい」

「ではいくぞ」


そういうと女神はわたしに質問をしてきた。


「お前はどんな人生を歩みたい?」

「どんな人生って、普通に」

「普通ってなんだ、もっと具体的に言え」


普通ってなんだろう。

自分でもわからない。

何が普通なんだ?


「おい、どうした」

「いや、スローライフがしたい」

「スローライフな」

「あとイケメンに囲まれて、わたしは逆ハーレム状態になってみたい」


今まで男性には関わりなかったからな~

次こそは関わりたい。

なんて。


「イケメンに逆ハーレムな」

「とにかく今までとは違った人生を歩みたい」

「わかった、お前には究極恋愛スキル『目覚め』を授けよう」

「なに? それ」

「まあ、異世界を楽しむがいい」


女神が言うとあたり一面神々しく光った。

わたしはまぶしくて目を背けた。



――――


あ~ まぶしかった~

目を開けると、森の中にいた。

なに? どういうこと?


サッサッサッっと草木が揺れる音がした。


なに?


草影からゴブリンが飛び出してきた。


「きゃあー」


わたしは大声をあげた。

頭の中で解説が始まった。


ピピッ!!


『ゴブリン―鉱山や洞窟に棲みイタズラ好きの妖精である』


なに? これ。

勝手に頭の中で……。


「◎$♪×△¥〇&?#!」


ゴブリンが何か話をしたが何を言っているのかわからなかった。


ピピッ! 

解読!


「可愛い女の子じゃないか」


聞こえた!

可愛い女の子ってわたしのこと?

ふふっ。

やばい、ちょっと嬉しい。

可愛いって。

ふふっ。


「おい、なにさっきからぶつぶつ言ってんだ」


あ、そうだ。

ゴブリンに襲われてるんだった。


「きゃあー 誰か助けてー」


もう一度叫んでみた。

すると、剣を持った冒険者がわたしの目の前に現れた。


「大丈夫ですか? お嬢さん」


お嬢さんって。


「はい、助けてください」

「お任せください」


冒険者は剣を取り出し、一振りした。

ザッ!

ゴブリンを一撃で倒した。

強い!


「ありがとうございました」


わたしはお礼をいった。


「いえ、お嬢さんが無事でよかった」


うっひょう、イケメン!

やばい、こんなイケメンみたことない。


ピピッ!!


『獣族ー〇〇〇ーオスー剣士ー戦闘レベル80』


獣族のあとがはっきり聞こえなかったけど冒険者っていってたのかな?


やっぱり剣士か。

かっこいいなあ~

顔がタイプ。

見とれちゃう~


「お嬢さん、お名前は?」

「あ、わたしは まい っていいます」

「まいさんか、可愛い名前だ」

「う~~可愛いってそんな簡単に言うかねぇ~照れるわ」

「わたしは、 ルーカス といいます」

「ルーカスさん、いい名前ですね」

「ありがとうございます。森のひとり歩きは危ないので、家まで送りましょう」


あ、家?

ないなんていえない、どこに住んだらいいの?


そういえば、女神が究極恋愛スキルを与えるっていってたっけ。

このスキルで家をもらえたりできないかな~

とりあえず、使ってみようかな。

えっと、『目覚め』だっけ?

声に出して言えばいいのかな?

とりあえず言ってみよう。


「目覚め!」


ピカッ!!

ルーカスさんの体に光がまとうかのように明るくなった。


「まいさん! もしかして住むところを探しているのですか?」

「あ、はい」

「それなら……、わたしの家にきませんか?」

「えっ、いいんですか?」

「もちろんです。まいさんみたいな可愛い人と一緒に暮らせるなんて光栄です」


お~ぅ。

鼻血でそう。

こっちこそ光栄だわ。

まじで、いいのかな?

これは、スキルのおかげなの?


でも、これって大丈夫なの?


【妄想中】


♪~男の人の家についていく。

「ここがわたしの家だよ」

「ひとりで住んでいるんですか?」

「そうだよ。だからだれもこないよ」

「えっ?」

軽く抱きしめられる。

「わたしたち会ったばかりなのに」

「そんなこと関係ないよ。今日は一晩中楽しもう」……♪


きゃー

恥ずかしい。


「まいさん! ついてきてください」


なんか妄想していたら、ルーカスさんはちょっと先を歩いていました。

わたしは小走りに追いつき、まあ、とりあえずついて行こうと思った。


「ここになります」


森を抜け、町の手前にある大きな家だった。


「素敵な家!」

「ありがとうございます」


こんな大きな家に、ひとりってことはないか。


「どうぞ、お入りください」

「はい、ありがとうございます」


「ルーカスさん! おかえりなさ~い!」


これまたイケメンな男の子の出迎えだ。

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