33.思い出!?
横川照……いや、テルといった方が良かっただろうか。
彼は俺たちの親友で、1番頼れるお兄ちゃんのような存在。
今から話すのは、俺達とテルの話だ。
☆
「おい! テル〜!」
「ちょっと待ってよ〜!」
草むらをかけて走っている俺に後ろからついてくるのは、テル。
「俺の勝ち〜!」
俺はそう言いながら、草むらをかき分けた先にある秘密基地でガッツポーズをしながらそう言った。
「はぁはぁはぁっ、優太君は早いな〜!」
そう言いながら遅れてテルが入ってきた。
「テルってさ有里ねぇちゃんと同い年なのに全然、足早くないよね?」
「そりゃあ、有里香さんは足早いからね」
そう言いながらテルはまだ少しはぁはぁと言いながら肩を揺らしていた。
「それより今日はカブトムシを捕まえに行くぞ!」
「えーっ……この前クワガタを捕まえたばっかじゃないか」
「カブトムシはクワガタとは全然違うの!」
「でもさ……」
テルがそう言いかけたところで
「優太、テル、お待たせ〜〜!」
「優兄ちゃん、テル、お待たせ!」
「凛津ちゃん……一応僕、優太君より年上なんだよ」
「そんなの関係ないもんっ!」
「えっ! 関係ないの!?」
有里ねぇと凛津がやってきた。
「とにかく今からカブトムシ捕まえに行くから! ついてくる人!」
「「はーい!」」
そう言いながら有里ねぇと凛津も手を上げる。
「はぁ……結局、こうなるのはわかってたんだけどな〜仕方ないか……」
そう言いながらテルも渋々手を上げて全員の参加が決定した。
☆
俺はアルバムの写真を見た直後、思い出した。
「テル……」
「うん」
「テル、テルだ……」
「うん……あんまりテルって連続でいうと、てるてる坊主みたいだからやめてくれないか?」
そう言いながらテルはニコニコと笑っていた。
その笑い方は当時と全く変わっていない。
紛れもなくテルだった。
「でも……なんで」
「思い出せなかったのか? だよね……」
テルは俺の考えていること読んだように、そう口に出した。
「うん……だって、有里香と凛津のことは覚えてるのに……テルの事だけ完全に忘れてたんだから……」
自分自身でもびっくりするほど、驚いていた。
「それはね、多分あの神社にお願いしたからなんだ……」
「神社に? お願い?」
「うん……」
そう言いながらテルはそばにあった椅子に座り
「少し長くなるかもしれないから優太君もそこに座って」
そう言いながら俺に椅子に座るよう促した。
俺が椅子に座ると
「今から話すのは信じられない事なんだけど……」
そう言いながらテルは話を続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます