第4話 花火

 ドン、ドン。夏の終わりごろに花火が上がっている。青年はベランダから夜空を観察する。花火が上がっている。お父さんはビール片手に花火をじっと見つめていた。ドン、ドン、パラパラ。色とりどりの花火である。青年はお父さんの背中に視線を移す。お父さんの背中が小さく思えた。けれども、青年の心にはお父さんへの尊敬がある。青年は考える、自分も社会人になって、いかに大人が大変なのかを。お父さんは退職が近付いている。これまで、お父さんが仕事をこなしてきたように、青年も仕事を続けるつもりだ。なんて、そんなことは言えるわけがなく。花火がキレイだ。青年はお父さんの後ろで一緒に花火を時を忘れたように見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る