44.重い!?
有里ねぇは一つの日記の様なものを、机の中から取り出し、それを俺に手渡した。
すると、さっきまで有里ねぇが医者になるため、アメリカに行くという話を聞いて固まっていた2人も、ようやく正気に戻り
「そっ、それは!?」
「有里香さん、まだそれ持ってたんですね……」
2人してそう言いながら、こちらの方までやって来た。
「え? 2人とも知ってるの?」
「えぇ……まぁ」
「そりゃあ……」
心なしか、2人とも少し渋い顔をしている。
「じゃあ、俺にも見せてくれない?」
「やめといた方がいいんじゃない?」
「あんまりおすすめは……しないですね」
凛津も優太も、こんな感じなので一体何が書かれているのか余計に気になる。
「……開けるぞ」
俺はそう言ってその日記をパラッとめくると
『今日は初めて優太に助けられた。すんごい心細かったけど、優太すごいカッコよかった!きっと優太にはまだ好きな人はいないんだろうから、私が優太のお嫁さんに立候補したいな〜なんて!まぁ、とにかく!私は優太のことが大好きだってこと!……なんか、まだ足りない気がするな。私がどれくらい優太のことが好きなのか伝えるのには、これには収まり切らない……………』
……ビシッと文字だらけだった。
しかも、それらは全て……
「これって……俺宛て?」
「うっ……うん」
「……」
俺に宛てられたものだった。
ページをめくっていっても、出てくるのはビッシリの文字だけ。
その文字の中に、『優太』の文字がところどころに点在している。
しかも、よくよく見ればノートの各ページの上部には日付まで書かれていた。
どうやら、1日1ページずつ書かれている様だった。
「あのさ……」
「うん?」
「もしかして……いや、もしかしなくてもなんだけど……」
「うん」
「有里ねぇって……」
「「重い……」」
凛津とテルも、俺がそう言うと分かっていたかの様に口を揃えて言った。
言われた当人はというと……
「え? 重いって何が?」
どうやら全く自覚はない様だった、
「……もしかして、俺に見せたかったのって……」
「そうだよ!」
即答だった。
「どう? 嬉しい? 凛津の時は喜んでたみたいだけど……」
そう言って有里ねぇはモジモジしているけれど、正直ここまで来ると……
「怖い……」
「そっ、そうか……嬉しいのかって……え?」
「……」
「聞き間違いだよね〜! 念のためもう一回……」
「……怖いです」
「……え。 えぇ〜〜〜っ!」
だだっ広い教室の中で、有里ねぇの声が盛大に響き渡った。
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