第5話

結局、あのまま3人分のソフトとメットを渡され、それでは重たいでしょうとにこやかにタクシー手配までされた。

ここで送りますよ、と言わないところが個人的には好感度を上げる。

さすが社長というところか。


逆に何から何まですみません、と伝えたらいい笑顔で、またお菓子持ってきてくれればうれしいです!と言われてしまった。


そんなにツインズのお菓子がきいたとは…。

そんなツインズは明日は仕事だから早々と寝ているだろう。

私も明日は仕事だし、ひとまず自分の部屋に3人分のセットを置いて寝ることにした。


明日は朝から今日のことを報告しないといけないしね…。というため息と、そういえばツインズはこういうゲームするのだろうか?という疑問が浮かんだが、疲れた体はすぐに眠りについてしまった。









「うぅ…ねむ…」


朝はあまり得意、とは言えないが長年しみついた習慣とは恐ろしいもので、起きれてしまうのだから怖い。

なんら変わりない自室の片隅に堂々と存在している荷物に、今日の朝いちの報告を思い出しため息がでる。


身支度を整え居間に降りると、すでにツインズは仕事に行っている。

まぁ、ケーキ等は時間がかかるしなぁ。

でもしっかり私の朝ごはんを用意してくれているところが、姉としてはありがたく、そして甘えてしまっている自分に申し訳なさがにじみ出る。

が、お菓子の専門職の二人が作ったフレンチトーストには勝てるわけもない。

バターのいい香りに、いい具合に焦げてかりかりな外側。

なにもつけなくても口に広がる甘味とじゅわっと広がるうまみ。


疲れてるだろうから甘いのにしといたよ!


というメモに正解だよツインズ!と顔がほころぶ。

この甘さにあえてメープルを追加。

きらきらとした琥珀色が流れて、最高です。ありがとうございます。




甘くなった口には、私の好みをよく理解した薄めのブラックコーヒーが待っている。

これも自分で淹れたものよりはるかにうまい。


甘味が消えた口に、さっぱりとしたドレッシングのかかったサラダを食べて、またあまいフレンチトーストを食べる。



「いくらでも食べれる…」



いくら太りにくい体質といえども、アラサー女は油断したら終了だ。

これはまた仕事帰りにジムで泳ぐか…いや、走るか…?

ジムの人の多さで決めるか?


最後の一口を放り込んで、コーヒーを飲み干す。

今日1日頑張れば休みだ!!



「よっし、身なりよーし。戸締りよーし。いってきまーす」

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