いいかいヨルシカ
◆◇◆
SIDE:ヨルシカ
大事な話がある、と言うから少しだけびっくりしてしまった。
所謂男女の話かとおもってしまったのだ。恥ずかしい話だが。
まあ彼はそういう奴だよな……と思う。
というか、同じ顔をして『すまないがヨルシカ、君を殺さなければならなくなった』とかいきなり言い出す様な男だと思っている。
改めて話を聞くと、随分剣呑な話をされてしまった。
しかし彼も凄い不運というか……。
不死の怪物に悪魔、その次は神?
じゃあその次は何と戦うんだろうと心配になってしまう。
なんとなく彼が説明しているのを聞いていたら、思い切り目をのぞき込まれ、ちゃんと話をきけと叱られてしまった。
悪気があったわけじゃないのだが、何というか彼が結局なんとかしてくれそうだなという思いがわいてしまう。
そんな自分の甘えを自覚して反省する。
「一応聞くがヨルシカ、逃げる気はあるかい?」
答えは分かっているが、という様な顔をして彼が問いかけてきた。
■
ヨルシカはやや目を伏せ、首を振った。
そうか……と俺が言うと、ヨルシカが君は逃げた方がいい、と言ってきた。
?
「んん? そうだな、当然危なくなれば逃げるよ」
俺がそう言うと、ヨルシカはやや寂しそうに頷いた。
どうも彼女と俺で見解の相違がある様に感じる。
「いいかいヨルシカ。智を貴ぶ俺と、チンピラのキンタマを潰したりするのが好きな君とでは思考の深さに差があるのは仕方がない。だが君は俺を心配して逃げろと言ってるのだろ? なら逆に、俺もまた君の身を心配して糞面倒くさい対策を立てようと頑張っている事位は気づけ。そして気づいたなら手を貸して欲しい所だ。君だってそれなりにコネがあるんだろう? まあいざという時、どうにもならない時は君も何もかも見捨てるよ、勿論。仕事として受けた訳じゃないからな。だがその選択肢を取るのは最後の最後そのまた最後だ。俺は今、その最後の選択肢を選ばない様に努力しているのだ」
目をパチパチさせているヨルシカに紙切れを渡す。
やっておいて欲しい事リストだ。
じゃあ頼むよ、と手を振り去る。
次は宿屋に帰って手紙を書かなければいけない。
死刑相当の犯罪者が欲しいとヨルシカに渡した紙切れに書いたが、流石に厳しいか?
威力偵察がしたい。
全員呪いで縛れば問題ないだろう。
道中で連中がくたばっても構わない。
アシャラのダニが消え、死体は森の肥料となる。
皆喜ぶだろう。
◆◇◆
SIDE:ヨルシカ
凄く馬鹿にされたような気がするし、友情の様なものを感じた気もするし、なんなんだアイツはという怒りもあれば、名状しがたい嬉しさのようなものもある……。
彼は連盟の28本目の杖といっていた。
連盟は彼みたいなのがウジャウジャ居るってことか……!?
ま、まあいい。
とにかく、道は示されたのだから……私は私に出来る事をしなければ。
私は彼の背を見送った後、メモを開いた。
殺していい囚人が欲しい!?
ひ、酷い男だ……
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アシャラ回は結構長くなるかもしれません。
読者の皆様、最後までお付き合いください。
一応この回のテーマは、友情、なんです。
余り殺伐はしないと思います。
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