第6話 満たされない

 自分が大人になってから出来ることが増えた。子どもの頃から憧れた大人の世界。夜にドライブしたり、タバコをふかしたり、友だちとバカなことを思いっきりやったり。けれども、満たされない自分は今、真夜中の空を仰いでいる。チラリと月が顔を覗かせる。自分は大人になっている。しかし、この気持ちはなんだろう、そう考える。チラリととなりに居る恋人を横目で見る。満たされない? そんなわけがない。ただ、子どもの頃に帰れたら嬉しいんだろうね。満たされないのも、別にいいかな?

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