16.おうちデート!?①
俺が、デート(そう呼んでいいのか分からないが)してから家に帰った後、何故か有里香と凛津が2人して俺の部屋のベッドでゴロゴロしていた。
「何で2人とも、さも当然のように俺の部屋にいるんだよ!」
「だって私達、今は彼女なんだよ?」
凛津が寝転がりながら、何がおかしいのか分からないというふうに首を傾げる。
「有里香も凛津に何か言ってやってくれないか?」
俺は凛津の説得は諦めて有里姉ちゃんに助けを求めた……のだが
「そっ、そうだよ……! わっ、私は今、優太のかっ、かっ、彼女なんだから!!」
ダメだ……。
「はぁ……。でも流石に、何にも用事なしにここにいるわけじゃないだろ?」
そこで、凛津はよくぞ聞いてくれたというふうに胸を張って
「今から……おうちデートしよう!!」
と高らかに宣言した。
それから数十分後、俺は今、凛津と有里香と台所にいた。
「さぁ! まずは、みんなで料理するわよ!!」
凛津は元気よくそう言った。
今日はおじいちゃんもおばあちゃんも近所の集まりで、ご飯も外で食べて来ると言っていたので、まぁちょうど良かった? のか?
よく分からんが、とりあえずみんなで料理をすることになったらしい。
「ここで女子力の高さを見せつけて優太の胃袋を鷲掴みにしてやるんだから!」
なんて言っているか分からなかったが、どうやら有里香も乗り気らしい。
まぁ……2人がやる気になってることだし、俺も協力しないとな。
「それで……俺は何をすれば良いんだ?」
「うーん。 じゃあ、とりあえずそこのまな板の上に乗っかってくれる?」
「おいっ! 何で俺が料理されないといけないんだよっ!」
「冗談だって〜〜」
凛津はそう言いながらクスクス笑っている。
今の凛津ならやりかねないぞ?なんて俺が思っていると
「ところで何を作るつもりなの?」
と、そこで有里香が凛津に言った。
「俺もそれを聞こうと思ってたんだ」
てか、有里香ってトマト……だよな?(ひとつ前の話)
俺がそんな事を考えていたら、
「そこっ! 今失礼なこと考えてたでしょ!」
と有里香にすぐバレてしまった。
「いや……すまん。でも……さすがにあれは料理とは……」
すると、有里香はガクッと肩を落として
「どうせ私には料理なんて……」
とずごい落ち込んでしまった。
俺は慌てて、
「いやっ! 別に嫌味で言ったわけじゃないんだぞ! 別に料理出来なくたって彼氏はできる。今のは気にしないでくれ!」
とフゥローしたのだが
「別に彼氏が欲しいわけじゃないの!! なんで優太はそんなに鈍いの?」
さらに有里香を怒らせてしまったようだった。
それから少しして
「優太は……どうなの? 料理……できた方が良いと思う?」
有里香が続けて質問してきた。
「うーん。出来るに越したことは無いけど……俺は自分で料理したりもするから気にしないかな?」
「そっ、そうなんだ」
俺がそう言うと、有里香はほっとした様子でそう言った。
「まぁ、いいや! 凛津、それで何作るんだ?」
「ふふん。それはね〜〜」
とたっぷり間を開けてから
「ステーキ!!」
「いや! 焼くだけじゃないか!!」
この前、すごい弁当作ってきたからちょっとは期待してたのに……。
俺の純情を返せっ!!
「さすがにそれはないだろ! なぁ有里香?」
「えっ……あぁ……そう……ね」
「もしかして……有里香もいいと思ってた?」
「そっ、そんなわけないでしょ!? 別にお肉焼くだけだったら私にも出来そうなんて考えてないわよ!!」
心の声がダダ漏れだった。
「てか……そもそも肉は今ウチにないぞ?」
「えぇっ!? 私、別に牛じゃなくてもいいよ?」
「いや、そもそもステーキに出来るような肉はない」
俺がそう言うと、
「そんな……私のタダ飯ライフが……」
そんな事を言いながら凛津はガクッと崩れ落ちた。
てか、タダ飯ライフってなんだよ!
気にしてなかったけど、それが目的かよ!!
「はぁ……。 じゃあ今、冷蔵庫にひき肉とニラと餃子の皮もあるし……」
「餃子!! やった〜! わたし大好物なんだよ!」
俺が冷蔵庫の中を見ながら全て言い切る前にさっきまで落ち込んでいた凛津がすぐに回復してそう言った。
「じゃあ餃子にするか……有里香もそれでいい?」
「うん。 餃子って包むだけだよね?」
「まぁ……大体そうだな」
「それじゃあ私も餃子がいい!」
と有里香も同意したところでようやく、料理デート? とやらが始まった。
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