18とたんぽぽ
平葉与雨
第1話 悩み
「週末の天気予報です。台風3号の影響で明日は一日中雨になるでしょう。お出かけの際は靴下の替えを持っていくと安心です。明後日は——」
お天気キャスターの声が頭の中で響いている。休日に雨とは運が悪い。うん、明日は家でごろごろしよう。
6時3分、激しい雨音で目が覚めた。
昨日の予報通りか。そう思いながらカーテンを開けた。
窓に当たる雨粒のせいで、数ミリ先がぼやけている。まるで今の自分のようだ。
先月18になった僕は、進学するか就職するかまだ決められずにいた。6月に入ってから一週間は経っただろうか。いや、どうだろう。
今が何日の何曜日なのか分からなくなる時がよくある。悩み始めてからその症状が出たが、現実逃避をしているだけだろ、と大人には言われる。反論したいが、ぐうの音も出ない。
それでも今日は土曜日だと分かる。今はそれで良いじゃないか。
6時21分、悩みの谷に滑落してから気づけば20分近く経っている。ほんの2、3分くらいにしか感じなかった。時間はなんて残酷なんだ。
外出する気は全くなく、予定通り寝転んだ。
ゴロゴロゴロ・・・
時折り鳴る雷が心地良い。床から体へと流れてくる振動が、そばに猫がいるように感じさせる。
あー、もうダメだ。
まぶたがゆっくり閉じていき、眠りに落ちるまさにその時、強烈な光が窓を貫通し、全身に降り注いだ。
一瞬だったがそんな気がした。
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